
◎2015年3月12日(木)
浦山の駐車場(7時50分)……大平山手前Uターン(11時45分)……駐車場(13時50分)
先週の土日は天気が冴えず、山に行くのは無しにしていた。今週は水曜日以降の天気も良いらしい。秩父の例の、秘密の花園の福寿草もそろそろ見頃だろうか。一昨年の3月16日に行った際には満開だった。だとすれば、一人で満喫できそうな平日に出かけた方が正解かもしれない。休暇をとって出かけることにした。
福寿草見物だけでは物足りないので、大平山から先、三ツドッケに出て未踏尾根を下りたいとも思ったりしたが、眼の手術後のことでもあるし、長時間になりそうな歩きは避けた方が無難だろう。おとなしく峠の尾根を下ることにする。しかし、今日の歩き、どういうわけか、終日、身体が重く、息切れも頻発で、このコースですら、ようやくバテバテで歩ききった始末であった。
(ぬくもり号が出て行った)

例のごとく、大日堂のバス停脇のスペースに車を置く。他に車はない。こちらの思惑どおりだ。ぬくもり号が待機していた。一番の7時45分発だろう。バスが出て、こちらも出発する。念のため、ザックにワカンを括り付けた。他にもアイゼンとチェーンスパイクを持ったが、結果的に使ったのはチェーンスパイクだけだった。
久しぶりにクレゾールというか、正露丸の香りを嗅いだ。以前より薄く、範囲も狭く感じるのは気のせいか、季節的なものだろうか。今は無風だ。歩き出してすぐに、上下のヒートテックを着てきたことを後悔した。雪山遊びならともかく、もう春だ。日なたでは、黙っていても汗をかく。やはり、しばらく歩くと、身体が熱くなって汗が出てきた。
(林道というか、作業道というかを歩く)

(失礼ながら、今まで細久保地蔵さんに気づくことがなかった)

慣れたつもりの道とはいえ、何だか今日は身体が重く、歩の進みが遅い。決して、体調不良というわけではないのだが、長靴と靴下の選択にも失敗したようだ。ずっと足が中で浮いているし、かかとが擦って痛い。立ち止まりも頻発する。途中、「細久保地蔵」を見かけた。これまでこのお地蔵さんに気づかなかった。
(手前の家は見事につぶれていた。さも整地されたように見えるが、平らなのは屋根)

(関所もこんな状態)

(開け閉めのシカ除けゲートはフリーパスというか、倒れていた。跨いで通過)

去年、ここを通ることはなかったが、一昨年に比べ、沿線の崩壊はやはり進んでいる。去年の大雪の影響だろうか。まともに残っているのは最後の家屋くらいで、休憩小屋は最初の物置以外はいずれも倒壊している。2か所あったシカ除けのゲートも、フェンスそのものが倒れている。不思議に思ったのは、野放図に置かれていたネコ車が物置の立てかけ以外に見あたらないことだ。きっと、ネコ車をちゃっかり使って、元に戻さない輩がいるのだろう。道そのものに大きな崩壊はないが、沢の横切りやトラバースにはかなりの神経を遣う。
沢への下りもまた厳しかった。ゴチャゴチャとなっている印象。この下りは、長靴で来て良かったというのが本音のところだ。手もまた泥だらけになってしまった。
(カラ沢に入る)

(雪が出てくる。なぜか美しく感じる)

カラ沢を登る。一昨年に比べ、特に大きな変化は見られない。時期的な水量は同じくらいで、残雪は少ないようだ。相変わらず倒木があって、歩きづらい。ここもまた、何度も何度も休みながら登った。福寿草の自生地まで知れた距離ではあるが、果てしなく遠く感じる。そのためか、これまで、このカラ沢の登り、急なイメージはなかったのだが、見下ろすと、こんなに急だったのか…と思うほどだ。
残雪が次第に多くなり、雪の上に足跡があった。数日前の2人分か。方向は上向きだから、下りは、峠の尾根を下る定番コースであろう。この足跡が曲者で、それを追ったはいいが、トラバース気味に付いているため、足にフィット感のない状態の長靴歩きではかなり応える。ここは、倒木を避けながらも、沢床歩きに徹するべきであったろう。雪もまた日陰で固く、足を取られることもなかったはずだ。
(ようやく花園が近づいたが、色彩が感じられない)

日なたになり雪も消え、ようやく、自生地が見えてきた。しかし、どうもこれまでの様子とちょっと違う。自生地の金色の輝きは遠くからでも見えていたのに、今日はそれがない。つまり、早かったということだろう。一番手前で見かけた単独の福寿草はツボミのままだった。まぁ、今さらここまで来て、ほざいても仕方がない。
(目を凝らしてようやく花の存在を知るといったほどでもないが、一面の淡い黄色。黄金色までは至っていない)

(上から見下ろす)

(盛りの頃は、手前から色づきが見えているはず。見えない?2年前画像)

(その1)

(その2。賑わいをよそにひっそりと)

(その3)

(その4)

(その5)

(その6。こんなのが半分近く。そのうち大きくもなるだろうが)

(その7)

(その8。ヘタな写真の羅列で失礼)

ヤレヤレ、ようやく着いたと自生地でへたり込む。落ち着いたところで見物に入る。これは、どう見ても5分咲きクラスだ。開いている花もまだ小さい。しかし、ここはいい。だれもいず静かだ。気持ちが和らぎ、至福の時といったところだろう。ここにウグイスの声でも聞こえれば最高なのだが、そうなるのはまだ先だ。花園でだらだらと1時間近く過ごした。
(峠の尾根に向かう。スズタケが壊滅している)

(2年前の様子。スズタケの間を歩いた。今は枯れたのを踏み歩いて登る)

(三ツドッケが見える。余計なことだが、ぶなじろうさんのアイドル山)

峠の尾根に向かう。スズタケが軒並み枯れ落ちていた。一昨年は、勢いがないとはいっても、まだ回廊の中を歩いている感じはあったが、今は、立っているスズタケそのものがない。やたらと滑った。地面の凍結が緩み、ぬかるみに近い状況だ。5歩登っては確実に2歩分ずり落ちている。またゼーゼーとなった。休んで、左後ろを仰ぐと三ツドッケ。あのシャクナン尾根をいずれは歩きたい。右を向くと武甲山からの山並みが見える。
(峠の尾根に合流)

(大平山に足を向ける)

(そして引き返す)

峠の尾根に合流した。予想通り、残雪がかなりある。下りの方に点々と足跡が続く中、大平山の方にも往復一人分の、これまた数日前と思われる足跡があった。時間も早いし、大平山まで行ってみようか。場合によっては、天目山林道を下り、途中からシャクナン尾根の下部分だけでも歩いてみるのもいい…。これは思うだけで終わった。
雪は固いながらも、ところどころで緩く、尾根から逸れると踏み抜くところもある。ダラダラと歩き続け、1469m標高点を過ぎたあたりで撤退。残りの標高差130mは、今日の自分にはかなり重過ぎる。ワカンを取り出すまでもない歩きだった。シャクナン尾根を下る?ちゃんちゃらおかしな話で笑ってしまうわ。
ここまで来たら、大ネド尾根を下ればいいだけの話だ。上りで使ったこともある。だが、最近読んだ『藪尾根単独行』(山渓)によれば、この大ネド尾根は、どうも熊の巣窟らしい。その状況も半端ではないようだ。これを読んで以来、大ネド尾根は二度と使うまいと思ってもいる。ましてや春先だ。2頭ぐらいと出遭っても不思議ではないだろう。ここは地道に、峠の尾根を下ろう。
この峠の尾根、いつの間にやらポピュラーな尾根になってしまった。これは福寿草の関係だろう。ピストン以外の帰路といったら、やはり峠の尾根利用が安全で確実だ。峠の地蔵さんというスポット的なものもある。栗山尾根を下ると、やっかいな岩場が途中にあって、慣れない方にはきついだろう。
(大ドッケの標識のある小ピーク)

(峠の尾根を下る。ここで立て続けに転んだ)

スズタケもここは枯れ落ちているが、まだ立っているのもある。以前、雪の時期に歩いたら、雪よりもスズタケに往生した。今やその感はない。
1315mを過ぎて大ドッケ。次第に雪は消えかかってくる。後はのんびりと下りましょうといった気分だったが、少し気が緩んでしまったためか、足を滑らせ、尻もちをついてしまった。右肘に強烈な痛みを感じた。転んだ姿勢のまま、しばらく立ち上がれなかった。枯れ葉の下は凍結しているようだ。注意しないと、と立ち上がり、5分もしないうちにまた尻もちをついた。今度は悲鳴が出てうめいた。この期に及んで、ようやくチェーンスパイクを付けることにする。腰と肘の痛みはしばらく続き、やがて、これに膝の痛みが加わってくる。
尾根通しに下る。テープもたまに見かけるから、尾根の分岐も間違えずに安心して下れることは確かだが、これが、下に行くに連れてうるさくなった。中には、幅5cmほどの赤いガムテープまである。それも、他のテープの脇に付けられている。目障り以外の何物でもないので、このガムテープだけは撤去させていただいた。これ見よがしに付けるというのもどういうものだろうか。派手で賑やかな性格の御仁なのだろう。
(高ワラビ尾根が正面に見える)

(そして、三ツドッケからのシャクナン尾根もちらっと)

(気持ちも和む尾根だ)

峠の尾根には極端な傾斜がなく、自然林の中、歩いていても気持ちがいい。ネットの張られた伐採地からの展望は良く、先日歩いた高ワラビ尾根がよく見えた。タワ尾根がどれなのか、しかとは分からないが、いずれ歩くことにしよう。
送電線の鉄塔で休む。次第に暑くなってきた。汗もかなりかいた。風が欲しいくらいだ。
(巡視路下り)

(地蔵峠の石祠)

(お地蔵さん)

尾根伝いに付けられた東電の巡視路を下る。途中、巡視路が分岐して紛らわしいところもあり、実際に引き返しをしたところもあったが、やがて地蔵峠に出た。地蔵さんの赤いよだれ掛けは色が褪せ、ボロボロになっている。手をかける方もいなくなっているのだろうか。
2年前、ここを下った際、末端部分でルートを見失い、墓地に出てしまったが、今回もまた同じ繰り返しをしてしまった。踏み跡はか細くなり、しまいには消えた。巡視路を歩いていることに間違いはないのだが、どこかで曲がるところがあったはずだ。墓地が真下に見えているから、たいして問題はないのだが、手足がどろんこになってしまった。
(ようやく駐車場に戻ったといった感じだった。もしかして、朝方の運転手氏だったりして)

車道に出て駐車場に向かう。秩父の方からぬくもり号がやって来た。折り返しの14時発のようだ。バスは<どこかで春が♪>のメロディを流している。この前に流していた曲は何だったのだろうか。寒い曲だろうが。
車に戻り、トイレで手を洗う。どえらく疲れた。墓地への下りでは太ももが張って、痙攣する寸前であった。身体のあちこちが痛い。駐車場には車がもう一台置かれていた。地元のナンバーで、福寿草ではないかもしれない。車のエンジンをかけると、気温が19℃を示していた。これは、陽当たりだからであろう。走らせると、一気に12℃まで下がってしまった。
(ムクゲ公園のロウバイ)

(同じく「秩父紅」。くたびれたというか、すすけた感じがしないでもない)

帰り道、皆野町に入ると<ムクゲ自然公園>の看板が見えた。そういえば、この公園で、秩父特有の「秩父紅」という福寿草を見られるという話を目にしたことがあった。積極的な関心事ではなかったが、時間を持て余し気味なので寄ってみた。
入園料を取られるとは知らなかった。案内所のオバチャンが「いつもなら500円ですが、秩父紅の咲き具合が悪いので、300円にします」とのこと。
園内を回る。ロウバイが見頃は過ぎているようだが満開だ。福寿草のコーナーに行ってみた。「一般種」「原種」「秩父紅」の3コーナーに分かれていた。「秩父紅」コーナーの福寿草が正直のところ見劣りした。これが200円引きの正体かといったところだが、きれいに咲いている花を見ると、赤みのかかった花だった。ただそれだけのこと。自分に草花のうんちくは土台無理な話だ。
福寿草も、今季はこれだけにしておこう。早速、ツアー募集の記事も見かけた。大勢のハイカーの喧噪の中で至福の一時を味わうつもりもないし。
浦山の駐車場(7時50分)……大平山手前Uターン(11時45分)……駐車場(13時50分)
先週の土日は天気が冴えず、山に行くのは無しにしていた。今週は水曜日以降の天気も良いらしい。秩父の例の、秘密の花園の福寿草もそろそろ見頃だろうか。一昨年の3月16日に行った際には満開だった。だとすれば、一人で満喫できそうな平日に出かけた方が正解かもしれない。休暇をとって出かけることにした。
福寿草見物だけでは物足りないので、大平山から先、三ツドッケに出て未踏尾根を下りたいとも思ったりしたが、眼の手術後のことでもあるし、長時間になりそうな歩きは避けた方が無難だろう。おとなしく峠の尾根を下ることにする。しかし、今日の歩き、どういうわけか、終日、身体が重く、息切れも頻発で、このコースですら、ようやくバテバテで歩ききった始末であった。
(ぬくもり号が出て行った)

例のごとく、大日堂のバス停脇のスペースに車を置く。他に車はない。こちらの思惑どおりだ。ぬくもり号が待機していた。一番の7時45分発だろう。バスが出て、こちらも出発する。念のため、ザックにワカンを括り付けた。他にもアイゼンとチェーンスパイクを持ったが、結果的に使ったのはチェーンスパイクだけだった。
久しぶりにクレゾールというか、正露丸の香りを嗅いだ。以前より薄く、範囲も狭く感じるのは気のせいか、季節的なものだろうか。今は無風だ。歩き出してすぐに、上下のヒートテックを着てきたことを後悔した。雪山遊びならともかく、もう春だ。日なたでは、黙っていても汗をかく。やはり、しばらく歩くと、身体が熱くなって汗が出てきた。
(林道というか、作業道というかを歩く)

(失礼ながら、今まで細久保地蔵さんに気づくことがなかった)

慣れたつもりの道とはいえ、何だか今日は身体が重く、歩の進みが遅い。決して、体調不良というわけではないのだが、長靴と靴下の選択にも失敗したようだ。ずっと足が中で浮いているし、かかとが擦って痛い。立ち止まりも頻発する。途中、「細久保地蔵」を見かけた。これまでこのお地蔵さんに気づかなかった。
(手前の家は見事につぶれていた。さも整地されたように見えるが、平らなのは屋根)

(関所もこんな状態)

(開け閉めのシカ除けゲートはフリーパスというか、倒れていた。跨いで通過)

去年、ここを通ることはなかったが、一昨年に比べ、沿線の崩壊はやはり進んでいる。去年の大雪の影響だろうか。まともに残っているのは最後の家屋くらいで、休憩小屋は最初の物置以外はいずれも倒壊している。2か所あったシカ除けのゲートも、フェンスそのものが倒れている。不思議に思ったのは、野放図に置かれていたネコ車が物置の立てかけ以外に見あたらないことだ。きっと、ネコ車をちゃっかり使って、元に戻さない輩がいるのだろう。道そのものに大きな崩壊はないが、沢の横切りやトラバースにはかなりの神経を遣う。
沢への下りもまた厳しかった。ゴチャゴチャとなっている印象。この下りは、長靴で来て良かったというのが本音のところだ。手もまた泥だらけになってしまった。
(カラ沢に入る)

(雪が出てくる。なぜか美しく感じる)

カラ沢を登る。一昨年に比べ、特に大きな変化は見られない。時期的な水量は同じくらいで、残雪は少ないようだ。相変わらず倒木があって、歩きづらい。ここもまた、何度も何度も休みながら登った。福寿草の自生地まで知れた距離ではあるが、果てしなく遠く感じる。そのためか、これまで、このカラ沢の登り、急なイメージはなかったのだが、見下ろすと、こんなに急だったのか…と思うほどだ。
残雪が次第に多くなり、雪の上に足跡があった。数日前の2人分か。方向は上向きだから、下りは、峠の尾根を下る定番コースであろう。この足跡が曲者で、それを追ったはいいが、トラバース気味に付いているため、足にフィット感のない状態の長靴歩きではかなり応える。ここは、倒木を避けながらも、沢床歩きに徹するべきであったろう。雪もまた日陰で固く、足を取られることもなかったはずだ。
(ようやく花園が近づいたが、色彩が感じられない)

日なたになり雪も消え、ようやく、自生地が見えてきた。しかし、どうもこれまでの様子とちょっと違う。自生地の金色の輝きは遠くからでも見えていたのに、今日はそれがない。つまり、早かったということだろう。一番手前で見かけた単独の福寿草はツボミのままだった。まぁ、今さらここまで来て、ほざいても仕方がない。
(目を凝らしてようやく花の存在を知るといったほどでもないが、一面の淡い黄色。黄金色までは至っていない)

(上から見下ろす)

(盛りの頃は、手前から色づきが見えているはず。見えない?2年前画像)

(その1)

(その2。賑わいをよそにひっそりと)

(その3)

(その4)

(その5)

(その6。こんなのが半分近く。そのうち大きくもなるだろうが)

(その7)

(その8。ヘタな写真の羅列で失礼)

ヤレヤレ、ようやく着いたと自生地でへたり込む。落ち着いたところで見物に入る。これは、どう見ても5分咲きクラスだ。開いている花もまだ小さい。しかし、ここはいい。だれもいず静かだ。気持ちが和らぎ、至福の時といったところだろう。ここにウグイスの声でも聞こえれば最高なのだが、そうなるのはまだ先だ。花園でだらだらと1時間近く過ごした。
(峠の尾根に向かう。スズタケが壊滅している)

(2年前の様子。スズタケの間を歩いた。今は枯れたのを踏み歩いて登る)

(三ツドッケが見える。余計なことだが、ぶなじろうさんのアイドル山)

峠の尾根に向かう。スズタケが軒並み枯れ落ちていた。一昨年は、勢いがないとはいっても、まだ回廊の中を歩いている感じはあったが、今は、立っているスズタケそのものがない。やたらと滑った。地面の凍結が緩み、ぬかるみに近い状況だ。5歩登っては確実に2歩分ずり落ちている。またゼーゼーとなった。休んで、左後ろを仰ぐと三ツドッケ。あのシャクナン尾根をいずれは歩きたい。右を向くと武甲山からの山並みが見える。
(峠の尾根に合流)

(大平山に足を向ける)

(そして引き返す)

峠の尾根に合流した。予想通り、残雪がかなりある。下りの方に点々と足跡が続く中、大平山の方にも往復一人分の、これまた数日前と思われる足跡があった。時間も早いし、大平山まで行ってみようか。場合によっては、天目山林道を下り、途中からシャクナン尾根の下部分だけでも歩いてみるのもいい…。これは思うだけで終わった。
雪は固いながらも、ところどころで緩く、尾根から逸れると踏み抜くところもある。ダラダラと歩き続け、1469m標高点を過ぎたあたりで撤退。残りの標高差130mは、今日の自分にはかなり重過ぎる。ワカンを取り出すまでもない歩きだった。シャクナン尾根を下る?ちゃんちゃらおかしな話で笑ってしまうわ。
ここまで来たら、大ネド尾根を下ればいいだけの話だ。上りで使ったこともある。だが、最近読んだ『藪尾根単独行』(山渓)によれば、この大ネド尾根は、どうも熊の巣窟らしい。その状況も半端ではないようだ。これを読んで以来、大ネド尾根は二度と使うまいと思ってもいる。ましてや春先だ。2頭ぐらいと出遭っても不思議ではないだろう。ここは地道に、峠の尾根を下ろう。
この峠の尾根、いつの間にやらポピュラーな尾根になってしまった。これは福寿草の関係だろう。ピストン以外の帰路といったら、やはり峠の尾根利用が安全で確実だ。峠の地蔵さんというスポット的なものもある。栗山尾根を下ると、やっかいな岩場が途中にあって、慣れない方にはきついだろう。
(大ドッケの標識のある小ピーク)

(峠の尾根を下る。ここで立て続けに転んだ)

スズタケもここは枯れ落ちているが、まだ立っているのもある。以前、雪の時期に歩いたら、雪よりもスズタケに往生した。今やその感はない。
1315mを過ぎて大ドッケ。次第に雪は消えかかってくる。後はのんびりと下りましょうといった気分だったが、少し気が緩んでしまったためか、足を滑らせ、尻もちをついてしまった。右肘に強烈な痛みを感じた。転んだ姿勢のまま、しばらく立ち上がれなかった。枯れ葉の下は凍結しているようだ。注意しないと、と立ち上がり、5分もしないうちにまた尻もちをついた。今度は悲鳴が出てうめいた。この期に及んで、ようやくチェーンスパイクを付けることにする。腰と肘の痛みはしばらく続き、やがて、これに膝の痛みが加わってくる。
尾根通しに下る。テープもたまに見かけるから、尾根の分岐も間違えずに安心して下れることは確かだが、これが、下に行くに連れてうるさくなった。中には、幅5cmほどの赤いガムテープまである。それも、他のテープの脇に付けられている。目障り以外の何物でもないので、このガムテープだけは撤去させていただいた。これ見よがしに付けるというのもどういうものだろうか。派手で賑やかな性格の御仁なのだろう。
(高ワラビ尾根が正面に見える)

(そして、三ツドッケからのシャクナン尾根もちらっと)

(気持ちも和む尾根だ)

峠の尾根には極端な傾斜がなく、自然林の中、歩いていても気持ちがいい。ネットの張られた伐採地からの展望は良く、先日歩いた高ワラビ尾根がよく見えた。タワ尾根がどれなのか、しかとは分からないが、いずれ歩くことにしよう。
送電線の鉄塔で休む。次第に暑くなってきた。汗もかなりかいた。風が欲しいくらいだ。
(巡視路下り)

(地蔵峠の石祠)

(お地蔵さん)

尾根伝いに付けられた東電の巡視路を下る。途中、巡視路が分岐して紛らわしいところもあり、実際に引き返しをしたところもあったが、やがて地蔵峠に出た。地蔵さんの赤いよだれ掛けは色が褪せ、ボロボロになっている。手をかける方もいなくなっているのだろうか。
2年前、ここを下った際、末端部分でルートを見失い、墓地に出てしまったが、今回もまた同じ繰り返しをしてしまった。踏み跡はか細くなり、しまいには消えた。巡視路を歩いていることに間違いはないのだが、どこかで曲がるところがあったはずだ。墓地が真下に見えているから、たいして問題はないのだが、手足がどろんこになってしまった。
(ようやく駐車場に戻ったといった感じだった。もしかして、朝方の運転手氏だったりして)

車道に出て駐車場に向かう。秩父の方からぬくもり号がやって来た。折り返しの14時発のようだ。バスは<どこかで春が♪>のメロディを流している。この前に流していた曲は何だったのだろうか。寒い曲だろうが。
車に戻り、トイレで手を洗う。どえらく疲れた。墓地への下りでは太ももが張って、痙攣する寸前であった。身体のあちこちが痛い。駐車場には車がもう一台置かれていた。地元のナンバーで、福寿草ではないかもしれない。車のエンジンをかけると、気温が19℃を示していた。これは、陽当たりだからであろう。走らせると、一気に12℃まで下がってしまった。
(ムクゲ公園のロウバイ)

(同じく「秩父紅」。くたびれたというか、すすけた感じがしないでもない)

帰り道、皆野町に入ると<ムクゲ自然公園>の看板が見えた。そういえば、この公園で、秩父特有の「秩父紅」という福寿草を見られるという話を目にしたことがあった。積極的な関心事ではなかったが、時間を持て余し気味なので寄ってみた。
入園料を取られるとは知らなかった。案内所のオバチャンが「いつもなら500円ですが、秩父紅の咲き具合が悪いので、300円にします」とのこと。
園内を回る。ロウバイが見頃は過ぎているようだが満開だ。福寿草のコーナーに行ってみた。「一般種」「原種」「秩父紅」の3コーナーに分かれていた。「秩父紅」コーナーの福寿草が正直のところ見劣りした。これが200円引きの正体かといったところだが、きれいに咲いている花を見ると、赤みのかかった花だった。ただそれだけのこと。自分に草花のうんちくは土台無理な話だ。
福寿草も、今季はこれだけにしておこう。早速、ツアー募集の記事も見かけた。大勢のハイカーの喧噪の中で至福の一時を味わうつもりもないし。
私の恩人のネコ車がないのは、ちょっと心配、大雪の影響で風景も変わってしまって、さびしいです。
そのうち、ネットで見ただけでも2つ3つのツアーを募集していたので、荒らされてしまうのでしょう。営利目的のため、道を作ったり、花をつぶしたり、やりたい放題のようです。
秩父紅、近くで黄色と見比べると、赤いのが分かるのですよね、花園に入れたら、増えるかなと思ってしまいました。
腰と眼をお大事に・・・
もう、春ですね
恩人のネコは、もう廃棄処分でしょう。それでなくともタイヤが割れていかれていましたから。
物置の中にあったネコは、これもまた年代物でしたが、奥にしまいこんでいましたよ。出し入れしづらい状態で、静かに眠っておりました。
花園に道をつくった、ですか?初耳です。それらしき道は見あたりませんでしたけど。もっとも、造っては崩壊の連続でしょうから、むしろ造らない方が崩壊も遅くなるような気がしますねぇ。
こうやって自分で行くは良し、だけど、ツアーはけしからんというのもまた矛盾した勝手な話で、複雑な心境ですわね。
秩父紅って、秩父のどこの自生なのでしょうかね。ここの花園も、他の自生地でも秩父紅の群生というのは、あまり聞いたことがないのですが。
花園に持って行ったら、それこそツアーがもういくつか増える段になりますよ。
みんな満開のときを目指していくんですものね。
山歩きも兼ねていたわけですから花は早めでも静かな歩きが出来たということで結果オーライじゃないでしょうか。
花の命は短くて・・・
タイミングは難しいですネ。
そんな珍しいことを昨日もやっていましたよ。もっとも、昨日は休みの日でしたがね。
三毳山のカタクリですわ。まだ早いことはわかっていて行ったのですが、本当に早かった。まぁ、ついでに行っただけのことで、落胆も何もしませんでしたが。
こうなったら、ただの名物の先取り追っかけでしか過ぎないような気もいたします。
ここの花園に初めて行ったのは4年前で、まだ「秘密の花園」なんて言われていた頃で、行き着くまでのルートも不詳の状態でしたが、その間、ツアーの募集がでるやら、GPSマップが掲載されるやらで、今や、秘密のスポットでも何でもなくなりました。
そんなことで、あせりもあっての休暇となったのですが、本当にだれにも会わず、確かに結果オーライでしたね。
三毳山の方はそうも行きませんでした(笑)。同じようなことを思う方が結構いるものですね。
術後の経過が、一応は良好のようで、よかったです。
大ドッケの福寿草、私も来週子供を連れて訪ねようと思っていたところなので、積雪状況等、大変参考になりました。
しかし、ツアーは困ったものですね。我々の構えとしては、勝手だと言われようとも、ツアーはダメだけど個人的なものは可、ということでいいのではないでしょうか。
シャクナン尾根の上部は、そのまま尾根筋を追って下れば、問題ありません。下部(1260m峰からの北東尾根)には古い作業道(山道・入口にピンクテープあり)が残っていて、快適に下れます。ただし意図的に作業道を外して下ろうとすると、手の付けられないような急斜面に出てしまうかもしれません。私はそれで失敗して、作業道を下りなおしました。
話は変わりますが、たそがれオヤジさんの最近のレポートに、「枯淡」と表現していいのかどうか、なにかこう、寂びのようなものを感じております。年輪(勿論いい意味での)というやつでしょうか。
コメント、ありがとうございます。グッドタイミングでしたか。
来週となると、ちょうどいい見頃の時かもしれませんよ。
今週は良天続きのようですし、一斉に開花かもです。個人的に行かれるのでしたら(笑)、週末から来週がお薦めと思いました。
ところで、ちょっとばかり触れましたが、十津川さんのおかげで、大ネド尾根恐怖症になっちゃいましたよ。
初めて登った際の印象は、12月で雪が少しはあって、それなりに良かったのですが、クマがうじゃうじゃいるんではねぇ。
シャクナン尾根の情報、ありがとうございます。下部が作業道を追えば無難ということは、いろいろと情報を集めて知ってはいるのですが、尾根伝いに登らないとあまり意味がないといった気持ちがありまして、そうなれば、やはり最初は下からの上りでと思っております。
ただ、大平山側の雪の状況からして、せいぜい一月は待った方がいいだろうと思っております。グミの滝経由はまさに崩壊のようですね。行っておいてよかったと思っております。
「枯淡」ですか。深く考えたこともありませんし、意識したこともありませんが、やはり、年と共にかもというのがあるでしょう。
その割には、まだまだガツガツしながら登りたいルートがいっぱいですよ。枯淡なら、わきまえの気持ちも少しは出てくるのではと思うのですが。
平日歩きとは、うらやましいなぁ~。
この周辺はいろいろな思い入れがあってとても興味深いです。
正露丸の臭いも最近かいでいないし。
猫車も見ていないし。
なによりも、綺麗サッパリ無くなってしまったスズ竹の事が気になります。大平山、小黒のスズ竹がこれほどまで壊滅的に消失した原因はなんなんでしょうかね?
有間山のスズ竹も足が地面に着かない程密生していたのですがねぇ~。
シャクナン尾根、狙っていたのですね!
私も狙っておりましたが、なんとなく怖そうで躊躇しておりました。たそがれさんの記録待ちとしておきます。
大ドッケに行かれたのですね。またもや先を越されてしまいました(^_^;)
というよりも私が後追いしているだけですが(笑)
福寿草は来週あたりから良さそうですね。あの場所は誰もいない静寂のなかでこそ、味があるのだと思います。五分咲きとはいえ、平日に行かれて、正解だったのではないでしょうか。あと、スズタケがなくなり、かなり雰囲気が変わりましたね。
以前から気になっているグミの滝は、今年こそはと考えており、大ネド尾根も歩いてみたいのですが、たそがれさんと同様に「藪尾根単独行」を拝見して、少しビビっております(^_^;)
雪がすっかりなくなった頃に、チャレンジしてみたいです。
秘密の花園は、ぶなじろうさんの記事を拝見して以来、すっかりとりこになっております。
花に造詣はないものの、山歩きの風物詩といいますか、毎年のように、この時期になると気になって、気になって。
毎年行きたいところですが、崩壊に加担するのも抵抗があって、隔年訪問になりつつあります。
正露丸の香りは、ある意味、秘密の花園への誘いですかね。あの漂いなくして、花園には行けませんよ。しかし、帰って来ると香りが消えているのは何なんでしょうかね。
スズタケの件、科学的な要因はともかく、立ち枯れ状態が、昨年の雪で壊滅になったことは確かで、大平山寄りも細々としておりました。
見晴らしが良くなったといえばそれまでですが、秩父の山らしさが消えて、ちょっと残念です。
ぶなじろうさんがシャクナン尾根に興味をお持ちのことは存じておりました。私の場合、取りあえず「山と高原地図」に出ている尾根だけでも歩くつもりの一環なのですが、雪が消えたら行って来ますよ。
大ドッケの手前ピーク2か所の登りが手ごわいようですね。
後追いなんておこがましい。むしろ、こちらがHIDEJIさんの後追いをしていたら、大変なことになり、ブログ記事も大笑いなものになりますよ。
何せ、福寿草の後は軽く仙元尾根を下られる方ですからね(笑)。実は、今回は、あわよくばその後追いをと考えていたフシもあったんですがね。黙っておりました。
HIDEJIさんも、思い切って休暇をとって行かれてみたら?私なんざ、いつ休暇をとろうが勝手だろうといった身分なのですが、他のハイカーの姿を見かける、見かけないで、あそこは随分と違いますよ。
もしかして、下りはシャクナン尾根予定?お手柔らかに願います。
さて、グミの滝、あそこ、去年の大雪でかなり厳しくなっているようですよ。入口のすぐ先付近から崩壊の連続のようです。行かれるのでしたら、ロープを忘れずに。
それから大ネド尾根ですが、今の時期ならまだクマも少ないのではないでしょうか。春過ぎはアウトでしょうね。