ある時、首輪を付けた、子猫を見かけた。
外へ遊びに来たのだろう。
楽しそうに、草と戯れていた。
首輪が付いていたから・・・
おはようございます。
会社の窓から見える、貸し駐車場に、
たまにやって来ていた、首輪をつけた猫は、
見かけるたびに、成長していて、
ある日、首輪が無くなっていた。
そして、ひどく痩せて汚れていた。
次に見かけた時には、子猫を3匹連れていた。
しばらく見ないと思っていたら、
今度は、子猫が1匹、大きな声で鳴いているのに気づき、
様子を見に行ったら、
その子猫は、首輪を失った猫が連れていた子だった。
はぐれたのか、置いてけぼりになったのか、
大きな声で鳴いているから、
私は、猫の餌を持って、じりじり近付いて行った。
「にゃーお、にゃーお」と下手な鳴き真似をしながら、
身体を小さく縮ませて、餌を持つ手を、目一杯伸ばした。
おいで、勇気を出して、こっちへおいで。頑張れ!
そう願いながら、そっと餌を置いてみたが、
その瞬間、一目散に逃げて行ってしまった。
それでも私は、家に帰って、おじさんに言った。
「猫、増えるかもしれんからね。ご覚悟を。」と。
よしっと思った次の日、
子猫は、姿どころか、もう声すら聞こえなくなっていた。
どこかへ行ってしまったのだろうか。
首輪を失った猫が、迎えに来たのだろうか。
もう、分からない。
何も、分からない。
首輪の行方も、あの子達の行方も、
私には、何も分からないのだ。
ただ、一つだけ、
首輪を失った、あの猫に、
首輪をつけた人間が、居たのだと、
それだけは分かるから、
だから、私は、
余計にやり切れない思いになるのだ。
ねぇ、おたま。
お前も、大きな声で鳴いてたよな。
小さいくせに、大きな声でさ。
覚えてるか?
お前を拾った瞬間、おばちゃんさ、
お前を掲げて、
「猫、とったぞー」って叫んだんだよな。
ねえ、おたま、聞いてるか?
おばちゃんさ、良かったなって思ってんだぞ。
お前と出会えて、良かったなってさ。
ところで、おたま!
おたま「なんだ?」
お前さ、それ、香箱座りのつもり?
なんか、違うくない?
なんだろう、この違和感
おたま「おら、普通だぞ」
そうか?
そうなのか?
ねぇ、うんこ!
うんこ「なーに、母さん?」
正しい香箱座りを見せたげて~
ジャン!
そうそう、これこれ、これですよ!
やっぱり、お前は、面白いな。
猫と出会ったら、じっくり一緒に暮らしてみよう。
いろんな子が居て、分からない事だらけだけど、
ただ、一つだけ、
最期まで付き合ってみないと、分からないんだよ。
彼らの素晴らしさは。