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◎2021年8月28日(土)
ここのところ滝見が続いたので、たまには山登りでもしてみる気になった。だが、猛暑の時期に山歩きをする自信はまったくない。汗だくになってヘタをすれば熱中症になる。だからこの時期は沢遊びに逃げていた。そもそも暑い八月の山行は少ない。昨年は沢を二回、一昨年は沢一回で済ませている。暑さの中の歩きが人一倍苦痛なのだ。ただ、余計なことが気になってくる。シーズン問わずに今の自分に果たして山登りの体力はあるのだろうかと。
この八月も夜後沢二回で終わりそうで、また沢に逃げるのも何だし、涼しくなる季節に向け山登りをして、自分の体力を確認しておきたい。気力は体力に追従するから確認せずともいい。惨憺たる結果なら落ち込むだけのこと。それはそれで現実なのだから素直に受け入れるしかなく、つるべ落としの秋にはレベルに見合った山の紅葉見物に行くだけだ。
コロナ感染のまん延防止やら緊急事態宣言が幸いしたというか、手頃な理由付けになっていて、できるだけ、ずっと群馬県内から出ない山歩きをしていたし、迷うこともなく手軽で近い赤城山を選んだ。夏場の赤城は意外に涼しく、確かに3年前の8月に黒檜山・駒ヶ岳を歩いた時は寒いくらいだった。もっとも陽が出ると暑いのに変わりはないが。今回はポピュラーで密そうな黒檜山は避けて鍋割山と荒山にした。駐車地も姫百合ではなく青少年交流の家の先にある相吉林道登山口。これは、ちょっときつめの歩きをしたいといったところもある。
(林道側登山口)
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(ガスで先が見えていない)
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8時ちょうどの時点ですでに車は7台。すべて出払った後で、車載の気温は21℃。標高は800mほど。上武国道から離れる際の気温計はすでに28℃になっていたから、涼しいはずではあるが、外に出ると、メガネが湿気ですぐに曇り、無風で涼しさは感じず、雨上がりの後らしい。すぐにアブが2匹飛んできた。今日は久しぶりに地下タビを履き、虫除けスプレーを全身にかけた。どんよりしていて上は見えていない。そもそも、国道から赤城山の姿は見えていなかった。すぐに出発。
歩き出し間もなく汗がふき出した。やはり、風がない時の最悪のパターンで、二回続きの夜後沢歩きと同じだ。汗の流れは山頂まで続いた。休んでは汗の落ちたメガネを拭き、顔の汗をぬぐった。身体は拭きようもなく、汗でべっとりの下着が身体にへばりついたままで極めて不快。後ろにだれもいないことが分かっていながら、いずれは追い越されるのも嫌で、先の分岐で前不動経由にしようかと思ったが、そちらはヤブもかなり濃くなっていて、荒山に行くこともなく鍋割山ピストンになるようなら、そちらを下ることにして、ここはオーソドックスに直進。ここからがきつかった。
(登山口を見下ろす。前橋の街並みはうっすら)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/44/e1/55e51c7f64f2fafd1736b973b5d0f45e.jpg)
(ゴロ石の多い登山道。次第に急になっていく)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/11/2e/cd18799e178c58deab6ed5c9f864e6dd.jpg)
(紅葉の始まり…というわけでもないだろう)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4a/b4/8117c7f7e86b8d7501d407e7d67a0746.jpg)
(上は青空が広がりつつあるが)
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(鍋割山はまだ隠れている)
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このコースを歩くのは初めてではない。6年前の7月に前不動経由で鍋割山に登り、荒山にも行かずに通常コースで戻った。鍋割山までは前不動経由で1時間15分だった。その頃の体力はすでにないのは承知のうえだ。急坂になった途端に立ち休みが続く。出る汗はさらに増えた。せめて風でもと願わずにはいられない。汗拭きの右手ポケットの手拭いはすぐにびっしょりになって絞れるほど。ストックを出せば楽なことわかっている。今回はこらえた。ただ、この状態で鍋割山には登れたとしても、荒山は無理だろう。早々にあきらめた。とにかく目の前に続く急坂登りがきつい。視界先のあそこまで行ったら立ち休み。そんなささいな目標もこなせず、二回目の立ち休みでようやく目標スポットに到着といった体たらくになっていった。やはり、自分の場合、暑さの中の歩きの弱さは大量の汗かきからの体力消耗のようだ。どこか、体内調整装置が悪いのだろうか。考えてみれば、半端ながらもまともな山歩きは二か月前の雨降山以来だ。
(この時期だからか花の少ない登山道。無理に撮っては休んでいる)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6b/fa/5901bf7982d9fa0b86c1a39c370c41c1.jpg)
空身のオニイサンが下って来た。本当に空身。水筒すら持っていない。日常的にここを登っているのだろうか。汗はあまりかいていない。続いてネエチャン単独。「鍋割山だけ?」と聞くと、「暑くてバテバテ」とおっしゃっていた。後でYAMAPの記事を見ると、自分が登っている時間帯に下って来た方がいた。男性だったからオニイチャンの方だろうが、記事には荷物有りで登っている。他に会った方はいない。それはともかく、YAMAP掲載の方は鍋割山のピストン歩きだったが、往復休憩込み1時間半で歩いていた。すごいものだ。こちらはその往復タイムで往路をゼーゼーと登っている。年の差、体力の差なのだろう。これに落ち込んでいてもしょうがない。自分の目標にするのはあくまでもコース標準タイムだ。石井スポーツに置いてあったパンフでは登山口から鍋割山までは1時間55分となっている。それ以内で登れれば御の字だ。これを超えたら深刻だ。
(限界に近づいている)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/77/d7/34908e5721b5426c3ac3f99829f33a45.jpg)
(急なところは本当に急だが、ずっとロープが続いている)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/78/02/719f86e878418d4c26f04311da0a06a9.jpg)
歩き出しから一時間。相変わらず樹林帯の急登りの中にいる。GPSで確認すると、標高1150m地点。山頂まではまだ180mもある。右ポケットの汗拭きをまた絞る。メガネ拭きの左ポケットの手拭いもかなり汗ばんでいて、メガネを拭くと曇ってしまう状態だ。メガネを外せば気にせずに歩けるだろうが、ゴロ石が続く登山道ではそういうわけにもいかない。
ロープ場で立ち休みをしていたら、不意に人の気配がし、振り向くと真後ろにオニイサンがいた。先に行っていただいたが、颯爽と歩いてはいるものの、顔はやはりゆがみ、汗びっしょりになっていた。そんな状況でもさっさと歩けるのはうらやましい。
(樹林から抜け出す)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/64/38/15ae331449f3254ff1fa0e2aab041170.jpg)
(階段が続く)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/23/a2/74fd0b3f8ea1e18af92429685fc3ea8f.jpg)
(間もなく山頂のようだ。休んでいる人の姿が見えた)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/41/37/1290c21411aed6dc7cd307af8f4dcd75.jpg)
ようやく先が見えてきた。樹林帯から抜け出たようだ。傾斜も緩くなった。そして前不動経由道と合流。見上げると空の青さは広がってきていて、風も相変わらずになく、気分的にやたらと暑苦しくなった。余裕があれば、この近くにあるらしい石積み跡を確認しておきたいが、そんな気分にはまったくなれない。ここから階段が山頂まで続いているはず。階段登りもそれなりにつらい。
階段の途中で見下ろすと、後続者の姿が見えた。単独のオッサン。秋も確実に近づいているのか、赤っぽくなったススキの穂や草むらに咲くつまらない花を写真撮りなんかして時間をつぶして先行してもらう。
(鍋割山山頂)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/35/95/2e5e049c0a72998b42897291d9bfd405.jpg)
下からでは見えていなかったが、いきなり複数のハイカーの姿を見て山頂に到着したことを知る。9時38分。出発から1時間35分もかかってしまったが、コースタイム1時間55分以内で収まったことにほっとした。
山頂には日陰がない。唯一の日陰は二人連れに占拠されている。日向で30分ほど休憩し、その間にヤマザキのランチパックを食べた。無性に腹が空いていたのでシャリバテもあったろうか。下りのコースは登りながらすでに決めていた。ピストンだけは避けたかった。さりとて前不動経由も気乗りがしない。そうなれば、荒山高原に下り、棚上十字路から南下して林道に出て、林道歩きで戻る。棚上十字路から先は歩いたことがないので、それがよかろう。元より、荒山に行った場合、先はそのコースで戻るつもりでいた。荒山を眺めながらも、休んだところでその気にもなれなかった。絶対、バテバテになって途中から戻ることになる。
(これでは前橋市内から赤城山は見えないはず。現に帰路の上武国道からも見えなかった)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0e/b5/a95634d43c315296c551b09702b78a80.jpg)
休んでいる間に、メガネをサングラスに代え、運動着の裾を地下タビの外に出した。少しは涼しくなるだろうか。帽子は脱いで手拭い巻きにしようとしたが、自撮りした写真を見る限りは職人風の顔つきではないためか全然似合わず、帽子に戻した。そして、ストックも一本だけ出した。アイコスを吸って、休憩タイムは終わり。
荒山高原に下る。その際、山頂備え付けの寒暖計を見ると、27.5℃を指していた。午後には確実に30℃超えだろう。炎天下の山歩きだけは避けたいが、林道に着く頃には30℃になっている可能性は高い。
(荒山高原に下る)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/53/91/42c8cb789ce90d6c522e412e7c697414.jpg)
(鍋割山を振り返って)
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(荒山と地蔵岳)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/28/17/0f2dfaa0b117f3e9e909ab56bd36dfd8.jpg)
(ススキの穂が赤くなっている)
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(鈴ヶ岳)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/03/95/ca39f9603687431edc3deeab89be331b.jpg)
(荒山高原。緑がかなり焼けている感じだ)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/43/03/479d406b0c3e5f829bfa92b14eac67c1.jpg)
やはり下りは楽だ。竈山、火起山のちょっとした起伏も、これまでの登りを考えれば楽なもので、登りの苦しさは何だったのだろうかとさえ思う。そんな余裕も、もう登り作業はないといった安心感からくるものだが、話は戻るが、さりとて、これなら荒山に行けるかもなんて気楽な考えだけは浮かんでこない。
荒山高原に出た。グループもいる。10人ほど休んでいる。ほとんどが姫百合駐車場から登って来たのだろう。姫百合駐車場の標高は1020mほどらしい。相吉林道登山口よりも200m以上高い。急な登りはないし、汗みどろになるほどのことはないのではないだろうか。
(棚上十字路へ)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/54/9a/89d89810c3d2b0b398d05c12204259f9.jpg)
この先、標識を見ると、棚上十字路までは500m、林道(赤城森林公園登山口)までは2kmとある。林道区間の歩きはどの程度のものかはわからないが、4kmほどのものだろうか。取ってつけた話のような気もするが、往路使用ルートは石ゴロの悪路だった。ピストン歩きを嫌う方には、気を遣いながら下るよりも、距離は長くとも安心して下れるこちらを選んだ方がいいだろう。もっとも自分の場合は「初めての道」、「楽そうだから」でしかなかった。
棚上十字路までは平坦。だれにも会うことはなかった。ぬかるみは随所にあったが端を泥もつけずに歩ける。そういえば、竈山だったか火起山のあたりにいつもぬかるみがあった。雨上がりのはずなのに今日は気にもかけずに歩いた。ぬかるみはあったのだろうか。
(芝の公園)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/37/4c/6e180aa09251e2265063df08a7a85298.jpg)
見慣れた小屋が見えた。棚上十字路だ。森林公園駐車場方面に向かう前に芝の公園に入った。何ということもない原っぱだ。ベンチに腰掛けて汗を拭く。もうそんなに汗をかくことはないだろうと、汗拭きはそのまま乾かそうとザックに結わえて、左のポケットからメガネ用手拭いを出そうとしたらなかった。どうも途中で落としたらしい。ザックからタオルを取り出した。メガネの汗拭きはもう頻繁にはあるまい。タオルはそのまま首に巻いた。手拭いを山で無くしたというのは初めてだ。山のゴミを増やしてしまった。
(林道への道)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/09/6b/f463059de53d586442dc0d8848db58a9.jpg)
(歩きやすかった。急なところもない)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0d/bc/a9d5181dbd794dab8d2fc8e84d029baf.jpg)
(駐車場)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/10/13/f36e71b2a4588ee4ba32cbc80676f6fd.jpg)
林道まではクネクネした道が続いていたが、結構歩くハイカーも多いようで明瞭で歩きやすかった。ここにもナンバー入りの標示板があった。表記は荒山エリアになっている。ハイカーとは一人だけ出会った。登りのオッサンだったが、かなり重そうなザックを担いでいる。時間的に、どこかテントでも張っての泊まりだろうか。赤城山中テント泊というのは聞いたことがない。
大きめな石が目に入るようになり、そろそろ林道かと思ったら、やはり駐車場に出た。車は7台。こちらから登る方もいるようだが、鍋割山よりも荒山メイン歩きの方々が利用するのだろう。鍋割山側にはないトイレがここに置かれていて、外に水道も引かれていたので、顔でも洗おうかと蛇口をひねると茶色の水が出た。パイプの鉄サビだろうと、しばらく流しっ放しにし、透明になったところで顔を洗ったが、サビの臭いは消えなかった。それでもすっきりはした。
(林道歩き)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/29/c9/0db4ccab4c0051fad891c8e5ff3a5232.jpg)
(水源地)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/13/78/8f9fe31e2a95795125f71a8e1a8ab039.jpg)
(右手に鍋割山)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/76/da/7f8e6c96c5db6931993660a9b75f2b25.jpg)
ここからは舗装林道歩きになる。地図で見る限りは平坦だ。問題は暑さで、やはり体感として軽く30℃は超えている。この林道、運の悪いことに日陰になる林の中の歩きが少ない。途中、「水源地」と書かれた看板があり、水がほとばしっていた。能書きを読むと、江戸時代に発見され、以来、下の田んぼに引かれて利用されているらしい。手ですくうと冷たかった。飲むのはためらったが、冷たい水の誘惑には勝てず、水筒の水は空にし、ポカリの粉末を入れて一気に500ml飲んでしまった。本当は、こういう沢水の飲料は、そのままでは避けた方がいいだろう。せっかく無くしたピロリ菌が再発生する遠因にもなる。ついでにタオルも手拭いも洗って冷やした。
(サーキット場)
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(早くあの日陰に入りたい)
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(葉が落ちて、決して涼しくはなかった)
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やたらとモーター音が聞こえるので、伐採でもしているのかと思ったら、バイクのサーキット場の脇を通った。終点は近い。ようやく林の中の長い日陰区間に入った。この林道、腰かけるほどの石やら倒木もなく、あったとしてもたっぷりと水を含んで腐りかけている。とても腰掛けできる代物でもないので、仕方なくしゃがんでアイコスを吸って休憩。ミンミンゼミが鳴いている。まだまだ夏は去りそうにもない。
(もう少し)
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(また鍋割山)
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(帰着。暑かった)
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森林公園荒山登山口(つまり下山口)まで3.9kmの標識が出てくる。やはり4km以上はあるようだ。自分が向かっている方向には「赤城有料道路まで6.6km」と記されている。南面道路が無料になって25年以上経っている。この標識はまだ富士見村のままなのだろう。
周囲は原野になり、ようやく駐車場に到着。もう車は4台くらいになっている。時間は12時半近いが、それでもこれから登る人がいた。暑さに強い方なのだろう。
汗だくになっている。下着はべっとり。今回は着替えを持ってきた。周囲にはだれもいなかったので、狭い車内では足か腕が攣ることもあるので外で着替えをした。その際にチクリとアブに刺されたようで、帰路の途中で痛痒さに我慢できずムヒを塗ったが、この痒さは数日続いた。
車で前橋市内に下って行った。上武国道に入ると、車載の気温計は38℃を指していた。
まだまだ暑い日が続きそうだ。やはり、コースタイム内とはいえ、夏の山登りは自分にはかなりきついようだ。しばらくは滝見でもしながら涼んでいた方が賢明かもしれない。
ここのところ滝見が続いたので、たまには山登りでもしてみる気になった。だが、猛暑の時期に山歩きをする自信はまったくない。汗だくになってヘタをすれば熱中症になる。だからこの時期は沢遊びに逃げていた。そもそも暑い八月の山行は少ない。昨年は沢を二回、一昨年は沢一回で済ませている。暑さの中の歩きが人一倍苦痛なのだ。ただ、余計なことが気になってくる。シーズン問わずに今の自分に果たして山登りの体力はあるのだろうかと。
この八月も夜後沢二回で終わりそうで、また沢に逃げるのも何だし、涼しくなる季節に向け山登りをして、自分の体力を確認しておきたい。気力は体力に追従するから確認せずともいい。惨憺たる結果なら落ち込むだけのこと。それはそれで現実なのだから素直に受け入れるしかなく、つるべ落としの秋にはレベルに見合った山の紅葉見物に行くだけだ。
コロナ感染のまん延防止やら緊急事態宣言が幸いしたというか、手頃な理由付けになっていて、できるだけ、ずっと群馬県内から出ない山歩きをしていたし、迷うこともなく手軽で近い赤城山を選んだ。夏場の赤城は意外に涼しく、確かに3年前の8月に黒檜山・駒ヶ岳を歩いた時は寒いくらいだった。もっとも陽が出ると暑いのに変わりはないが。今回はポピュラーで密そうな黒檜山は避けて鍋割山と荒山にした。駐車地も姫百合ではなく青少年交流の家の先にある相吉林道登山口。これは、ちょっときつめの歩きをしたいといったところもある。
(林道側登山口)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/66/92/afaef84b820ecb543dac94ce90ecdbdc.jpg)
(ガスで先が見えていない)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/63/86/914064593606567f0cc8c5641af7266c.jpg)
8時ちょうどの時点ですでに車は7台。すべて出払った後で、車載の気温は21℃。標高は800mほど。上武国道から離れる際の気温計はすでに28℃になっていたから、涼しいはずではあるが、外に出ると、メガネが湿気ですぐに曇り、無風で涼しさは感じず、雨上がりの後らしい。すぐにアブが2匹飛んできた。今日は久しぶりに地下タビを履き、虫除けスプレーを全身にかけた。どんよりしていて上は見えていない。そもそも、国道から赤城山の姿は見えていなかった。すぐに出発。
歩き出し間もなく汗がふき出した。やはり、風がない時の最悪のパターンで、二回続きの夜後沢歩きと同じだ。汗の流れは山頂まで続いた。休んでは汗の落ちたメガネを拭き、顔の汗をぬぐった。身体は拭きようもなく、汗でべっとりの下着が身体にへばりついたままで極めて不快。後ろにだれもいないことが分かっていながら、いずれは追い越されるのも嫌で、先の分岐で前不動経由にしようかと思ったが、そちらはヤブもかなり濃くなっていて、荒山に行くこともなく鍋割山ピストンになるようなら、そちらを下ることにして、ここはオーソドックスに直進。ここからがきつかった。
(登山口を見下ろす。前橋の街並みはうっすら)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/44/e1/55e51c7f64f2fafd1736b973b5d0f45e.jpg)
(ゴロ石の多い登山道。次第に急になっていく)
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(紅葉の始まり…というわけでもないだろう)
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(上は青空が広がりつつあるが)
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(鍋割山はまだ隠れている)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/69/8b/d9e2f87ea9acf8714bef589471bf88a1.jpg)
このコースを歩くのは初めてではない。6年前の7月に前不動経由で鍋割山に登り、荒山にも行かずに通常コースで戻った。鍋割山までは前不動経由で1時間15分だった。その頃の体力はすでにないのは承知のうえだ。急坂になった途端に立ち休みが続く。出る汗はさらに増えた。せめて風でもと願わずにはいられない。汗拭きの右手ポケットの手拭いはすぐにびっしょりになって絞れるほど。ストックを出せば楽なことわかっている。今回はこらえた。ただ、この状態で鍋割山には登れたとしても、荒山は無理だろう。早々にあきらめた。とにかく目の前に続く急坂登りがきつい。視界先のあそこまで行ったら立ち休み。そんなささいな目標もこなせず、二回目の立ち休みでようやく目標スポットに到着といった体たらくになっていった。やはり、自分の場合、暑さの中の歩きの弱さは大量の汗かきからの体力消耗のようだ。どこか、体内調整装置が悪いのだろうか。考えてみれば、半端ながらもまともな山歩きは二か月前の雨降山以来だ。
(この時期だからか花の少ない登山道。無理に撮っては休んでいる)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6b/fa/5901bf7982d9fa0b86c1a39c370c41c1.jpg)
空身のオニイサンが下って来た。本当に空身。水筒すら持っていない。日常的にここを登っているのだろうか。汗はあまりかいていない。続いてネエチャン単独。「鍋割山だけ?」と聞くと、「暑くてバテバテ」とおっしゃっていた。後でYAMAPの記事を見ると、自分が登っている時間帯に下って来た方がいた。男性だったからオニイチャンの方だろうが、記事には荷物有りで登っている。他に会った方はいない。それはともかく、YAMAP掲載の方は鍋割山のピストン歩きだったが、往復休憩込み1時間半で歩いていた。すごいものだ。こちらはその往復タイムで往路をゼーゼーと登っている。年の差、体力の差なのだろう。これに落ち込んでいてもしょうがない。自分の目標にするのはあくまでもコース標準タイムだ。石井スポーツに置いてあったパンフでは登山口から鍋割山までは1時間55分となっている。それ以内で登れれば御の字だ。これを超えたら深刻だ。
(限界に近づいている)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/77/d7/34908e5721b5426c3ac3f99829f33a45.jpg)
(急なところは本当に急だが、ずっとロープが続いている)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/78/02/719f86e878418d4c26f04311da0a06a9.jpg)
歩き出しから一時間。相変わらず樹林帯の急登りの中にいる。GPSで確認すると、標高1150m地点。山頂まではまだ180mもある。右ポケットの汗拭きをまた絞る。メガネ拭きの左ポケットの手拭いもかなり汗ばんでいて、メガネを拭くと曇ってしまう状態だ。メガネを外せば気にせずに歩けるだろうが、ゴロ石が続く登山道ではそういうわけにもいかない。
ロープ場で立ち休みをしていたら、不意に人の気配がし、振り向くと真後ろにオニイサンがいた。先に行っていただいたが、颯爽と歩いてはいるものの、顔はやはりゆがみ、汗びっしょりになっていた。そんな状況でもさっさと歩けるのはうらやましい。
(樹林から抜け出す)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/64/38/15ae331449f3254ff1fa0e2aab041170.jpg)
(階段が続く)
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(間もなく山頂のようだ。休んでいる人の姿が見えた)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/41/37/1290c21411aed6dc7cd307af8f4dcd75.jpg)
ようやく先が見えてきた。樹林帯から抜け出たようだ。傾斜も緩くなった。そして前不動経由道と合流。見上げると空の青さは広がってきていて、風も相変わらずになく、気分的にやたらと暑苦しくなった。余裕があれば、この近くにあるらしい石積み跡を確認しておきたいが、そんな気分にはまったくなれない。ここから階段が山頂まで続いているはず。階段登りもそれなりにつらい。
階段の途中で見下ろすと、後続者の姿が見えた。単独のオッサン。秋も確実に近づいているのか、赤っぽくなったススキの穂や草むらに咲くつまらない花を写真撮りなんかして時間をつぶして先行してもらう。
(鍋割山山頂)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/35/95/2e5e049c0a72998b42897291d9bfd405.jpg)
下からでは見えていなかったが、いきなり複数のハイカーの姿を見て山頂に到着したことを知る。9時38分。出発から1時間35分もかかってしまったが、コースタイム1時間55分以内で収まったことにほっとした。
山頂には日陰がない。唯一の日陰は二人連れに占拠されている。日向で30分ほど休憩し、その間にヤマザキのランチパックを食べた。無性に腹が空いていたのでシャリバテもあったろうか。下りのコースは登りながらすでに決めていた。ピストンだけは避けたかった。さりとて前不動経由も気乗りがしない。そうなれば、荒山高原に下り、棚上十字路から南下して林道に出て、林道歩きで戻る。棚上十字路から先は歩いたことがないので、それがよかろう。元より、荒山に行った場合、先はそのコースで戻るつもりでいた。荒山を眺めながらも、休んだところでその気にもなれなかった。絶対、バテバテになって途中から戻ることになる。
(これでは前橋市内から赤城山は見えないはず。現に帰路の上武国道からも見えなかった)
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休んでいる間に、メガネをサングラスに代え、運動着の裾を地下タビの外に出した。少しは涼しくなるだろうか。帽子は脱いで手拭い巻きにしようとしたが、自撮りした写真を見る限りは職人風の顔つきではないためか全然似合わず、帽子に戻した。そして、ストックも一本だけ出した。アイコスを吸って、休憩タイムは終わり。
荒山高原に下る。その際、山頂備え付けの寒暖計を見ると、27.5℃を指していた。午後には確実に30℃超えだろう。炎天下の山歩きだけは避けたいが、林道に着く頃には30℃になっている可能性は高い。
(荒山高原に下る)
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(鍋割山を振り返って)
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(荒山と地蔵岳)
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(ススキの穂が赤くなっている)
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(鈴ヶ岳)
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(荒山高原。緑がかなり焼けている感じだ)
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やはり下りは楽だ。竈山、火起山のちょっとした起伏も、これまでの登りを考えれば楽なもので、登りの苦しさは何だったのだろうかとさえ思う。そんな余裕も、もう登り作業はないといった安心感からくるものだが、話は戻るが、さりとて、これなら荒山に行けるかもなんて気楽な考えだけは浮かんでこない。
荒山高原に出た。グループもいる。10人ほど休んでいる。ほとんどが姫百合駐車場から登って来たのだろう。姫百合駐車場の標高は1020mほどらしい。相吉林道登山口よりも200m以上高い。急な登りはないし、汗みどろになるほどのことはないのではないだろうか。
(棚上十字路へ)
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この先、標識を見ると、棚上十字路までは500m、林道(赤城森林公園登山口)までは2kmとある。林道区間の歩きはどの程度のものかはわからないが、4kmほどのものだろうか。取ってつけた話のような気もするが、往路使用ルートは石ゴロの悪路だった。ピストン歩きを嫌う方には、気を遣いながら下るよりも、距離は長くとも安心して下れるこちらを選んだ方がいいだろう。もっとも自分の場合は「初めての道」、「楽そうだから」でしかなかった。
棚上十字路までは平坦。だれにも会うことはなかった。ぬかるみは随所にあったが端を泥もつけずに歩ける。そういえば、竈山だったか火起山のあたりにいつもぬかるみがあった。雨上がりのはずなのに今日は気にもかけずに歩いた。ぬかるみはあったのだろうか。
(芝の公園)
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見慣れた小屋が見えた。棚上十字路だ。森林公園駐車場方面に向かう前に芝の公園に入った。何ということもない原っぱだ。ベンチに腰掛けて汗を拭く。もうそんなに汗をかくことはないだろうと、汗拭きはそのまま乾かそうとザックに結わえて、左のポケットからメガネ用手拭いを出そうとしたらなかった。どうも途中で落としたらしい。ザックからタオルを取り出した。メガネの汗拭きはもう頻繁にはあるまい。タオルはそのまま首に巻いた。手拭いを山で無くしたというのは初めてだ。山のゴミを増やしてしまった。
(林道への道)
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(歩きやすかった。急なところもない)
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(駐車場)
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林道まではクネクネした道が続いていたが、結構歩くハイカーも多いようで明瞭で歩きやすかった。ここにもナンバー入りの標示板があった。表記は荒山エリアになっている。ハイカーとは一人だけ出会った。登りのオッサンだったが、かなり重そうなザックを担いでいる。時間的に、どこかテントでも張っての泊まりだろうか。赤城山中テント泊というのは聞いたことがない。
大きめな石が目に入るようになり、そろそろ林道かと思ったら、やはり駐車場に出た。車は7台。こちらから登る方もいるようだが、鍋割山よりも荒山メイン歩きの方々が利用するのだろう。鍋割山側にはないトイレがここに置かれていて、外に水道も引かれていたので、顔でも洗おうかと蛇口をひねると茶色の水が出た。パイプの鉄サビだろうと、しばらく流しっ放しにし、透明になったところで顔を洗ったが、サビの臭いは消えなかった。それでもすっきりはした。
(林道歩き)
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(水源地)
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(右手に鍋割山)
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ここからは舗装林道歩きになる。地図で見る限りは平坦だ。問題は暑さで、やはり体感として軽く30℃は超えている。この林道、運の悪いことに日陰になる林の中の歩きが少ない。途中、「水源地」と書かれた看板があり、水がほとばしっていた。能書きを読むと、江戸時代に発見され、以来、下の田んぼに引かれて利用されているらしい。手ですくうと冷たかった。飲むのはためらったが、冷たい水の誘惑には勝てず、水筒の水は空にし、ポカリの粉末を入れて一気に500ml飲んでしまった。本当は、こういう沢水の飲料は、そのままでは避けた方がいいだろう。せっかく無くしたピロリ菌が再発生する遠因にもなる。ついでにタオルも手拭いも洗って冷やした。
(サーキット場)
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(早くあの日陰に入りたい)
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(葉が落ちて、決して涼しくはなかった)
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やたらとモーター音が聞こえるので、伐採でもしているのかと思ったら、バイクのサーキット場の脇を通った。終点は近い。ようやく林の中の長い日陰区間に入った。この林道、腰かけるほどの石やら倒木もなく、あったとしてもたっぷりと水を含んで腐りかけている。とても腰掛けできる代物でもないので、仕方なくしゃがんでアイコスを吸って休憩。ミンミンゼミが鳴いている。まだまだ夏は去りそうにもない。
(もう少し)
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(また鍋割山)
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(帰着。暑かった)
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森林公園荒山登山口(つまり下山口)まで3.9kmの標識が出てくる。やはり4km以上はあるようだ。自分が向かっている方向には「赤城有料道路まで6.6km」と記されている。南面道路が無料になって25年以上経っている。この標識はまだ富士見村のままなのだろう。
周囲は原野になり、ようやく駐車場に到着。もう車は4台くらいになっている。時間は12時半近いが、それでもこれから登る人がいた。暑さに強い方なのだろう。
汗だくになっている。下着はべっとり。今回は着替えを持ってきた。周囲にはだれもいなかったので、狭い車内では足か腕が攣ることもあるので外で着替えをした。その際にチクリとアブに刺されたようで、帰路の途中で痛痒さに我慢できずムヒを塗ったが、この痒さは数日続いた。
車で前橋市内に下って行った。上武国道に入ると、車載の気温計は38℃を指していた。
まだまだ暑い日が続きそうだ。やはり、コースタイム内とはいえ、夏の山登りは自分にはかなりきついようだ。しばらくは滝見でもしながら涼んでいた方が賢明かもしれない。