たそがれオヤジのクタクタ山ある記

主に北関東の山を方向音痴で歩いています。山行計画の参考にされても責任は負いかねます。深慮せず軽く読み流してください。

霧降の滝の上段滝。往路の下りは緊張した。

2020年11月05日 | 日光周辺の山
◎2020年11月3日(火)

 霧降の滝の下段滝を真下から見たのは今年の6月だった。ついでに上段の滝に向かったが、真新しい熊の爪痕と滝の音にたじろぎ(この音は大回りしたため、落ち口の音だったのだが)、上段滝は断念した。その記事にきりんこさんから寄せられたコメントで、貴重な正解ルートを教えていただいた。次はそれを参考にして行くつもりでいたが、この時、ヤマビルにやられていて、前年の10月に隠れ三滝に行った際もしかり。この一帯はヤマビルの巣窟のようだ。活動が鈍るらしい11月まで持ち越しにした。だが、先週の大沢大瀑は10月末にして、水はすこぶる冷たかった。幸いヤマビルにはやられなかったものの、足元の軽装に失敗した。これは繰り返すまい。
 この時季の日光市内は紅葉目当てで大混雑している。早いとこ行って、早く帰る。渋滞に巻き込まれない手段はそれしかない。ついでに隠れ三滝や大山とも考えたが、4時半から用事もあるので、今回は我慢して上段滝だけにしぼった。

 以下、上段滝への経路を詳しくは記さない。自分のような不慣れな者が軽い気持ちで行ったら、かなり危険な目に遭う。きりんこさんのコメントと掲載写真、若干の補足説明で自分の歩いたルートを想定してもらえればそれでいい。とはいっても、観瀑台に立てば上も下も見える滝。わざわざ間近で見たいと思う奇特な御方はさほどにいまい。

 現地に着いたのは8時20分。当初、つつじが丘入口まで車を持って行ったが、後で観瀑台に行くことを考えれば、蕎麦屋の前でもいいだろうと車を返す。この時点では、駐車場の空きもかなりあった。観瀑台に向かう観光客はまばらだ。靴下をネオプレンに履き替え、沢靴の上にはさらにネオプレンの脚絆を巻いた。これぐらいしておけば、水の冷たさも少しは薄れると思う。8時32分出発。

(雨の心配はないが、空はどんよりしている)


(こんなのを見ると、食べられるんじゃないのかと思うが、素人はよした方が無難だろうな)


 つつじが丘の駐車場に来てヘルメットをかぶった。人目のつくところではただのハイカーの姿でいたかった。ここに駐車する車はまだない。ここで思い違いをしていた。この先は背丈のあるササヤブと思っていて、ヤブこぎを覚悟していたが、ササはどこにもなく、道筋はないものの、障害になるものは何もない。以前はヤブだったような気がする。
 尾根状になったところに出ると、沢型が下に見えた。これを行けばいいのだろうか。いずれにしろ、上段の滝に出るには沢を下り、下段の滝の落ち口付近に出るようであることは、きりんこさんのコメントに限らず、他の方のネット記事でもすでに知ってはいた。

(窪みに下りて歩く)


(水がチョロチョロ出てくる)


(6月にはあの小尾根から下るつもりでいた。忘れなかったら、あの尾根を登って、上段滝の落ち口を見に行くつもりでいた)


 半信半疑で沢型を下ると、うっすらと水が出てきて、やがて二方面からの沢型が加わり、明瞭な一本の沢になった。目の前には、6月に下ろうとした迂回尾根が見えている。つまりは、どこを歩いても方向さえ誤らなければこの沢に出るはず。

(沢が左にカーブして、先が見えない。この先で撮った写真は恐さでピンボケだらけ。落着き払った戻り時に掲載)


 静かな沢はすぐに傾斜を加えた滝になった。滝とはいっても沢が岩場を伝って流れているといった方がわかりやすい。高さは3~4m。水量は昨日の雨で多いのか。ここは迂回しても下れるが、斜面の土は湿っていて不安定。さらに落葉で滑りそうだ。手がかりになる木はまばらで頼れない。ラッキーにも岩場には手がかり足がかりが豊富にある。登りなら楽だろう。下りは慎重だ。不安なのは、その先がカーブしていて、先が見えていないこと。慎重のつもりが、ふいに岩角に手をかけたらパリっと剥がれた。足でふんばった。危うかった。岩は脆い。

(左下に上段滝が見えてくる。この先、このまま凹んだところを下降する)


 ほっとして岩場から解放されると、カーブから下が見えた。すでに上段滝は見えている。この沢は急になって、さらに下まで滝状に続いている。備え付けのロープがあったら頼りたい。そんなものはない。ロープは持参したが、引っかけに適した木の位置は悪く、沢そのものから離れている。そして結構な傾斜。ガレが混じっている。
 慎重に下った。時には尻で下りた。岩場は相変わらずにステップ代わりはある。岩を下る。ヘルメットに上からの水が容赦なく降り注ぐ。これで滑ったらひとたまりもない。

(下段滝の落ち口が真下に。ここまで来れば安心)


 ようやく傾斜が緩くなってザレッぽくなった。ここまで来れば安心だ。すぐそこだ。真下が下段滝といったところで狭いながらも平らになった。8時56分。蕎麦屋から30分かからなかった。それでいてかなりの時間がかかったような気がする。本当にヤレヤレ。ノドが乾いた。もう死ぬことはない。ここを帰るにしても、登りだから、来るまでレベルの緊張感と慎重さは要るまい。後でカシミールで見てみると、滝の始まりからここまで45m下っていた。気分的には100m。この間に撮った写真は、恐さで震えていたためか、大方がピンボケになっていた。
 ほっとしても、ここは落ち着かない。すぐに右が下段滝の落ち口だ。とりあえずここにザックを置き、カメラだけ取り出して川床に降りた。

(下段滝の落ち口)


(振り返ると上段滝)


 恐い物見たさに下段滝の落ち口を覗きに行った。悪いことに、そこに赤い葉をつけた枝が垂れていたからだ。つい、落ち口にこれを入れて写真に収めたかった。惜しいことに、天気がどんよりとしていて、晴れ間ではない。赤はくすんでしまっていた。脇に行って、落ち口だけではなく下段滝の上部も見たかったが、すぐに右が岩壁になっていて行くのは無理。回り込まないと行けないようだ。この回り込みだが、下段滝の右岸上部に石仏群があるらしい。見たいものだが、素人には無茶、無謀。岩盤を見ただけでご冗談を…だ。下から来るのも難儀で転落しかねないのに、上から下れるわけがない。では、肝心の滝へ。楽しみは後でゆっくりの心境だった。

(上段滝の滝つぼからは流れが蛇行している。ここからだと、右から左に行って滝つぼとなる)


(正面の岩に登る途中で)


(展望台はそこ。すでに飛沫があたっている)


(少しアップで。かなり荒っぽい滝だ。しばらくじらす)


 流れは速い。滑って転んだら下段滝の滝つぼまであっさりと25m流れ落ちる。その場合、命はない。水量はヒザレベル。もっとも深みを避けてのことで、腰まで来そうなところもあるし、ストレートに滝つぼに向かえば淵に入り込んで泳ぐことになる。回り込んで、左岸側に行くしかない。幸いに、思ったほどの冷たさは感じない。先日の大沢の冷たさを味わった後だからだろう。

(正面から。自分のカメラでは滝つぼ込みの写真はどうやっても撮れなかった)


(上部)


(中間部)


(そして滝つぼ)


(この範囲が自分のカメラでは限度)


(これだもん)


(しつこいが)


 滝つぼ前の岩に登った。轟音ときつい風。水飛沫を正面から、上からと浴びる。風は滝の急落から起きている。見上げる滝は、自分にとっては巨瀑だ。下段の滝には女性らしさを感じたが、この滝にはそのかけらもない。ヘルメットからボタボタと水が落ち、メガネも水滴だらけ。衣類はすぐに湿っぽくなった。困ったのはカメラ。構えただけでレンズは曇るし、飛沫がかかる。一瞬の撮影だけでレンズを手ぬぐいで拭く。この手ぬぐいは沢下りですでに水を吸い込んでいたため、乾いた予備の手ぬぐいだ。これもまたすぐに濡れた。往生したのは、レンズプロテクターのフィルターの内側が曇ってしまうことで、フィルターを外そうとしたが、固く締まっていて、なかなか外れなかった。飛沫をかぶりながらそんなことをやっていた。

(眼前撮影はこれで終わり。逃げる)


(下段滝の落ち口へ。レンズが曇っている)


(落ち口から)


(下段滝を覗く)


(同じく)


(見納め)


 滝もこう強烈になると、見ていて恐くなる。ビデオでもと思ったが、レンズを拭っているシーンが多くなりそうなのでやめた。岩から離れて退避。だが、飛沫は離れても追いかけてくる。そして、どうしても滝つぼが隠れてしまう。滝つぼの先はカーブし、その間に岩がある。
 久しぶりに豪瀑を見て楽しんだ。そろそろ戻ろう。まだ興奮はさめやらず、離れたところから滝をしばらく眺めていた。

(先ずはこれ)


(続いて。上で右にカーブしている。下りでは、あのカーブからこちらがどうなっているのか見えず、奈落の底に落ちそうで緊張した)


(ラストで)


(静かな地味沢になる)


 30分以上滞在し、来たルートで戻る。やはり、下りよりも登りの方が楽だった。滝を避けたところもあったが、結局は戻ることになり、その分、土の付いた沢靴は滑った。そのまま滝を登った方がよいかもしれない。

(右上にリボン。小高いところに向かうと)


(障害もなく歩きやすい。左下でも右下でもかまわない。いずれは沢に出る)


 滝から沢に復帰した。そのまま行くと、小尾根の突端で色落ちした赤リボンが目に入った。どういう目印なのか。この尾根を行けということなのか。方向的にどこを登ってもつつじが丘入口には行き着けるはず。試しに小尾根に乗った。リボンはもうない。あの一本だけ。歩きやすかった。ヤブもない。

(つつつじが丘のコース案内図にはヤマビル注意の張り紙があった。この文言の中に「ストッキングを履く」とある。自分でパンストを買いに行くわけにもいかず、アマゾンに注文としようとしたが、考えてみれば地下タビ向けに指先が二股になっているのはなかろうとやめた。ましてサイズの選び方もわからなかった。その後しばらく、検索したばかりに、アマゾンからしつこくパンスト案内のメールが届いた)


(駐車場に戻る)


 つつじが丘の駐車場が見えた。車は2台だけだったが、蕎麦屋の方からかなり延びている。駐車場に着くと、空き待ちの車が何台か並んでいた。帰路は上段滝から15分で着いてしまった。あっけなかった。ここで大事なことを忘れていたことに気づく。帰路では沢から6月に下ろうとした尾根に上がって、上段滝の落ち口を見るつもりでいた。これから歩いても20分もかかるまいが、往路の下りでかなり神経を遣った。改めて見に行くことにしよう。

(展望台へ)


 濡れたカメラをタオルで拭き、カメラだけ持って展望台に向かった。尻は濡れたままだが着替えは持ってきていなかったし、紺色だから目立つまい。車のわりには滝見に行く人はさほどでもなかった。この時季の霧降の滝の写真は見たことがある。滝の周囲の紅葉はきれいだった。だが、相変わらずの曇天。期待はしていない。ただ、自分が下から見上げた上下段の滝を改めて眺めたかった。

(途中で)


(女峰山方面見えず)


(展望台から。晴れていれば、こちらから光があたってきれいだろうに)


(縦にして)


(上段滝アップ)


(下段滝アップ)


(どちらが好きかと聞かれれば、飛沫をかぶらない下段滝だが)


(このオバチャンに、ため息まじりに「展望台まで何分かかるの?」と聞かれた。ダンナに無理やりに連れ出されたのだろう)


 車に戻った。時間はまだ10時半。渋滞にはまらないようにさっさと帰るのはいいが早過ぎる。観光客が行きそうにない手頃な景勝地はないかと『山と高原地図』を広げる。霧降川沿いに「滝頭の滝」という滝があり、その下流に「床滑」というスポットがあった。スマホで調べると、見る価値はありそうだ。実は、他に「不動滝」もあったが、気づいたのは帰宅してからのことで、これは見逃して失敗した。
 車のナビを滝頭の滝がありそうなあたりにセットして向かうと、どういうわけか大回りをして霧降の滝に戻ってしまった。このバカナビがと思ったが、ナビ開始ボタンを押さなかったのは自分のミス。改めてセットして出発。

【滝頭の滝】

 川沿いの林道になり、部分舗装のガタガタ道になった。行き交う車はいない。まずは滝頭の滝。路肩に車を止め、長靴に履き替えて川に下りる。落差は3mあるかなしかの滝だが、きれいな滝だった。ここも、次に行く床滑も葉に色付きがあって晴れていればきれいなスポットかもしれない。ここの紅葉はまだ淡い。

(先ずは上から)


(霧降川)


(滝頭の滝)


(横から)


 この林道、地図では滝頭の滝の先で終わっている。滝の標識には先に向けて「長峰ケ丘」と記されている。長峰ケ丘は、林道から分岐して観瀑台まで続く歩道の途中にあるようだが、実際は整備されているわけではないらしく、観瀑台に出るまで道探しに大変だったというレポがあった。

【高百の床滑】

 林道を戻って床滑へ。正確には「高百の床滑」というらしい。ここも路肩に車を置いて長靴。ナメ床の川が長く広がっていた。長靴はスパ長ではなかったので結構滑る。深い甌穴があるので、慎重に浅瀬を選んで歩いた。気持ちは良いが、滑らないように神経を遣う。
 上流から下流に向かって行くと、人影が見えた。女性のようだ。長靴でも履いているのか、中に入っている。そのうちに人影は二人になった。先に行くのはやめにして戻った。この同じナメ床がどれくらい続くのか。「数キロ」とはあったが、そんなにあるのだろうか。だとしたら、林道、歩道ではなく、霧降川自体を遡行してみるのもマイナーながらも趣向かもしれない。ただ、周囲の景色に変化はない。これで紅葉でも加われば探索のしがいもあるのだが。

(河原に下りてすぐに滑床が広がっている。下流に向かっている)


(流れもわりと速い)


(下流。広い)


(脇にこんな水流もあった)


(見た範囲ではここは変化があった)


(50~60cmほどの段差)


(なだらかなボコボコ)


(人の姿が見えたのでここで戻る。その先のナメがどこまで続いているかはわからない。標識のある駐車地から下りた所は上流に橋が見えてナメではなかった。おそらく、下流にずっと続いているのだろう)


(甌穴もところどころにあった)


 そろそろ帰るか。ここで不動滝に気づいていたら、もう少し時間つぶしはできたかもしれない。

(高百で見た石仏)


 市内に近づくとやはり渋滞していた。神橋の手前まではスムーズに行ったが、東照宮周辺の駐車場にでも入れるつもりの車が数珠つなぎ。流れは止まっている。そこに、数台前の車が右折して加わろうとするから、さっぱり進まない。ようやく動き出したら、対向車線の渋滞は裏見の滝入口近くまで続いていた。もう一時近いというのに、中禅寺湖に向かう車も多く、この先で詰まっているらしい。「第二いろは坂渋滞」の電光掲示板が出ていた。こちらは足尾方面の国道122号線だ。オレには関係ないなと空いている道を帰途に就いたが、日光に向かう側は、車が絶え間なく走っていた。

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2 コメント

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Unknown (瀑泉)
2020-11-09 23:18:21
霧降の滝の上段,行って来られましたネ。
この時季にしては,随分と水量が多くて滝を撮るのも一苦労だったようですが,ヒルにやられることもなく楽しめたようで何よりでした。
ところで,たそがれオヤジさんも,Toughにレンズプロテクターを付けておられましたか。あのレンズテクターは,沢中では曇ってしまってダメですネ。自分は,小淵沢と大行沢でろくな写真が撮れなかったので外してしまいましたヨ。
床滑は,昔,子供たちをゴムボートに乗せて何度か遊ばせましたヨ。滑床が何キロ続くかは知りませんが,結構,続いてますネ。ただ,上流がヒルの巣窟だから,果たして今はどうなのかなぁ~。下流にヒルがいないとは思えないのいですが。
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瀑泉さん (たそがれオヤジ)
2020-11-10 10:19:58
瀑泉さん、こんにちは。
ご覧のように、霧降の滝の上段滝はあっけなく終わりました。裏見の滝上流の滝見もついでにしたかったのですが、紅葉渋滞にはまるのが嫌なのでさっさと帰りました。紅葉騒ぎが落ち着いたら行って来たいと思ってはいるのですが。
ところで、今回使用のカメラはToughではないのですよ。そのToughですが、私もプロテクターを付けていましたが、瀑泉さんのおっしゃるように曇ってしまうので、もう付けて使うことはありません。ただ、今回のカメラでもそうでしたが、内部の曇りはToughに限らないような気はしますね。
床滑はやはり、探索の滑沢というよりも遊び場なんですね。それでいてヒルの巣窟ですか。いつかスパ長で歩いてみようかなとも思ったものですが、考えものですね。子供たちがワイワイ騒いで遊んでいる脇を延々と歩いて行くというのも、ちぐはぐな感じがしてしまいます。
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