たそがれオヤジのクタクタ山ある記

主に北関東の山を方向音痴で歩いています。山行計画の参考にされても責任は負いかねます。深慮せず軽く読み流してください。

グミの滝から予定外の大平山へ。最後はクタクタ林道歩き。

2010年05月03日 | 秩父の山
◎2010年5月2日(日)

 ハイキングがてらにグミの滝(昭文社マップには「グミノ滝」と記されている。どちらが正しいのかは知らないが「グミの滝」が自然に感じる)に行ってみる。この滝はぶなじろうさんのブログで知り、マニアックな山行も体験できそうだと期待していた。ぶなじろうさんが訪ねた際に持参された、ネット情報の手作り地図と同じものと思われるものも持参した。結論を先に出せば、確かに、この概略というよりも詳細な地図がなければ、おそらくは歩けなかったであろう。このルート、なかなかのマニアックルートであったため、大いに助かった次第。

(グミの滝入口)


 天目山林道を一般車両通行止めゲートまで入る。林道はゲートまでは細く、対向車が来たら、身動きがとれない。今日は軽自動車で来て正解だった。それでいて、ゲートを過ぎると幅広の林道となる。このゲートまで川俣の県道分岐から約10分。準備をしていたら、すぐに軽が2台やって来てゲートのカギを開けて入って行った。何かの関係者だろう。しばらくして、また軽。今度は釣りのようだ。地元の方らしく、平日はゲートも開きっぱなしのようで、いつもは先まで入るらしい。この林道を下った際に知ったが、工事区間が何か所かあった。その関係で平日は開放なのだろう。この連休中は、原則閉鎖ということだろう。余談だが、釣りのオジサンが言うには、冬に、ゲート前の駐車地に、上から鹿が落ちてきて死んでいたそうだ。確かに、上を見上げれば絶壁に近い。落石もあるようだ、戻って来てから、車が無傷でいることを願う。6時30分、オジサンに「気をつけて」と声をかけられて出発。林道沿いに歩く。その後、鹿をどうしたのか聞き忘れたのが気になり始めた。間もなく営林署事業所小屋。この一帯がいわゆるシゴー平と言われるところなのだろうか。確かに、河原の延長が広くなっている。左手に仙元林道が分かれる。平成5年に完成した林道のようだが、最新版の1/25,000地図にも載っていない林道。どこに延びているのだろう。仙元尾根に続いていれば、仙元尾根からここに戻れるはずだが。林道は利用されていないらしく、いきなり、落石で車は通れない状態になっている。そして、カーブミラーのところに「仙元谷」の標示。右手の尾根に細い踏み跡。ここを、グミの滝の取り付きにして登って迷う人がかなりいるらしい。ここから入って、2時間右往左往した方の記事がネットに出ていた。以前はここから入ったようだ。林道を200mほど先に進み、また「仙元谷」の標柱。こちらが立派。手書きで「グミノ滝、一杯水へ(荒廃)」。ここが今の正しい取り付きのようだ。ここから林に入る。6時40分。

(気分はのどかな散策)

(いくら何でも、これは渡れない)


 しばらくは安定した道ではあるが、あまり歩く人もいないのか荒廃している。10分ほど歩くと、カーブミラーとまた標柱。そこには「シゴー平・川俣に至る」部分が、手書きで×印と「昔道廃道ナリ」と書き加えられていた。さっきの標柱「グミノ滝、一杯水へ(荒廃)」と同じ方の加筆のようだ。下を見ると、踏み跡があり、うまく歩ければ、最初のカーブミラーから続く道がここに出られるようになっているのではないか。ツツジがあちこちで咲いて、陽射しも明るいが、何となく不気味な感じがする。熊がいつ出て来ても不思議ではない感じ。まして、沢音が高いから、鈴の音程度では気づかれないかもしれない。やがて、もろそうな木の橋が出てきた。いくつかある、危険極まりないこの橋を見るのを、今日は楽しみにもして来た。最初の橋はクリア。これは使えそう、というよりも、迂回できないので渡らないといけない。以降の橋は、こわくて、すべて謹んで迂回した。

(小屋)

(グミの滝)

(バケツスポット)


 林を抜けて一気に明るくなる。やがて沢を渡ると、一面、苔むした世界。ボロボロの小屋が現れる。7時30分。ワサビ、伐採、炭焼き、何の作業小屋かは分からない。ここにも標柱があった。不思議にグミの滝を示す標示はない。手作りマップに合わせて、グミの滝に向かう。沢を上って行き、ほどなく滝に出会えた。落差20mと、ネットに記されていた。水量が少ないのか、滝の幅と水流の勢いがちょっとないような。冬は凍って、見応えがあるようだ。こんな山奥にある、人が入らない滝の眺めはいいものだ。しばらく休みがてら眺めて小屋に戻る。さて、これからどうしよう。名物のバケツくらいは見ておきたい。さらに先のワサビ田にあるようだ。取りあえず、沢を渡る。橋は使い物にならず、大きく迂回した。ここでしばらく迷う。伐採の跡のようだが、道がない。赤テープを見つけて、ジグザグに登り、小尾根にとりつく。ようやく踏み跡を見つけた。そしてまた迷う。何とか、向かいの小尾根に取り付く。左下にグミの滝が見えるようになる。さらに進むと、ようやくバケツに出会う。8時15分。バケツの脇には「一杯水→」の手書き標示が貼られていた。段々のワサビ田が上に続く。左右には意味をなさなくなったボロボロの有刺鉄線。無論、ワサビはない。ただ、水が流れているだけ。

(なかなか幻想的な世界)

(ようやく、上に長沢背稜が近づく)


 ここまで来てしまったら、長沢背稜に上がってみようかと欲が出た。その先どうするか。車を置いている都合もある。ぶなじろうさんルートで仙元尾根から下りるのもいいが、それでは、車の回収が面倒になるし、里からまた山に戻る形になる。このルートを下るのもいいが、長い林道歩きを覚悟の上で、大平山まで行ってみるのもおもしろいかもしれない。そうと決まったら、行くしかないな。長沢背稜までは、手作りマップだけが頼り。一番上のワサビ田、8時35分。ここから上を目指すが、手作りマップに記された「炭焼跡」らしきところが目に付かない。どうも早速、間違ったみたいだ。ただ、コンパスをセットしていたのが幸いし、西南方向にひたすら登って行ってみたら、踏み跡とテープを発見。後はひたすら登って行く。沢筋も開け、上に稜線が見え、空が覗いている。あれが長沢背稜だろう。しかし、ここからが長い。気温も上がり、暑い。図面どおりに、ジグザグ登りが続く。あたりはバイケイソウの群生。花はまだ出ていない。今月末あたりに満開だろうか。

(合流)

(富士山)

(三ッドッケ山頂)


 9時15分、長沢背稜に出る。ちょうど、標識のある場所。最後のワサビ田から40分だったが、随分と歩いたような感じ。しばらく休憩。しっかりした登山道のある山は安心する。人の臭いが感じられるというものだ。ここまでは、人の臭いどころか、ケモノの臭いだらけだった。すぐに蕎麦粒山方面に向かう単独氏に会う。一杯水でも、反対側から来たジイサン。水を飲む。ついでに補給。以前見つけたタワシはなくなっている。一杯水避難小屋9時25分。人の気配がない。ここで、三ッドッケは省略して迂回してもいいのだが、そういうわけにも行くまい。9時50分、三ッドッケ山頂。先客が1人。富士山が見え、今日は至って静か。先客さんに「この先は道がしっかりしているの?」と聞かれる。初めての方のようだ。続いて、単独氏が2人来た。いずれも酉谷山方面から。反対側に向かうのはいない。オニギリを食べて下山。ぶなじろうさんのアイドルⅢ峰を眺める。ちょっとあそこまでは行く気にはならないなぁ。機会があったらということで。

(七跳山山頂)

(大クビレ。向こう側に大平山の取り付き)


 単調な山腹道をしばらく歩く。外人3人組が岩場で展望を楽しんでいる。連休と言うことで、結構な人出かなと想像していたが、あまり歩いている人は多くはない。やがて、七跳山と大平山が見えてくる。大平山は見るからにマイナーな山。七跳山の取り付きと思われるところに上りの小径が続いている。ちょっと不安で、そのまま七跳尾根分岐地点まで行って登る。この山も寂しいもので、標示の類いはほとんどない。山頂ですら、山名板を見つけるのに苦労した。七跳山山頂10時56分。休憩後、大クビレに向かって下りる。ところが、歩いていてかなり不安になる。踏み跡がないのもその理由だが、コンパスで示した方向は展望がきかず、果たしてこれでいいのか心配になり、また山頂に戻り、踏み跡がある方向に歩いてみた。これもまた不正解。酉谷山方面に明らかに向かっている。もしかして、ここは七跳山ではないのでは?と思いながら、また戻る。この山の山頂は凸凹の形状になっていて、先が見えないのがやっかい。また、コンパス通りに歩いたら、疎林に入り、広い下り斜面の中に踏み跡を見つけた。ようやく正解が出た。11時28分、大クビレに降り立った。

(大平山山頂)

(大ドッケ方面のヤブ道)


 ここまで来れば、安心感から余裕も出る。黙ってこのまま林道を下ることまで考えたが、ここに至って大平山に登らないのもおかしなもの。15分も歩かずに山頂。枯れた笹に覆われた、展望のない山だった。長居はしたくない山。これが、逆に、大ドッケを経由してここに辿り着いたらどうだろうか。別の感慨、きっと、達成感と満足感を味わえたことだろう。今日のルートは一種の正統ではない邪道ルートだ。この先、大ドッケ方面はさぞヤブだろうなと思い、しばらく下ってみたが、これもまた大クビレから大平山までの細い道がやや細くなった程度で、ずっと、笹の間にしっかりした道が続いている。歩くなら、笹が枯れている今の時期かもしれない。今日のところ、大ドッケまで試し下りをするつもりはないから、早々に引き上げたが、あの道がどこまで続いているのかが問題だ。

(退屈しのぎの風景)


 あっという間に大クビレに戻る。ここから延々、林道下りが待っている。12時5分、スタート。この天目山林道、地形図では大クビレからその先まで続いているが、実際のところ、ところどころで崩壊、落石があって、整備もしないままで車は通れない。素人には、何を目的にした林道なのかはよく分からない。途中に工事区間があり、林道を造ったがために生じた治山事業に、大量の予算を注ぎ込んでいるかのような看板を見かけた。行政側の大らかさを感じる。ただ、今日のところ、この林道があるからこそ、歩いて下れるのは事実。大クビレから細久保橋まで標高差にして925mあった。距離は、ところどころ、気まぐれに起点からの距離の標示板があったが、それから計算すると、ざっと12kmはあったであろう。景色は単調なままだが、たまに出会う沢筋の景色が素晴らしく、いずれも滝になっていたり、山桜やツツジがきれいに咲いていて、飽きはこなかった。ただ、大平山がずっと左にあり、左後ろから左前になったりしたのにはうんざりした。標高は確実に低くなり、東西の位置は移動していても、南北の位置はほとんど変わらない。むしろ、行ったり来たりしている。冒頭の写真は林道から見た大平山。

(本日の終点)


 林道でカメラマンを2人見かけた。ミニダックスを連れて、三脚を立てて写真を撮っている。この犬がやたらとほえる。オレの身体に染みついた飼い犬の臭いが気になるのか。もしかして、朝、出立の際、ゲートを抜けて行った人達じゃないのかなと思っていたら、やはり、軽の車が2台、先の崩壊地の手前に置かれていた。何で、各自1台で来たのか、機材を積む関係もあるのだろう。残りそろそろ2kmあたりで、車で下りて来る彼らに「乗って行きませんか?」と声をかけられたが、もうわずかだからと断わった。陽が出ているのに、雨がポツリポツリと変な天気。ようやく今朝の入山地点の標柱。ようやくここまで来た。そして細久保橋、14時53分到着。ざっと2時間40分の林道歩き。以前、足尾の巣神山から餅ヶ瀬林道を歩いたことがあるが、その時ですら1時間歩きで長く感じたものだ。今日は、それを遙かに越える。退屈しのぎにラジオをつけたりもしたが、ただ、煩わしいばかりで、すぐに切った。後半は惰性の歩きで、頭は空っぽになっていた。

(付録。本日の歩数計の記録)


 疲れも出て、とにかく早く家に帰りたかったが、連休、行楽日和と重なり、秩父市内は芝桜渋滞。この渋滞は関越の花園インター入口まで続いていた。ようやく家に着いたら、足が自分の足ではないような感覚におそわれた。あの林道歩きはかなり効いた。

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2 コメント

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Unknown (ぶなじろう)
2010-05-04 11:03:50
こんにちは。

バイケイソウの斜面は美しいですね。春には訪れたことがないので新鮮です。
Ⅲ峰は展望も無く、登る価値は?です。遠くから見る山かもしれません。
大平山は以前から興味があるのですが、なかなか実行に移せないでいます。いつかは行ってみたいです。
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ぶなじろうさん (たそがれオヤジ)
2010-05-04 16:47:00
大平山には、こんなルートで入ってはいけませんね。やはり、大ドッケ経由の正統ルートでないと。期待しております。
グミの滝といい、仙元尾根といい、私はこちら方面の山には疎かったのですが、ぶなじろうさんのブログの影響で行く機会も増えました。感謝しております。
しばらくは後追いさせていただきますよ。
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