蓬さんは、「童子」の仲間。といっても、お会いしたことがあったかなあ。もしかしたら、ないかもしれない。でも、お写真はこれまで何度も拝見しているし、俳句をずっと読ませていただいているので、何度もお会いしているような気になるのだ。
これまで俳句写真集(写真に俳句を添えている)を5冊も出されている。
でも、句集そのものは、初めてなのかな。
看護師を定年退職してから、怒濤のごとく、写真、旅、俳句をつっぱしっていらっしゃる方なのだ。
風鈴の年とりすぎて音もなく
さざ波のころがつてくる植田かな
マラソンの終りてなほも息白し
蜆汁二杯も飲んで汽車待てり
新しき炬燵の中に足二本
金柑の花にこの世の息深く
点滴に傷つく腕や秋団扇
がん告知より一年や更衣 江頭蓬
私もこの頃、添削指導をしたり、初心者の方に教えたりということを、少しばかりしているのだが、こうやってまとまった句集をいただくと、その方の「思い」がちゃんと表現されているかが、やはり大事だなあと感じる。蓬さんの場合、生き生きと旅をしていたり、がんの告知を受け闘病をしたりという中の実感が伝わってくる句はやはり読んでいて迫ってくるものがある。
冒頭のさざ波の句。ああ、今頃の景色ですね。