この土日は、めっぽう寒かった。
冷たい風が吹き荒れていた。
私は、コンクリートの上でスリスリ甘えるチャー坊が寒かろうと思い、
膝に抱き上げてみたが、当のチャー坊は、
「やめてよぉ。なにするんだよぉ。」
といった緩い具合で、膝から降りた。
彼は、めっぽう優しい。
おはようございます。
私は、猫は奇跡を起こす生き物だと信じている。
それは、気付かないほど小さな奇跡の時もある。
ほんのささやかな、不思議な奇跡だ。
なのに、野良猫を迷惑がったり虐めたりする人がいる。
こっそりでもいいから、その猫を見ていて欲しい。
可愛がらなくってもいいから、こっそりと。
ささやかな奇跡を体験できるかもしれないから。
そんな私は、犬好きだ。
犬にも、きっと素敵な奇跡が起こせるのだろうな~。
いいな~体験したかったな~現世もう無理だろうな~。
ある日、家に帰ると風呂場に、黒い抜け毛が散乱していた。
加えて、猫の糞が転がっていたのだ。
私は、とっさに推理した。
おたまだ!
おたまが、たれ蔵を虐めて風呂場に追い込んだ。
そのせいで、たれ蔵が恐れて脱糞してしまったのではないだろうか?
私は急いで、たれ蔵の元へ走った。
「たれ蔵、大丈夫か?」
たれ蔵は、なにが?という顔をした。
怪我もしていないようで安堵したが、おたまへの怒りが湧き上がった。
「おたま、どこにいる?おい、おたま!」
窓辺に居たおたまを見つけ、歩み寄りながら声を掛けると、
おたまは、なにが?という顔ではない顔だった。
何かを思っている顔だ。
おたまとたれ蔵は、いつも微妙なバランスで距離を取って過ごしてきた。
追いかけっこして遊ぶこともあるけれど、決して気の置けない仲ではない。
私は、
「たれ蔵に何かあったんか?お前がやったの?教えて。」
と、静かに問いかけた。
おたまは、怒りを堪える私から目を逸らさない。
おたまは、何か言いたげだが、私には分からない。
ただ、たれ蔵が普段通りだったから、それでいいかと思うようにした。
その次の日。
あやを構っていると、来た来た。
あや「おたま、なんなの?やる気?」
あやにチョッカイを掛けに来たのかと思いきや、どうも違う。
逆に気味悪く思ったあやは、退いた。
すると、おたまは、
何気なくを装った風に、
近寄ってきて
私に抱っこをねだってきた。
おたまが、こんなことをするのは、滅多にない。
おたまは、昨日のことを、何か伝えたいのだな?
わかったよ。よしよし、わかったよ。
私は、そう言いながら、しばらく抱いていた。
で、おたまは何が伝えたかったのだろうか?
ごめん、さっぱり分からんのや。