うめと愉快な仲間達

うめから始まった、我が家の猫模様。
犬好きな私は、チワワの夢を見ながら、
今日も癖が強めの猫達に振り回される。

気付く、猫と老女

2025年01月31日 | カズコさんの事

猫とかずこは、

気付いている・・・。

 

おはようございます。

とっくに、春の兆しに気付いているのだ。

我が家の猫ら、特にオスはいつもよりソワソワしているし、

野良猫どもは、勤め先のトラックのタイヤにマーキングをし始めた。

そして、かずこは春の乱が始まった。

木の芽時、かずこでなくとも自律神経が乱れやすいが、

認知症のかずこは、ダイレクトに受けてしまうようだ。

いくらなんでも、早くない?と思うが、

弊社の蘭さんも、新たな葉がチロっと出てきている。

 

「かずこさん、おはようさん。」

実家へ行くなり、ベッドに横たわるかずこに声を掛けると、思わしくない顔をしている。

ああ、起き抜け不機嫌か・・・。

この時期は、起こした瞬間、

「ぶち殺したらぁ~」と言いながら起き上がることも珍しくないが、

この日のかずこは、

「体中が痛くて痒いんやぁ。」

と弱々しい。

ああ、このパターンか・・・。

弱々しく嘆くというのも、この時期には多い。

「ほんなら、いっぺん起きてお茶飲みゃー。」

私は、この会話を文字にしてみて、気付いた。

「名古屋弁は、みゃーみゃー言うように思われるけど、

あたしら、そんなにみゃーみゃー言わんよねぇ。」

と、言ってた割には、みゃーみゃー言っとるやんけ!と気付いた次第だが、

かずこは素直に起き上がり、

「ほれ、見てみぃ。この手すごいやろ?」

と、両手を私に見せる。

「こんなになっとる。ほれ、酷い色やろ?」

かずこは、皺くちゃでシミだらけのくすんだ色の自分の手を見て、

何かの病気ではないかと思ってしまう。

かずこの脳裏には、若い頃の真っ白な美しい手の記憶しか残っていないのだ。

「ほれ、こんなのおかしいやろ?病院行かな、びょっ」

かずこが、もう一度、病院へと言おうとして私を見た瞬間、言葉を飲んだ。

ん?

どした?

「おおおおっおまっ、どうしたんや、その顔?」

なにが?

「なんや、酷い顔しとる!どうしたんや?おまっ病気やないか?」

かずこは優しい。

年末、体調がよくなかった時も、かずこはいち早く気が付いてくれた。

しかしこの日、私は絶好調だ。

「なにが?私、そんな酷い顔しとる?全然元気だけど。」

私はそう言って、ベッドの横にある鏡台の鏡に自分を映した。

「うん。別に全然、酷くないよ。うん、ほら・・・あっ!!」

ここで気が付いた。

「化粧するの忘れたー!」

私は反射的に実家を飛び出し、家に戻って化粧を施した。

施しながら、己を慰めた。

「かずこさんは、人より敏感なだけ!かずこさんは、人より勘が良いだけ!」

 

さて、こっちは何をしているのだ?

おたま「床が温かいだ」

うん、ホットカーペットだからね。

やっと気が付いたのか?

去年からずっと、ホットカーペットだぞ。

 

おたま「なぜか、おら、うねうねしてしまうだ」

温かいと、そうなっちゃうおたまに気付いた、のん太。

 

のん太「あれ、なにちてるんらろ?」

 

のん太「なんら?なんなのら?」

 

のん太「酷い顔してるら。かかぁみたいら。」

あのね、のんちゃん?

おたまは表情が酷いけど、かかぁは顔の色が酷いの。

そういう違い、ちゃんと気付ける男になれ!


願う一瞬

2025年01月29日 | 日記

私には、

永遠を願う景色がある。

 

おはようございます。

けれど、永遠に変わらぬ景色など、この世には一つもない。

それを知っているから、願うのだ。

 

さくら猫になったマアコは、

相変わらずデッカを私に預けて、散歩に出かける。

それを遠くに見つけた時、私の胸は躍る。

この広い星で、小さな友人を遠くに見つけた時の快感は、

それはまるで奇跡のようだ。

 

「マアコ、デッカが待ってるよ。」

そう囁いてみると、遠くのマアコがキョロキョロした。

次は大きな声で、手を振りながら、

「マアコ、戻っておいでー」

と叫んでみると、マアコはゆっくり、こちらへ向かって歩いて来る。

永遠なんてないくせに、どうしたって願ってしまう光景だ。

 

という、会社での光景だが、

そろそろ本気で、クビになるんじゃないかしら?

お願い、この首、繋がっていますように!

 

おい、おたま!

君は、なんか願い事でもしてんのかい?その顔。

 

あやが、「お願い、邪魔!コイツ、退かして!!」

って願っているぞ、たぶん。

 

君の行動は、謎が多いな~。


これが、これで、淋しい終わり

2025年01月27日 | 日記

「もうさすがに、運転はやめて欲しい」

そう言ってから、

父は、かずこが救急車を呼んでしまうほど、酒を呑み続けて荒れていた。

 

おはようございます。

かずこのボケが一時、こころもち改善したくらい、荒れていた。

私は、父の年齢が90歳だから止めて欲しいと思った訳じゃない。

周囲の人からは、よく、

「もう90歳なんだから、運転は止めさせた方がいい。」

と言われていたが、あやふやに笑って誤魔化していた。

見てもいないのに、歳だけで判断されたら、父じゃなくとも納得しがたいだろう。

 

だから私は、去年10月に受けた、

父の免許証更新時に必要な認知機能検査にも協力をしていた。

試験対策の本も渡し、

「脳トレ!脳トレ!」

と言いながら、なんだかんだ父をこき使っていた。

「そこ、拭いて!」だの、

「ゴミの日だから、出しといて!」とか、

「また猫拾うから、頼んだで!」と言って、父を動かしていた。

億劫がる父に、

「これが出来ない人は、運転は無理だよね。頑張れ!」

と突き放した。

そんな私に、父はとうとう、

「お前、意地悪い姑みたいだな。」

と言うようになっていた。

 

その日々の中で父を観察して、そして告げた。

「記憶も、身体能力も、どこを取っても、もう運転は危ない。」と。

父は荒れに荒れたが、納得もしていた。

納得せざるを得なかったのだ。

「もういやだ。こんな鬼姑にこき使われるのはたまらん。」

とも、思ったのかもしれないが、

昨日は、ついに父と愛車の別れの日となった。

とても、静かな別れだった。

 

そんな私も、ついにお別れだ。

淋しい、淋し過ぎる。

これ、完成してしまったのだ。

 

中途半端に残っている毛糸を使って、これを編んでみたのだ。

アフガン編みという技法で編んでみたけど、楽しかった。

ああ、終わってしまった。

 

あや「ねえ、これって何?」

ん?

これ、何だろうね?

ひざ掛けにしては大きいしなぁ。

とにかく、これはこれでいいのだ。

可愛いから!


マアコとの約束 4

2025年01月24日 | マアコのこと

マアコをリターンしたのは、

土曜日の静かな朝だった。

 

おはようございます。

人気のない環境でリターンするのが好ましいと思い、金曜日に避妊をした。

案の定、土曜日の会社は静かだった。

私は、走り去ったマアコをしばらく探し、また車庫の奥に引っ込んでしまったデッカに

「デッカ、また来るね。」

と声を掛けて家に戻った。

そして帰るなり、キャリーケースを持ち出して、車に積んだ。

万が一、マアコが戻って来なかった時、デッカを保護するための部屋の準備も始めた。

「やるなら、月曜日の夕方になる。」

私は、おじさんにそう告げ、

呑気に寝ている我が家の猫らを見渡して、

「いったん、地獄絵図になるで~。」

と言って、笑ってみせた。

 

避妊を強いたのは、私の勝手だ。

そのせいで、この親子の運命を引っ搔き回してしまったかもしれない。

それどころか、私がマアコと約束さえしなければと後悔が過った。

幾度も繰り返してきた、様々な約束すべてが、

私の過ちの元だったのかもしれない。

「これからお前はマアコ。名前を付けるってことは責任持つってことだ。」

そう宣言して以来、いくつもの約束をした。

・絶対に、毎日ご飯を持ってくる約束。

・夏に産まれた子猫らを託してもらう約束。

・秋に産まれた、最後の子は決して奪わない約束。

・決して、マアコを騙したりしないという約束。

そして今は、「必ず戻ってこい」と約束をしている。

他にも、書くほどでもない約束は数々ある。

並べてみると、まったく私の勝手な都合ばかりだ。

しかも、去年は子猫の保護が続き、我が家の猫も体調を崩した。

外でも内でも、私の勝手で引っ掻き回してしまい、

いたたまれなくて、もう、笑うしかなかった。

 

しかし、父からの電話攻撃は笑っていられなかった。

「もう運転するのはやめて欲しい。」

と、伝えた日以来、

一週間、父はもはや半狂乱だ。

朝から酒を煽って、電話を掛けまくって来る。

何度も何度も、何を言っているのか聞き取れない言葉を繰り返す。

挙句に、この日は、

「さっき、警察署行って来たら、休みだってよ。

免許更新はできんらしいから、明日また行ってくらぁ。へへへへ・・・」

と、ろれつも回らない状態でのたまった。

「ちょっと待って。朝もビール吞んでたよね?そのまま、運転して行ったの?」

私は、スマホを持ったまま叫びながら家を飛び出し実家へ向かった。

「父さん、本当にもうダメ。車のキーをよこして。」

「ばかやろう。お前みたいな何の苦労も知らん脳のない奴が、

そういう下らんことを簡単に言いやがる。」

その後は、省略する。

地獄絵図のような言い争いが続いただけで、なんの進展もない。

 

しかし、日が傾きかけた頃、私は、

「あっ、もう行かないと。」

と言って、父との言い争いを唐突に切り上げ、実家を後にした。

デッカの夕飯の時間だ。

さすがに、リターン当日にマアコが現れるはずはないから、

デッカのご飯だけを持って、会社へ行った。

会社に着き、車を降りるなり、

「デッカ!」

と、車庫に向かって叫んだ。

名前を呼ぶと、やっぱりデッカは車庫の奥で泣いていた。

でも出ては来ない。

私は、父との言い争いのせいで、

身体中に刺さった無数の棘を剥がすように、大きく深呼吸をした。

そして、もう一度、デッカを呼ぶ。

「デッ・・・・んん?」

「ニャッ」

「マッ・・・マアコ?」

なんと、マアコが現れた。

リターンして、たった7時間後、

マアコは、いつもの時間に、ごく当たり前のように現れた。

「マアコ、もう戻って来たの?マアコ、おかえり。体は大丈夫かい?」

そう言うと、マアコは分かっているのかいないのか、目を細めて、

「ニャン」

と鳴いた。

その声が、いつもよりしゃがれていて、

病院でさぞや激しく鳴いていたのだろうことが想像できた。

私の声も、連日の父との言い争いで、すっかりしゃがれていた。

そして、デッカも24時間、泣きじゃくって、すっかり声が枯れている。

 

「デッカ、お母さん帰って来たよ。」

デッカがついに、車庫から出てきた。

マアコが居なくなり車庫の奥に籠城して以来、24時間ぶりに当たる太陽だ。

眩しいだろうに、デッカの眼は太陽よりも輝いていた。

そして、デッカは躊躇なくマアコに駆け寄った。

「よし!」

私は思わずガッツポーズを取った。

 

が、その数秒後・・・

デッカ「ふー、うぅー」

マアコに威嚇した。

 この瞬間、私とマアコは、

「へっ?」

だ。

そして、次の瞬間は、

「あっ!」

だった。

マアコの被毛にこびり付く病院の匂いのせいで、デッカはマアコを認識できないのだ。

ふーふーううー唸りながら後退りしていくデッカ。

マアコは私に、

「どしよ?」

と言わんばかりの視線を送ってきた。

私は、

「取りあえずチュール舐めて落ち着こう。」

と言って、急いでチュールを取り出した。

いついかなる時もチュールは頼りだ。

チュールは偉大だ。

マアコは、チュールを1本舐めきり、

そそくさと階段を降りて行き、地面に体を擦り付ける。

「そうだ、さすがマアコ!」

そこは、マアコとデッカが排尿する場所だ。

マアコは、デッカに自分を気付かせようと懸命に臭い付けをし、

私はデッカに、

「ほら、見てごらんよ。マアコだぞ〜。ほらほら、マアコだぞ〜。」

と言い聞かせた。

 

デッカ「あれは母ちゃんか?ほんとに母ちゃんなのか?」

 

結局、デッカの疑いは拭い切れぬまま、

そのくせ、ゆっくり歩いて行くマアコについて行った。

恐る恐るだが、シッポをピーンと立たせているデッカを見て、

「あれなら大丈夫。」

と安堵して、帰った。

 

しかし、安堵は夜中に吹き飛ばされた。

父は酒を呑み続けたせいで、ついにぶっ倒れ、

父よりボケ具合がハイレベルなかずこが、

救急車を呼ぶことに成功してしまう事態となった。

けれど、ただの酔っ払い相手に、救急隊員は優しかった。

「病気じゃなくて良かったですよね。」

私は、怒りにわなわな震えながら、何度も謝罪をした。

もちろん、父は病院へ搬送されず、寝床まで運んでもらった。

 

翌朝、実家へ行くと、父さんの右まぶたが腫れていた。

私は、

「顔から倒れたんやな。父さん、昨夜の事覚えとる?」

と聞いた。

どうせ、覚えてないだろう?を含む聞き方だ。

ところが父は、

「覚えとる。」

と、小さな声で答え、ソファにうなだれた。

そのまま、

「分かっとるんだ。分かっとるが、どうしても納得がいかん。

自分の1番大事なもんを奪われたら、俺全部を否定された気分になる。

いや、分かる。お前は一生懸命やってくれとる。

その上、お前に面倒かけたらあかんと分かっとる。

すまんなぁ。でもどうしても、ホイホイと簡単には納得できんのだ。」

と続けた。

その時、私の脳裏にはマアコの姿が浮かんだ。

そして、ハッとした。

「私も苦しい。

誰かの大事なもんを奪うって、こんなに苦しいんかってくらい苦しい。」

マアコとの、これまでの苦悩と、父への苦悩が重なり、

この時ようやく、分かったような振りして、父を責め続けていた自分に気付いた。

本当に苦しいのは私じゃない。

「何が合ってて何が違うかは分かんない。

ただ守りたいもんのために、私はこんな事しか出来んのよ。」

そう言葉を絞り出すと、父はソファから立ち上がり、

棚の引き出しから車のキーを2つ取り出した。

「ひとつはスペアキーな。どっちも持ってってくれ。

目の前にあると、またボケて、全部忘れて乗っちまうからよ。」

そう言ってテーブルに置かれたキーは、2つとも傷ひとつ無かった。

17年落ちの愛車を、キーさえも大切にして来た証だ。

私は、それを丁寧にカバンの奥へしまった。

 

現在、マアコとデッカは、すっかり日常に戻っている。

とはいえ、デッカのマザコン振りは、増したかもしれない。

 

父は、少し気持ちが落ち着いて来たように見える。

その上、以前より悪態をつく頻度はうんと減った。

でも、酒の量は減らない。

もう少しこのまま、気が済むまで待つことにする。

 

私は、猫との約束は、もう懲り懲りだと思っている。

ただ、マアコと約束しなければ、

今私は、この場に立って居なかっただろう。

マアコの強さと愛に触れ、父の苦しみと覚悟を知った。

その全ての景色を、私は見ることが出来なかったに違いない。

そんな中、様々な人に励まされ、幾人かの人に出会い、

多くの助けを得られたことも、忘れてはいけない。

 

そして、私はきっと、また懲りずにマアコと約束を交わすのだろう。

その節は、またよろしく、マアコ!

 

長い長い記事を読んで頂き、ありがとうございました。


マアコとの約束 3

2025年01月22日 | マアコのこと

マアコを病院へ預け、社へ戻ると、

車庫の奥から大きな声が響いていた。
 
 
おはようございます。
 
「デッカ!」
 
名前を呼ぶと、物陰からこそっと顔を覗かせるが出ては来ない。
 
マアコが戻るのは翌朝だ。
 
「デッカ、お母さんは明日戻ってくるからね。」
 
そう声を掛けて社内へ入った。
 
デッカは生後4カ月のオスだ。
 
マアコの避妊の予約をするため行った動物病院の獣医は、
 
「親子共、手術できますよ。
 
と言ったが、私は、
 
「子猫は、捕まえられたら連れて来ます。」
 
と答えた。
 
 
今回、マアコの避妊を依頼したのは、
 
我が家の猫らを診てもらっている、メスや針を持つと目が輝くサイコパス先生ではなく、
 
野良猫の保護やTNRに協力的で猫の扱いにも慣れた獣医だ。
 
非常に早口で決して人の目を見ない。
 
こちらが質問すると、一旦挙動不審になる。
 
かなりコミュ障チックだ。
 
しかし、どんな事でも親身に考えてくれるし、腕も間違いないと評判だ。
 
その上、様々なケースのTNRを扱っているから話が早い。
 
早口だから、本当に早い。
 
早過ぎる。
 
なので、この獣医に初めて会った際は、少し悩んだ。
 
「オペ好きのサイコパスか、猫好きのコミュ障か、どっちがいいんだ?」
 
そして、こう思った。
 
「どっちにしてもクセは強い・・・」
 
ええい、だったら、結論は会社から近い方!
 
よって、コミュ障先生に依頼した。
 
 
 
マアコの入院中、
 
デッカは延々、車庫の奥で泣きじゃくっていた。
 
大きな声で泣くくせに、車庫の奥から全く出て来られない。
 
私はデッカが不憫で、夜の間も2度、会社に様子を見に行った。
 
泣きじゃくるデッカを呼びながら、翌朝のシュミレーションを考えてもいた。
 
「リターンは、マアコがデッカを確認できるまで待ち、出来たと思えたら扉を開けることにしよう。」
 
捕獲された野良猫は、リターン直後は闇雲に走り去ってしまうことが多い。
 
そして、戻って来る猫もいれば、戻って来ない猫もいる。
 
それなりに馴れた野良猫なら、その翌日か翌々日に戻って来ることがほとんどらしいが、
 
マアコは、そこまで懐っこい猫じゃない。
 
ご飯の最中でも、私以外の人の足音がすれば、一旦逃げ隠れる。
 
せめて、我が子の存在を思い出せば、少しは落ち着いてリターン出来るのではと考えた。
 
それでも、
 
リターン後、翌々日までにマアコが戻ってこなければ、
 
どうやってもデッカを捕まえて保護しなければと覚悟した。
 
「車庫から出られないようじゃ、単独で生きるのは、まだまだ無理だ。」
 
マアコとの約束よりも、デッカの安全が優先だ。
 
我が家の猫らにも、相当な負担を強いることになるだろうが、やるしかない。
 
 
 
翌朝、
 
私は会社にいるデッカのもとへ、我が家のおじさんは動物病院にいるマアコのもとへ向かった。
 
デッカは相変わらず泣いていたが、流石に腹が減ったようで、
 
泣きながら車庫の奥から出てきた。
 
「もうすぐ、マアコが戻って来るからね。」
 
デッカは、ウップウップと嗚咽を漏らしながらフードを食べた。
 
私はデッカが食べ終わったら、すかさず猫じゃらしをデッカの前で振って見せた。
 
「ほら、デッカ、遊ぼう。」
 
腹が満たされて少し安心したのか、
 
デッカは泣くのを忘れて遊びに夢中になった。
 
その時、おじさんの車が到着した。
 
「来た。デッカ、マアコ来たよ。」
 
 
マアコは無事、避妊手術を終えて帰って来た。
 
ここからだ。
 
マアコはデッカを認識できるだろうか。
 
それどころか、扉を開けてしまったら、一生の別れになるかもしれない。
 
私は体をこわばらせたまま、
 
車からケージを降ろし、デッカの居る車庫から見える場所に置き、包んでいた布をはいだ。
 
「デッカ、デッカ!マアコだよ。」
 
呼ぶと、デッカは大きな声で泣き、物陰から顔を覗かせた。
 
猫の視力は、それほど良くないはずだが、
 
それでもデッカは、マアコに気付いたのか、泣きながら物陰から出てきた。
 
「マアコ、分かるね。デッカの声だよ。」
 
そう声を掛けたても、マアコはピクリとも動かない。
 
とはいえ、パニックに陥っている様子はない。
 
よし、今だ。
 
今かな?
 
今なのかな?
 
結局、マアコがデッカを確認できたのか、全く分からん!
 
それでも、私は意を決してケージの扉を開けた。
 
 
「マアコ、おかえり。」
 
扉を開けてやっても、すぐには動こうとはしない。
 
「そうだ、マアコ。チュール持ってくるね。」
 
そう言って離れた途端、マアコはケージから飛び出して行った。
 
 
デッカを車庫に置き去りにして行ってしまった。
 
 
マアコは、いつ戻って来るだろうか。
 
マアコ、戻ってこい。
 
私は、いつまで待つことになるのだろうと考えたら、目眩がした。
 
 
続く
 
じれったい記事が続いております。
 
大変、申し訳ありません。
 
次回4で、完結すると思いますので、
 
コメントは、お気遣いなく~。