たそがれオヤジのクタクタ山ある記

主に北関東の山を方向音痴で歩いています。山行計画の参考にされても責任は負いかねます。深慮せず軽く読み流してください。

中の湯~焼岳~上高地

2007年05月27日 | アルプス系
◎2007年5月26日(土)―1人

 金曜日は前橋での仕事が入っていた。4時には終わるので、それが終わったら松本に向かうつもりでいたが、どうも天気が芳しくない予報。前線が東に移動しつつある。水曜日あたりの予報では土日が雨。しかし、移動が早まってくれたため、木曜日あたりになると、金曜日は雨ながらも土曜日は晴れる予報に変わった。仕事をしながら、天気予報を改めて確認した上で、ネットで松本の安いビジネスホテルを予約。時間に余裕がある時には、車で寝るようなことはしたくはない。山道具はすでに車に積んである。

 雨の中、カーナビは前橋インターから誘導するが、高崎から入るつもりでいた。ナビの指示を無視してそのままインター口を素通りしたら、しきりにUターンさせようとする。しばらくそのまま走ったが、ナビもあきらめたか、次のインターに誘導しはじめた。それが高崎だとばかり思っていたら、何と、かなり先の吉井インターだった。高崎インターはまったく別方向にあるようだ。雨はずっと続く。通勤時間割引を受けるため、一旦、坂城インターで下り、入り直す。松本のホテルに着いたのは8時を過ぎていた。雨もようやく上がった。とりあえず風呂に入ろうとしたものの、当日分の下着の着替えを持ってくるのを忘れ、下山時着替えを使ってしまった。缶ビールと缶チューハイを都合3缶飲み、コンビニ弁当を食べようとしたらハシが入っていない。また着替えてロビーにもらいに行く。5時に目覚ましをセットしてさっさと寝る。

 5時前に起床。便意で目覚めた。トイレに直行。天気は上向きだが腹は下り気味の状況。酒のツマミにと家から持ってきた賞味期限切れ1週間後のソーセージ2本が効いたようだ。5時半出発。ここから中の湯までは1時間くらいかかる。今のところ車はすいている。梓川は見事に濁流になっている。途中、道の駅「風穴の里」のトイレに駆け込む。もう大丈夫だろう(と思う)。沢渡の核駐車場には、今のところ車が1~2割ほどしか駐まっていない。今日、明日は晴天でかき入れ時。どこの駐車場入口もこんな時間からお招きが立っている。通勤で利用する籠原駅にも「5月25日新緑の上高地バスツァー募集」の広告があった。昨日の雨で、キャンセルも多かったのではないだろうか。ランプの道路標示板で「旧安房道路 雨 通行止め」とあるのを2つ確認。さして気にも止めなかった。「雨の日は通行止めになりますよ」の警告程度の認識。

 釜トンネル前を左折して旧安房道路に向かう。右折してびっくり。ゲートが閉まっている。非常にまずい状況。ランプの表示板は「ただ今、通行止め」ということだったのだ。どうしよう。こういう事態の対応策は用意していない。しばらく考えた。とりあえず卜伝の湯からのルートに切り替えるかと、また釜トンネル方面に戻るが、車を駐めておくスペースなんぞ無い。まして駐車禁止区域。「レッカー移動」の警告表示も立っている。沢渡に戻ってバスに乗り換え、上高地から入るかと、一旦、沢渡に戻りかけたが、思い直して、安房トンネルを抜けて平湯に出、中尾温泉ルートから入ろうとUターン。念のため、安房道路入口を素通りせずに右折してみたら、ゲートは閉まったままではあったが、山梨ナンバーの車が駐まっている。中から出てきたジイサンが怒っている。しばらく話をしていたら、今度は、オレの車の後ろに車が2台付いた。中から高校生グループ。連中は山に行くようだ。皆んなで困った、困ったを言い合っていたら、ゲートの向こうから道路管理の車が下りて来て、ゲートを開けてくれた。本当に助かった。山梨ナンバーを先頭に動き出す。10号カーブの先の駐車場(というよりも空きスペース)に車を駐めたのは、オレの車と高校生2台。高校生とはいっても、運転は大人だから、生徒8人に指導顧問2人の構成。

 高校生より先に出発する。いずれ、元気のいい連中には抜かれるだろう。登山口から奥穂高が正面に見える。青空なのだが、ガスのためか白っぽい。出発は6時50分。緩やかな上りがしばらく続く。昨日の雨のためか、それとも常なのか、所々で倒木が邪魔をする。道はぬかるんでいる。しばらく進むと急登が待っている。きつい。かなり応える。今日の荷物は重い。実のところ、雪と体力の温存次第では、西穂山荘まで行き、明日は西穂高岳をと目論んでいる。かなりの牛歩になっているが、高校生の姿はまだ見えない。雪が出はじめる。ザックに括りつけたピッケルを杖代わりにする。登山道は隠れてしまっているし、雪上のトレースがあったとしても、雨で消えている。あちこちに赤テープが垂れているから、心配は無いだろう。7時55分、卜伝の湯からのルートと合流。表示板があるかと思ったが、見つけられなかった。ここが合流点だと想定したのは、やや広くなっていて、別方向にもテープが垂れていたため。コースタイムはここまで1時間半だから、もしかすると、合流点はまだ先かもしれない。ここまで随分と休み休み来たが、ようやく焼岳の一角が見えてきた。雪も深くなり、抜かり気味になり、スパッツを付けた。スパッツはうっとうしいところがあって、好きではない。

 割と平坦なところを進む。開けた灌木帯。テープだけが頼り。焼岳とその煙が見えるので目標を誤ることは無い。たまに登山道が露出している部分に出くわす。穂高方面はまだガスで白っぽい。霞沢岳が鎮座している。そろそろ森林限界。硫黄ガスの臭いが強くなってくる。ここからまた登りが始まる。右手は沢になっていてやや危険な感じがするので、ようやくアイゼンを付けるが、登山道が出ている所では、ひっかけて危ない。あと、標高差100mばかりだろうか。急登。楽をしようと思い、ご法度の南峰に直登した方が近道なような気がし、何度もその誘惑にさらされたが、雪崩の危険も高そうで、地道に南北峰の鞍部のガスを出している所を目指して進む。山頂付近は雪が無い。直下の岩場に着いてアイゼンを外す。9時20分着。南峰を見上げると、屹立した岩が恐そうに見える。危なさそうで、高所恐怖症のオレにはかなり手強いので敢えて登るのは止める。南峰と北峰に囲まれたカール状の窪地には沼があり、周辺には雪がつき、その分、真っ青な色を呈している。ここまで来たルートを見下ろすが、高校生の一団は何をやっているのか、姿が見えない。下でボッカの訓練でもしているのだろうか。

 北峰に向かう。風がかなり強い。岩を伝いながら、身体がふらつく。ガスが音を立てて岩場の間から噴き出している。山頂着9時30分。登山口から2時間40分。こんなものか。だれもいない。乗鞍も、穂高も、笠もまだ真っ白だが、クリアに見えないのが本当に残念。西穂方面に続く尾根は雪が無いようだが、その先はかなりありそう。西穂方面に行くのは無理だろう。何事も机上の演習はたやすいものだ。一汗かいただけで50%の確実性が落ちてしまう。風は相変わらず強い。石の間にカメラを固定して、セルフで写真を撮ろうとしたら、カメラが倒れてしまった。壊れはしなかったが、キズが付いた。気温は14℃。寒くはない。携帯電話を出してみた。柱が3本立っている。上高地を見下ろせるから、携帯も容易に使える。遭難しても、白骨化してから見つかるまでもない。たやすく遭難救助ヘリを呼べるということか。そういえば、最近の新聞で、桐生の吾妻山で頭部の白骨が見つかった記事が出ていた。3月に登って行方不明になっている人のようだが、2か月程度で白骨化するものだろうか。他部位の骨の行方も気になる。川内あたりでは熊も出没する。どうでもいいことを考えながら、かの梓林太郎さんはこの焼岳でも人を殺していたように記憶する。確かに、この山頂からちょっと背中を押せば、あっという間だろう。

 下山にかかる。目指すは青い屋根の焼岳小屋。ここから上高地に下る。その先は中の湯までタクシー。直下の5m幅ほどのトラバースがヤバそう。雪がついている。滑ったら、携帯で救助か。慎重に渡るが冷や冷やした。後は雪が付いていない。中の湯ルートとはえらい違い。ただ、石や岩屑だらけで歩きにくい。2人程登ってくる。観察していると、いっしょに登っているわけではないようだ。付かず離れず、ほぼ50m間隔で登ってくる。先行と行き会う。欧米系の外人。「コンニチワ」と、「ニ」にアクセントが付いた挨拶が戻って来た。その後ろはメガネの30代。気安く声をかけて寄こし、中の湯ルートの話を聞きたがる。中の湯に下りるのかと問うと、否、来た道戻り。彼は、外人が先に歩いているので、わざと距離を置いて歩いていたのではなかろうか。一種の外国語恐怖症。それが証拠に、オレをつかまえて時間つぶしをした。考え過ぎかね。その後山頂でいっしょになって、会話が弾んだろうか。無理に南峰に行ったりして。

 焼岳小屋に下りるのに手間取る。周辺が雪で、その雪が木の葉で覆い被され、あの2人のトレースが見つからない。屋根はすぐ真下に見える。ヤブをこいで小屋に到着。小屋の前を通ったら、オジサンが小屋から出てきた。手にはカップヌードルを持っている。小屋は営業中ということか。上高地までの道の様子を尋ねたら、雪は「ところどころにある程度」とのこと。スパッツを外す。

 上高地まではダラダラと下る。確かにところどころに雪があり、靴の中に雪が入るたびに靴を脱いで雪を出す。スパッツを外したのは少し早かった。梯子場が数か所。最初の梯子はほぼ垂直で、3本ほどつないでいる。これは恐かった。アルミ製で、鉄に比べれば信用性に欠ける。焼岳を見上げる。東に張り出す尾根がヤセ尾根になっていて、崩壊がすさまじい。これも時間の問題だろうか。この尾根の両サイドは切れ立っている。オジサン、オバサンのグループが4人。オジサン2人が疲れた顔をしている。上高地まで単調なルートのため、かなり退屈になって歩く。大正池は薄い緑色に見える。いずれにせよ、穂高だけではなく、風景全体が霞んで見える。新緑には早いのか、最中なのか、今日はどうも、色彩が明瞭に映らない。まさか白内障ということではあるまい。

 11時55分、ようやく上高地登山口に到着。長かった。暑い。これから登る青年が1人。道を開けてくれた。上高地はごった返している。田代橋では梓川と穂高を背景に写真を撮る人たちがワンサといた。梓川はまだ泥水状態。帝国ホテル前をバスターミナルに向かう。観光バスが延々と駐まっている。ハイキング気分にもなれず、タクシー乗り場に急ぐ。「中の湯温泉先の焼岳登山口」と言ったら、「11号カーブね」で話はすんなり。タクシーは、すぐに走って止まった。これが長い。運転手の話では、観光バスがターミナルに入れず、路肩に駐めざるを得ず、片側しか車が通れない。そうしているうちに、集合時間になり、出発時間に間に合わなくなるバスが路肩から移動してターミナルに向かうため、車が通れなくなってしまうのだそうだ。バスは大正池まで続いていた。大抵の観光バスは流れが止まってしまったら、乗客に大正池から歩いてもらうとの由。

 11号カーブまでは3,700円だった。駐車場には車が14台。出がけに3台だったから、焼岳に随分と入ったようだ。高校生グループの車はまだあった。中の湯温泉で風呂に入る。700円。いい風呂だった。この時間(1時半頃か)、入浴している者もいず、ゆっくりと湯に浸かった。さて、困ったことがあった。着替え下着の問題。下山時用の着替えをホテルで使ってしまったため予備が無い。ザックの中には西穂山荘に泊まった時の用意のために着替えを入れてあるのだが、この着替えは全て防寒用の下着。これに着替えてしまうと、帰路はかなり暑いだろう。仕方なく、初日の下着を再利用。着替え無しのままでいるよりはまだまし。やはり汗臭かった。

 松本インターまではほぼ1時間。バスがかなり多い。姨捨SAでラーメンを食す。今度は佐久インターで一旦下りて、伊勢崎インターまでの通勤時間割引を適用させた。

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3 コメント

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ご苦労さん (俺だよ)
2007-05-27 17:55:02
中部山岳地帯では、降雪量は平年より少なかったけれど、残雪は多いと聞いたが、本当らしいな。
アイスバーンでなく、腐れ雪で却ってよかったんじゃねえか。パンツは使い捨ての紙パンを、救急セットに携行すべしだなぁ。で、黒戸尾根の件、どうする?
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行った気分で (Yossy)
2007-06-02 17:07:06
初めてBlogを見せていただきました。山登り(こんな簡単な言い方でいいのかな)は学校か会社の仲間と行ったくらいで、山は行くけどロープウェイで登り、あれがあの山とか見ただけで自分が頂上にでも登った気分でいたので、手を引いて一緒に登らせてもらった感覚になってます。
気持ちいい~~ 空気が冷たいと感じています。

上高地は高校の美術の油絵で姉の写真を見ながら描いたのが、大きな賞を取り、未だに後ろめたい気分の場所でなんとなく近づき硬かったけど、行くぞ!!と思いましたよ。でも、こんな本格的なコースは無理だけどね。まずはシェイプアップと体力作りだね。

しばらくはBlogで山に連れて行ってくださね、これから参加させていただきます。
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ありがとうございます。 (mailaddress-1234)
2007-06-02 20:31:16
新しい読者が増えて喜ばしい限りです。今後とも、よろしく願います。これからもマメに山をほっつき歩き、アップさせてもらいます。連日の飲み会の疲れで今日は山は歩けませんでした。この梅雨入り前の陽気が恨めしいです。
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