大切なものを、
ひとつ失ったかもしれないが、
だからこそ、見えたものは、
計り知れないほど、大きなものかもしれない。
おはようございます。
うんこのネズミさんが、また消えた。
本当にないんだ。
どこにもない。
ないはずはないが、ないんだ。
それに気づいたのは、そうだ。
緊急事態宣言が発令された頃だった。
我が家のおじさんは、仕事が休業になり、
たいそう、暇になった。
と思いきや、
私が帰ってくると、ある日は
玄関が、玄関が・・・
お部屋が、お部屋のレイアウトが・・・
ごっちゃごちゃな家に、愕然とする中、
また別のある日は、
ベッドが、ベッドが・・・
のん太?なんて顔してんだ?
おじさんは、毎日、部屋中をてっくら返して、
ネズミさんを捜索していたという訳だ。
押し入れの中も、冷蔵庫の裏も、とにかく、
毎日毎日、全てをてっくら返し、
その都度、拭き掃除を施していた。
気付いたら、すごくお家が綺麗になっていた。
ラッキー!
と、喜んでいる場合ではない。
ネズミさんは、いまだ見つかっていない。
「どこにあんだろうね?」と私がつぶやくと、
おじさんは、
「ん~・・・もう一度、繰り返してみましょうか。
盲点があったのかもしれませんから。」
と言う。
もう一度、同じことを繰り返すの?
たかが、猫が大事にしてた小さなぬいぐるみのために、
毎日毎日、一日中、家をてっくら返して真剣に探す、55歳の男。
その心の純度の高さに、私は圧倒された。
うんこ「おじさんが気づいてくんない!」
うんこ「うんちゃんは、もう寝たいのぉ。」
うんこ「そうそう。やっと気づいたの?おじさんめ!」
うんこ「うんちゃんが寝るまで見てなきゃダメだからね、おじさん?」
ネズミさんが添い寝しなくても、
君は、もう大丈夫なのかもしれないね、うんこ。