たそがれオヤジのクタクタ山ある記

主に北関東の山を方向音痴で歩いています。山行計画の参考にされても責任は負いかねます。深慮せず軽く読み流してください。

赤城の荒山は我が身にはきつかったが、静かな雪山歩きを楽しめただけでも満足。

2025年02月18日 | 赤城山周辺
◎2025年2月15日(土)

姫百合駐車場(7:53)……荒山高原(8:28)……荒山(9:38~9:50)……ひさし岩(10:00)……上の避難小屋(10:13)……棚上十字路(10:42)……荒山高原(10:57)……駐車場(11:21)

 前日のこと。赤城山を眺めていたら、全山真っ白になっていた。寒波の最中にも、見えれば眺めてはいたが、鍋割山が白くなることはなかった(実際はそうではなかったようだが)。翌日は鍋割山に行くことにした。もはや降雪の中をラッセルしてまで、ワカンやらアイゼンで歩く気持ちはない。鍋割山ならハイカーも多いし、雪道も踏み固められているだろう。本心では荒山の方に行きたいところだが、荒山がきついことはわかっているし、両方回るのは、雪の時季では無理だろう。鍋割山で雪山歩きの気分を味わい、楽しめればそれで十分。
 ラッキーにも好天だった。途中、17号線から見る赤城は全山真っ白ではなくなっていた。やはり、鍋割山の白さは消えている。ここまで来たらと、そのままに行く。一晩にして雪が消えるわけはあるまい。

(出発)


 今日は気温も上がりそうだ。そのせいか、8時前なのに、姫百合駐車場にはすでに25台に近い車があり(収容台数は30台ほどらしい)、準備中の方も大勢いた。しかし、この騒音は何だろう。いくつかの女性グループが声高におしゃべりをしまくっている。今日は、たまには登山靴に軽アイゼンかチェーンスパイクでもつけて登ってみるかと思っていたが、この騒ぎの場にいたたまれず、つい長靴を履き、さっさと出発した。

(寒いが少しの我慢。風がないだけマシ)


(荒山の<展望の広場>への直通路だが、窪みはあったが、トレースはない。後で確認すると、展望広場から、ここに向かう窪みすらなかった。Uターンでもしたのか)


(荒山風穴)


(ようやく明るくなってきた)


 風がないとはいえ、日陰が続き、陽のあたる荒山高原までは寒い。踏み固められた登山道は歩きやすいもののきつい。こんなところで早々に息切れかと情けなかったが、帰路に下ると、初めて歩くわけでもないのに、意外に急だったことに初めて気づいた。ハーハーしているのが顔に出ている単独のオバちゃんを抜き、前後にだれもいないことを確認しては立ち休みを繰り返した。下って来る数人と出会う。この時間なら、おそらくは鍋割山だけだろう。

(荒山高原。ここから見る限り、荒山にはさほどに雪は見えない)


 荒山高原に到着。この時期、風が吹きさらして雪が舞い散る荒山高原のイメージばかりだが、不思議に風はなく、むしろ、雪のあるわりには暖かい感じすらした。少し休んでいると、オッちゃんが登って来た。駐車場で隣にとめた方のようで、車の中でおにぎりを頬張っていた。水を飲んでいる間にオッちゃんの姿は消えていた。その後に会うことはなく、下山したら駐車場の隣は別の車になっていたから、オッちゃんは鍋割山ピストンだろう。
 ここからどうするか悩んだわけではない。特別な意図もなく、荒山方面にトレースがあったので、鍋割山とは反対方向の荒山に向かった。おそらく、無意識のうちに、駐車場の混雑からして、鍋割山には行きたくなくなっていた。雪歩きをゆっくり満喫からは程遠い騒がしい中での歩きはしたくない。

(出始めは雪が少ないのか、雪も締まって歩きやすい)


(実に満足といった感じ)


(雪綿帽子)


 荒山に足を向けた以上は覚悟しなければなるまい。トレースはあるとはいっても、鍋割山と違ってせいぜい10人分ほどのもので、それでいてズボズボするわけでもない。問題は、荒山まで辿り着けるかどうかということで、せめてあそこまでは行ってみたいという見晴らしスポットがあり、その先は行かずに戻ってもいいと思っていた。その後に鍋割山に行くかは気分と体力次第だろう。スポットの標高にしても、鍋割山よりも80mほど高いし、それだけでも自己満足にはなる。

(トレースばかりを気にすると、枝が頭や顔に引っかかる)


(富士山が見えた。実は何枚かアップも含めて撮ったが、全部ぼけていた)


(以前は展望も良かったのだろう。だからの「展望の広場」。展望なし。駐車場へのショートカットトレースもなかった)


(荒山が若干近づく)


(ごちゃごちゃしたところを通過すると)


(好みの展望スポット)


(鍋割山方面。左端に富士山。右の白いのは…)


(浅間山)


 スポットに着いた。ここは横道になっていて、灌木も一旦は途切れ、鍋割山方面がよく見え、天気次第では小さな富士山も浅間山が見える。両方ともに見えたが、その間に立ちふさぐ灌木が高くなっているのか、どうもすっきりした眺望スポットではなくなっている。これは、雪が深く、立ち位置も高くなってたるためだろうか。ちょっと残念ながらも、まだ先に行く体力も登るにしたがって戻りつつあるようなので、そのまま荒山を目指すことにした。

(ツララ。漢字では「氷柱」。子供の時、日常的にツララと言っているから、「氷柱」には違和感がある。まだ水は垂れていないが、気温も上がりつつあるから、夕方には消えるかも)


(暴れ樹か?)


(きれいな雪庇)


 大げさだが、雪の風景に癒されながら登った。小さな雪庇、細いながらもたまには軽く踏み抜くトレース、もはや霧氷はないものの、樹々の枝に重く溜まった雪、そして抜けるような青空…。すべてが満足。何よりも、だれも前後を歩いていないのが気分良しだ。ただ、興ざめなのが、枝が頭や顔にあたってうっとうしいことで、これは、前をよく見ながら歩かず、踏み抜くまいと、足もとばかりに気を向けているからでは仕方もない。

(ようやく。間もなくだ…ならいいが)


(単独歩き氏が下って行った)


(ロープ場。頼ることはないが、次にもあったような気がする。それが見えなかったのは、いつもよりも雪は深いのだろうか)


(間もなく山頂)


(山頂に到着。心配する程のこともなかった。天気も良かったし。これまでにも何度か積雪の荒山に登ったが、大げさながらも、今回はなぜか感慨深いものがあった)


 山頂下の鞍部で一息ついていると、二人、一人と下って来た。そういえば、トレースに残った足跡は下り方向が多かったようだ。荒山高原から荒山に直登するよりも、東の避難小屋経由でひさし岩、荒山へと歩いた方が楽には感じるが、自分の感覚ではそうでもないような気がする。現に、避難小屋にあった標識には、荒山高原まで標高差210mとあった。雪の中の210m登りはきついだろう。
 ロープ場通過。ロープに頼ることはないが、いつもなら、半分隠れたり、ロープがガチガチになったりしているが、それはなかった。もう一か所にロープがあったような記憶はあるが、それを見ることはなく山頂に到着。久しぶりに結構汗をかいた。上着の一枚を脱ぐ。

(見晴らし場の岩から谷川岳方面。手前に小野小山と子持山だろうか)


(鈴ヶ岳を入れたが、撮る姿勢はきつかった)


 山頂にはだれもいなかった。今日は荒山に無理して登って正解だった。しばらく山頂を回った。雪のせいばかりではないらしい。西側の展望がすっきりしているはずなのに、展望地の岩に上がっても、枝がどうも視界の邪魔になった。かつて下った北尾根方面にはトレースどころか窪みすらなかった。

(南東尾根を下る)


(トレースは2/3ほどになったが、下りで、スパ長でも快適)


(これは30cmほどの踏み抜き)


 山頂には10分ほどいた。登って来る人はだれもいない。鍋割山はさぞ賑やかだろう。下るか。せっかくの雪の中、同じ道を下っても楽しくはないだろうと、ひさし岩の方に下る。幸い、トレースもしっかりとある。ただ、周回で歩くとなると、実はあまり面白くもない区間がある。ひさし岩から避難小屋に下るまではよいが、その先、荒山高原に戻るまで、気分的にかなり長い。おそらく、見どころの展望スポットもなく、同じ風景の中を歩いている感じがするからだろう。

(ひさし岩)


(ひさし岩から)


(同じく)


(休憩して下る。しかし、こんな風景も、夏なら、わざわざブログ記事にアップすることはあるまい。雪の風景だからだ。気持ちに邪念も何もなくなる)


 ひさし岩で小休憩。地蔵岳から黒檜山、その奥の鈴ヶ岳の一角がすっきりと見える。ここだけは、邪魔な枝もない。ここで大福を一個食べる。水を飲んでこれで十分。サングラスの青年が登って来た。疲れ気味というのはすぐに歩き方でわかった。しばらく休んでいるようで、その間に、こちらは下る。以前、積雪期に逆コースで歩き、荒山高原からさらに鍋割山を往復したことがあったが、三年前のこととはいえ、まだ元気だった。ちなみに、荒山からの下りでハイトスさんご夫婦と出会ったりしている。わずか三年で、この体力減退とは年齢的なものだろう。そう感じるのも無理はなく、落胆してもはじまらない。

(避難小屋に到着。「避難小屋」としては開放的で無理がある。それでいて「東屋」にすると、見えるのはヤブだけ。「休憩舎」とした方が無難かと思うが)


(長く緩い下りが始まる)


 自分にはただの休憩舎としか思えないが、観光案内書の『赤城山ハイキングマップ』には<上の避難小屋>、ひさし岩の標識には<南尾根の東屋>とある建屋まで下った。いつもなら、この見た目が茶室風の小屋の前で休むが、今日は素通り。ひさし岩を過ぎれば退屈な歩きが続くし、別に休みたくもない。
 ここで、前述の「荒山高原まで標高差210m」の標識を改めて確認したのだが、距離としては1.6kmで、荒山高原からでは地味につらい登りかもしれない。現に、出会ったオッちゃんはきつそうな顔をしていた。無理もない。たかが荒山とはいっても、直登するよりも、迂回して登った方が楽に思える。後で調べると、小屋の標高は1425mほどで、鍋割山よりも100m弱高く、ここからあと150m頑張れば荒山に至る。どっちが楽なのかは、あくまでも歩く方の感覚だろう。どちらにしても、雪の歩きなら、労苦は同じとしか思えない。

(鍋割山が見えてくる)


(沢筋を超える)


(帰宅してメジャーで計ったら60cmだった。気温が上がり、雪も緩みだしているようだ。長靴については、カバー付きだから、中に雪が入り込むことはない)


(東屋には寄らなかった)


(棚上十字路の標識。<箕輪バス停1.7km>方向に向かう)


(芝の広場)


(飽きてきているが、間もなく荒山高原だろう)


 退屈な下りになった。ただ、トレースを追っているのに踏み抜きが多くなり、左足が60cmほど埋まったところもあった。おそらくは気温が高くなっているせいもあるのだろう。
 棚上十字路を通過。トレースは幾分細くなった。さすがに赤城温泉方向にトレースはないが、南の森林公園方面にはトレースが続いている。鍋割山から荒山高原に出て周回するのか、あるいはさらに荒山まで行って下るのかは知らないが、後者だとすれば、積雪期ではかなりきつい歩きだろう。

(荒山高原帰着。もう十分。楽しかった。鍋割山に行く余力はなくもないが、満喫したから、もういいだろう)


(高原から下る。往路では、さほどに雪が深いとは感じなかった)


(これから登る方もいる。鍋割山なら、この天気では問題もあるまい)


 ようやく荒山高原に到着。だれの姿も見えないが、鍋割山の方から声は聞こえる。鍋割山に行く気はなく、迷うこともなかった。水を一口飲んで下る。これから登る人も結構いる。10人ほどと出会ったか。こちらが長靴だから、そのスタイルの方を目にすると、つい気になる。当たり前だが、長靴の割合はきわめて少ない。大方が登山靴にアイゼンかチェーンスパイクだ。前を歩くご夫婦と思われる二人連れ、カミさんの方が長靴だった。ダンナは登山靴にアイゼン。カミさんの長靴にはアイゼンを付けていた。追い越した際、「スパイク長靴にすればいいんじゃないですか。そうすれば、アイゼンはいらないでしょう」と言うと、笑顔でスパイク長靴に用心してアイゼンを付けているとのことだった。オレの声かけは余計な一言だったのかもしれない。しかし、スパ長にアイゼンを付けたら、うまく靴底に固定せずに歩きづらい感じがすると思うが。むしろ、スパイク無しのただの長靴には合うような気がする。

(ここで、スバルの森に下ってみようかと思ったが、思っただけで終わった)


(ラストの下り)


(駐車場は満車になっていた。変則的な駐車をしている車もあった)


 後半になり、今さらの快適な歩きになって駐車場に到着。駐車場はほぼ満車状態。出発時に隣のオッちゃんの車は軽だったのに、そこに大型の四駆が入り込んでいて、運転席側からは車内に入れず、助手席側から入り込んだものの、今度は、バックしての切り返しに苦労した。

 余計なことは記すまい。3時間半ながらも、予定外の荒山を楽しめた。トレースがあったからこそのことで、それがなかったら、荒山に登ることはなく、鍋割山の賑わいに閉口してさっと下り、たいした気分的収穫もなく終わったかもしれない。鍋割山を嫌っているとか、マイナーな山と思っているわけではない。鍋割山まで至る両サイドの景観は、荒山ごときではなく素晴らしいと思う。ただ、ハイカーが多いのは何とも…といったところだ。
 18日からはまた寒波の訪れらしい。山歩きするのも寒い中ではごめんだ。地元付近の春探しでもしようか。

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