私には、
永遠のテーマだった。
おはようございます。
私は基本、肉を食べない。食べられないといった方が正しい。
うんと幼い頃から、肉を食べずに、ここまで大きくなった。
といっても、身長は160ちょっとだ。
それほど大きくないが、骨格は見事だ。
例えるなら、牛だ。
骨格が、牛っぽいのだ。
肋骨の作りの大きさなどは、本当に牛みたいだ。
だけど、牛肉は一口たりとも食べられない。
豚は好きだ。
あれは本当に可愛い。
知人の可愛がっているフレンチブルドックのハナちゃんと会った時、
私は褒めるつもりで、
「ハナちゃん、豚みたい!豚みたい!」
と連呼して、今でも、その知人に嫌味を言われる。
でも本当に豚みたいに可愛い犬だったんだ。
だからではないが、豚も基本食べるのは苦手だ。
要するに、四つ足の哺乳類の肉は、その味がどうしても苦手なのだ。
辛うじて食べられる肉は鳥だ。
とはいえ、ササミが好ましい。
魚はといえば、ジャコと塩鮭とマグロの刺身しか食べたことがなかった。
私が育った家庭は、よくいえば放任主義だった。
実態は、ただの放ったらかしだ。
子どもが健康に育つための世話や教育なんて、まったく受けていない。
ここでも少し書いたことがあるが、
母を認知症外来に連れて行った際、受けた診断は、
「認知症はアルツハイマー型だけど、それ以前に重度のアスペルガーだね。」
だった。
母さんは、アスペルガー。
これは私にとって、やっと腑に落ちた瞬間だった。
だろうねっと深く納得したのだ。
あの人が悪意のある毒親だったら、今頃ぶっ飛ばしているが、
私の母は昔から悪意を感じなかった。
まるで無邪気なじゃじゃ馬のように、我が子を蹴散らかした。
だから幼い頃は大変だった。
とにかく自力でなんとか生き抜かなければという意識が強かった。
そのせいか、子供のくせに、非常に猜疑心の強い子供だった。
先生も同級生も親も食べ物も、なにもかも信じなかったし、知らない食物は口にしなかった。
なにもかも怖かったんだ。
私の周りの全ての存在が私を脅かすものとしてしか認識できなかった。
振り返れば、まるで捕らえられた野生動物の心境だ。
私の記憶では、5歳だ。
5歳で、心のシャッターをぴしゃっと閉めた。
そんな私の成長を支えたのは、カルビーポテトチップス・コンソメパンチと給食の食パンだった。
本当に、それ以外まともに食べた記憶が無い。
私にとって安心する食物が、これらだったわけで、
私は食物を美味しいかどうかではなく、安心かどうかで判断していた。
すすめはしないが、人間はイモと小麦で案外育つものだ。
それでも、成長しきってから、
私はいろんな人やいろんな食べ物に出会い、少しは食の幅が広がった。
とはいえ、人としての幅はまったく広がっていない。
鶏肉(主にササミ)は食べらると気付いたのも、大人になってからだ。
食べ歩いて学んだというより、料理をすることで、私の食は広がった。
早めの結婚が、私に様々な学びを与えてくれたのだった。
それなりに辛かったけれど、一人の男を愛しただけで、
それだけで、私は多くを学んだ。
あの鬼みたいな舅さんが、鬼のように様々な魚を釣ってこなければ、
私は魚をさばくことも、食べることも無かっただろうし、
姑さんに、息子可愛さから来る嫁いびりを受け、
私は「これは悪意だ!」と気付いた。
息子を盗られたような気分や若い女への嫉妬や
なんかもう、とにかく気に入らんと思う、
その悪意が手に取るように理解できた。
おかしな話だが、私はそんな姑さんに安堵を覚えた。
実に人間臭くて、私は姑さんが嫌いじゃなかった。
離婚するとなった頃には、泣いてくれた。
別れ行く私のために、あの人は泣いてくれた。
やっぱり人間臭くて、可愛らしい女性だった。
話は大幅に逸れてしまったけれど、
永遠のテーマとは、唐揚げの衣なんだ。
私は長年、ササミの唐揚げの衣について、様々試してきた。
小麦粉だけにしてみたり、片栗粉をまぶしてみたり、
小麦粉と片栗粉をブレンドしてみたり、
そこに卵白を加えた日、マヨネーズを混ぜるといいと聞いた日、
あらゆる衣をササミに纏わせてみた。
もちろん、ササミも色んな汁に漬け込んできた。
「しっくり、こない・・・」
そう、どれもこれも、しっくりこないのだ。
ところが、ある日、
日清製粉から揚げ粉でササミをまぶしてみた。
期待なんてしていなかった。
その日は、ひどく疲れていて、夕食を作る気にもなれなかった。
投げやりな気分で、から揚げ粉をまぶした。
「おぉぉぉぉっおいしいやんけ!」
何十年、追い求め来た我が人生のテーマが、
まぶして3分で解決してしまった。
なんだったんだよ、この数十年は!!
さて、我が家の無邪気なじゃじゃ馬といえば・・・
あやが窓の外を見ていると、
他の猫は、迂闊に近づかない。
あや「あら、のんちゃんも見たいのね?」
あや「はい、どうぞ~」
退いてくれる訳だ。
あや「今度は、たれ蔵か?!」
あや「仕方ないわね~もぉ」
と、やっぱり退いてくれる。
案外、優しいのだ。
おい、おたまは?
おたま「あや姉、来ないかな~?」
もはや、優しいじゃじゃ馬に、ぶっ飛ばされたいらしいが、
その気持ち、なんか分かるわ~