たそがれオヤジのクタクタ山ある記

主に北関東の山を方向音痴で歩いています。山行計画の参考にされても責任は負いかねます。深慮せず軽く読み流してください。

沖縄最高峰・於茂登岳(525.5m)の雨天歩き

2011年10月17日 | 四国、九州、沖縄の山
◎2011年10月14日(金)

 久しぶりに沖縄の出張が入った。沖縄の山は個人的に行った西表島を探索したことがあるが、山を登ったといった程のものではない。折り良く、仕事の横のつながりでI男が助っ人で来てくれることになったため、時間を工面して本島から石垣島に向かった。実のところ、I男が来ることをすっかりあてにしていて、山荷物は事前に石垣島の宿に送っている。本日の予定は於茂登岳を先行し、続いて野底岳と2山歩き。別案で桴海於茂登岳も考えたが、沖縄に行ってまでヤブ山歩きをするのも考えものだ。無難なところで標高一位の於茂登山となった。後で知ったことだが、この於茂登山、岩崎百名山になっていた。

(最初の標示板付近から歩く)


 前日の那覇では傘をさして歩いた。強い雨だった。石垣島では青空が広がっていたらしい。そして、当日の朝の石垣島には虹が出ていた。晴天を期待した。一向に晴れる気配はない。どんよりとし、きれいなはずの海もくすんで見える。たまに小粒が上から落ちる。レンタカーで登山口に向かう。当たり前のことながら、石垣島の地理には疎く、運転はナビ頼り。登山口案内板で舗装道路からガタガタ道に入る。ところどころに大きな水溜りが出来ている。昨夜の雨だ。次の案内板で、車を路肩に駐める。ここから先の林道は四駆でないと無理だろう。たいした距離でもない。歩き出しは8時半。いきなり、むっとする湿気に閉口した。さらに無風、高温と3拍子。予報では、確かに湿度95%・最高気温28℃になっていた。5分も歩かずにサウナに入っているような按配になった。陽が出てきた。湿気を除けば幸先はいい。しかし、すぐに暗転して曇り、たまに陽がさす程度。行きはまだ気まぐれ天気で少しはよかった。

(ここまで車が入るらしいが、普通車ではかなり厳しい。コースはここを越えて行く)


 林道が終わり、ハイキングコースになる。沖縄の山らしく、シダ類を中心に、目にしたことのない植物、木が自生している。道はコンクリートやブロックでずっと整備されている。亜熱帯ジャングルの中の遊歩道歩きといった風情。ただ、石垣市民の山といいながらも、ハイキングの人気そのものが本土並みとはいかないのだろう、最近は手が入らず、崩壊しつつあるといった印象が残るハイキング道だ。左右から枝葉が迫り、30分もしないうちに、衣類はぐっしょりと水を吸い、靴の中にも水が入りこんだ。

(「大御岳ぬ清水」の石碑)

(ハイキングコースは整備はされているが)

(こんな崩壊地も)

(たまにこんなところも)


 「大御岳ぬ清水」の石碑。この「ぬ」が気になる。接尾語か?「=の」か?八重山方言か?裏の碑文には、恵みの水に感謝して建立するといったようなことが記されていた。確かに水気の多い山だ。途中に滝の案内板もあった。天気がかなり怪しくなりつつあり、滝見物は後回しにする。標識も多い山だ。標高、注意書きの類だ。のんびりと歩いて行きたいところだが、落ち着いていられなくなった。ガスが出てきた。

(沖縄的な木があった)

(「最後の水場」。水は涸れていた。帰りは泥水が流れていた)

(見下ろすと海は見えない)

(山頂はガスっている)


 ガスが濃くなり、やがて雨が降り出した。風も出て、強くなっている。遠雷すら聞こえる。山頂が見えてきた。もう少しだ。これが意外に長かった。電波塔、アンテナが林立する山頂。晴れていても殺風景だろうが、眺望は良く、きれいな青い海を望めるはずだ。竹富島はどこに見えるの?何も見えない。見えるのは電波塔のシルエットだけ。ヤブの中を突き進んで三角点。9時28分。ここまで1時間。一服したいが、風と雨で火が点かない。とうとう本降りになってしまった。濡れた身体に今さらカッパを着用しても意味がないだろう。傘をさす。正直のところ、傘をさしても危険なく下れる。ネット記事を読む限り、ほとんどの方が「滑る」と記されているが、足元に注意を集中したためか、幸いにも、一度も滑り転ぶことはなかった。

(山頂直下1)

(山頂直下2)

(山頂標示があったが、三角点はさらに先)

(本当の山頂)

(山頂に至るにはこのヤブをくぐる)


 山頂真下の標示板「ダム展望」方面に行ってみる。ちょっと行くと、電波塔の柵で先には行けなくなった。濡れてしまっている以上、今さら寄り道をしても何も問題はない。滝を見て下る。名前のない普通の滝。沢は粘土質の土壌を流れ、泥水になっていた。この泥水がストレートに海に流れるのか。

(下り道、かすかに海が見えた)

(無名滝)

(沢は泥川になっていた)


 ずぶ濡れで車に戻る。10時半。ちょうど2時間歩きだった。駐車している車はどこにもなく、だれも歩いてはいなかった。それをいいことに、下着をすべて脱いで水を絞る。その際、運転席で無理な格好をしてしまったためか、ふくらはぎがこむら返しを起こしてしまった。パンツを足首にひっかけたまま、しばらくは痛みで身体が固まってしまった。

(駐車地)


 この雨では、引き続きの野底岳は無理。中止。本島に戻る時刻までの時間が余ってしまった。雨の石垣島一周ドライブ。於茂登岳は見えなくなっている。何だか、I男に仕返しされた気分だなぁ。山の予定は直前まで言い出しづらく、伝えた時は唖然とした顔をしていた。無感情なまま「後はよろしく」で済ませてしまった。前回の谷川岳とまとめての、ありがたい恩返しか。しかし、谷川岳は逆恨みというものだけどな。

 実にあっけなく終わった沖縄最高峰であった。まっ、出張ついでで良かった。「ついで」の山歩きは得てしてこういうものだ。これが目的で沖縄に来ていたら何とも悔やまれる。

 ※山名表示が地元の掲示板では「於茂登山」になっていたが、地形図、山名事典では「岳」となっている。ここでは「岳」で統一した。
 ※本記事では、I男を、仕事の助っ人という扱いで記したが、実際は違うのである。沖縄に同行したことは確かではあるが、私と違って、仕事が目的ではない。本人の立場を慮って、こういうシチュエーションにした次第である。
 

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4 コメント

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沖縄県最高峰 (ハイトス)
2011-10-18 18:59:19
こんばんは。
何とか時間がとれたというか取ったというか、ともあれ於茂登岳登頂できて何よりです。
しかし石垣島まで足を伸ばすとは思いませんでした。
I男さんの目が点になっていたんではないでしょうか。(笑)
今回沖縄県の最高峰が石垣島に有ることを初めて知りましたし、この山名も初めてです。
たそがれさんが登らなくっちゃ一生知らないままだったでしょう、たぶん。
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ハイトスさん (たそがれオヤジ)
2011-10-18 20:47:00
ハイトスさん、こんばんは。
今季の出張もこれで終わりです。年々少なくなってきました。出張は若いのが行きたがるので、出しゃばることもなくなったわけですよ。
さて、於茂登岳なんて、私も知りませんでした。まして、石垣島にあるなんて。直前になって調べましたが、沖縄の山の情報は何とも少なかったですね。地元の大きな書店で地形図を探そうにも置いていないし、持参したTrekking Mapのコピーが頼りでした。もっとも、地元では人気の山ですから間違いようもありませんけどね。
沖縄の山歩き、まっ、いい経験をしたといったところですよ。失礼ながら、わざわざ遠方から行くとしたら、私自身も首を傾げてしまいますね。
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西表島の滝はなかなかです (ノラ)
2011-10-18 22:25:48
たそがれオヤジさん こんばんは。石垣島で山登りご苦労様でした。いかにも南方の景色でちょっと不気味でありますね。私も西表で山に登った事があるんですが。ここまでしだっぽかったかな?
西表に行かれたことありますか?あそこは海の観光で有名ですが,滝の宝庫です。なかなか面白い滝があるので行かれる機会があったら行ってみてください。ちょっと日本離れした滝でカンピレーの滝と名前がついていたようです。
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ノラさん (たそがれオヤジ)
2011-10-18 22:49:17
ノラさんこんばんは。
西表島には3日間ほど滞在して歩き回ったことがありますよ。温泉のある宿に泊まりました。カンピレーの滝も知っています。行きました。
石垣の山は天気が良くなかったせいか、余計に植生もジャングルっぽくなってしまいましたけど、シダ類は多かったですね。西表島では、それ程の印象が残っていないのですけど。
同じ石垣島でも、桴海於茂登岳とウマヌファ岳をセットで歩くコースが多少はヤブ山の雰囲気を楽しめるようです。当初はこれも考えたのですが、時間もかかりそうだし、やめときました。機会があればとはいっても、まずはないでしょうが、今でも、歩いてみたいという気持ちだけは残っています。
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