ほくろ たれ蔵、
昨日初めて、自力で排尿する事に成功した。
よねさん、
昨日から、強制給餌をやめた。
おはようございます。
子猫は、自力で排泄できるようになると、
尻を刺激されても漏らさないようになる。
食事は、まだ哺乳瓶だが、
排泄に関しては、これからは、たれ蔵自身に任される事となるのだ。
まだヨチヨチ歩きの幼い子だって、生きていくためには
自分の足で歩いて行かねばならない。
がんばれよ、たれ。
たれさん?
あやに挑むのか?
やめておけ!
あやは、強いぞ~!!
ほくろ「ペチッ」
あや「ペチペチペチペチ!」
あや「ダッフンダー!」
ほらな、あやは強いだろ?
さっそく、逃げるんか?
コソコソ、歩いて?
途中、白いのに捕まって?
で?
ほくろ「うちろから、ペチちてやりゅ」
うん、バレてると思うぞ。
あや「ばぁーかめ~!」
ほくろ「・・・・・」
ほくろ「どちてだろ?」
どちてだろな~。
たれ蔵は、どんどん、一人で出来ることが増えていく。
いっぽう、
よねは、これまで最低限の栄養を与えるべく、
1年半の間、強制給餌をしていた。
理由は、なるべく最期まで、自分の足で
好きな所へ歩いて行ってほしかったからだ。
食欲を失い食べなくなれば、すぐに歩けなくなる。
無理にでも食べさせれば、歩くために体力は維持される。
私は、よねに食べる事を強いて、
その代わりに「好きなところへ歩いていける」尊厳を守ろうと試みてきた。
もちろん、その食べ物が消化できて排泄できることが条件だった。
そして、
昨日の朝、いつものように注入器をよねに向けた時、
今までに感じた事のない、強い拒絶の感情が伝わって来た。
だから私は、強制給餌を止めた。
よねが食べそうな物を買い込んで、皿に盛ってみる。
食べようが食べまいが、それも、よねに任せることにした。
よねさんや
珍しいところに居るな。
いいんだよ。
よねは、生きる事を諦めたわけではないのだと思う。
今も生きるという事に、今の体で向き合っている。
だから私は、よねを信じて、よねに全てを任せる事にした。
それが、今のよねにとって、尊厳を守る事になればと願いつつ。