うめと愉快な仲間達

うめから始まった、我が家の猫模様。
犬好きな私は、チワワの夢を見ながら、
今日も癖が強めの猫達に振り回される。

なにがしかの、快感

2021年08月30日 | 日記

「おかっぱさん、

モデルになってくれない?」

 

おはようございます。

と、いつも行く歯科医に言われたものだから、

「別にいいですよ」と軽く承諾した。

 

歯のクリーニングが終わった後、

仰向けになったままの私の口には、

透明の、まるで攻め具のような輪っかがはめられ、

強い光の中、スマホであらゆる方向から撮影された。

 

恥ずかしかった。

なんだろう、すごく恥ずかしかった。

 

ギャラとして、シュミテクト(歯磨き粉)を4本もらったが、

辱められた私の心は、シュミテクトでは癒えなかった・・・。

 

それなのに、

「次の2か月後も、撮らせてもらえる?」と問われ、

不思議と、私は、

顔を赤らめながら、はにかむように頷いてしまった。

 

おい、おたま!

君は自ら、辱めを受けにいってるのかい?

たれ蔵に見せつけてるのかい?

玉無しおたまを?

 

おたま?

 

恍惚!?


抜糸の話

2021年08月28日 | カズコさんの事

我が家のメス猫達は、

全頭、抜糸ありの避妊手術を受けた経験がある。

 

おはようございます。

その中で、もっとも手こずったのは、実はうんこだった。

うんこは、手術後もお構いなしで飛び回ったせいで、

なんと、縫い合わせた腹膜がはじけた。

そのおかげで、再手術をしたのだった。

しかも、獣医さんが

「こんなこと、初めてで・・・勉強になります。」

と言って、再手術はタダだった。

当時、私が暮らす市町でも指折りの腕のいい獣医さんをもってしても、

想定外の事が起きてしまったらしかった。

 

「今度はしっかりと縫わせていただきました!」ということで、

2度目の縫合ははじけることなく、無事抜糸の日にちを迎えた。

が、抜糸も大変だった。

 

うんこを診察台に残し、待ち合い室で待っていると、

「皮手袋をーーー」とか、「きゃー」とか、「うぎゃー」とか、

もはや人の声なのか獣の声なのか判別できぬ、大騒ぎだった。

 

10分は掛っただろうか。

ようやく診察室から出てきた獣医は、

二の腕まで覆われた頑丈な革製の手袋を装着したまま、

引き攣った笑顔で、

「やっと、終わりました。6人がかりで・・・」

と言った。

その時、私は呆気にとられ、ついお礼もお詫びも忘れた。

 

当のうんこは、診察室へ迎えに行った私の顔を見るなり、

躾のできた犬みたいに、しゃんと座り直して、

「かあさん、うんちゃん頑張ったよ」と言わんばかりの満面の笑顔だったものだから、

私も汗だくの看護師さん達も、笑ってしまった。

「うんちゃん、頑張ったもんね」と看護師さんに言われ、

ついさっきまで、牙を剥ていた矛先の、その看護師さんにも

甘えた表情を見せつけて、更に笑いを誘った。

 

その病院とは、

子猫の頃、感染症で死の淵を彷徨ったうんこを、

救ってくれた人達だった。

獣医は、

「あのうんちゃんが、こんなに元気に育ってくれて、

本当に良かったですね。元気過ぎて困っちゃうくらいにね。

うんちゃんめ!」

と言って、うんこの鼻を優しく突いた。

 

木曜日の朝、そんな昔を思い出したわけは、

カズコさんの抜糸の日だったからだ。

大人しく抜糸させてくれるだろうか?

手術の日みたいに、また混乱して暴れたりしないだろうか?

と危惧していたが、

カズコは手術したこと自体を、とっくにすっかり忘れていた。

この時ばかりは、認知症ありがとうっと心で叫んだ。

 

そのおかげでか、すんなりと抜糸も終え、

硬膜下血腫の治療は、いったん終了と相成りました。

 

ご心配頂きました皆様、まことにありがとうございました。

ついでに、浮かばれない遺物を見てやってください。

 

急遽、かずこの手術と入院が決まり、

その夜、私は急いで、日めくりカレンダーを作った。

カズコさんは、

家でも、毎朝、日めくりカレンダーを捲るのが日課だったからだ。

入院予定は、8~9日間ということで、

 

日々、かずこが入院で混乱しないよう、言葉を添えた。

 

願いを込めて作ってみたが、

入院3日目であえなく退院する際、

カズコはこれを病室のゴミ箱に捨てていたという現実。

 

いいさ、いいさ。

想定内さ!

カズコは、そういう人さ、昔から。

 

おたまだって、我が家のおたまだって、

耐えているしな。

自分のご飯をあやに食べられていたって

 

こんな顔で、耐えているんだもんな。


おたまの心の憂鬱?

2021年08月26日 | 日記

『えたいの知れない不吉な塊が

私の心を終始圧えつけていた。』(檸檬から引用)

 

おはようございます。

これ、読みました。

買ったおまけに、うちわ型の栞をもらった。

見て、すごく大きいでしょう?これ、栞なんだぜ。

 

檸檬の他、短編小説が20編収録されています。

どの短編にも、決まってと言っていいほど

出てくるワードは「憂鬱」であること。

自分の生きている場所は、季節が移ろい、美しく輝く。

それなのに、自分は憂鬱の最中にいる。

作者の短い人生の多くの憂鬱や心の機微を、

注意深く掘り下げ、文字として浮かび上がらせる作業は、

命を削るほど壮絶だろう。

憂鬱や陰鬱という文字をたくさん読んだはずだが、

読後、私の心は憂鬱にも陰鬱にもならないから不思議だ。

むしろ、自分の憂鬱とも徹底的に向き合ってみたくなってくる。

しかし、その時忘れてはいけないのは、

枯れかけた小さな花や、やかましい蝿や蚊も、

輝く命であることを歓迎しながら行わなければ、

自分の憂鬱に絶望するだろうことだ。

そんな、本でした。

そして、何よりも良かったのが、

漢字のフリガナが、とても多くて、読みやすかったことです。

ありがとう、新潮文庫さん!

 

さて、我が家のおたまは、

いつも陰鬱な顔をしているが、そういう時は案外ご機嫌なんだぜ。

そして・・・

大好きなあや姉ちゃんが側に来ると、

嬉しいのに、緊張した顔になるんだぜ。

 

あや「変なことしたら、ぶっ飛ばすわよ!」

 

おたまは、嬉しいのだ。

嬉しいのだが・・・

 

あや「変なことしたら、容赦しないんだからね!」

 

おたま「おら、緊張する~」

複雑な心境だな。


カズコの、その後

2021年08月24日 | カズコさんの事

コメントには、

書かせていただきましたが、

カズコさん、とっくに退院しております・・・

 

おはようございます。

退院予定は、28日の土曜日だったが、

2日半で、病院からSOSが届いた。

「カズコさんの帰りたいというお気持ちが、強すぎて・・・」

 

手術当日から、すでに、こうなるだろうことは予想していた。

手術を終えた主治医には、

「最悪、明日、お迎えに来てもらうかもしれない。」

と言われていたからだ。

「術後しばらく、暴れないよう拘束したり鎮静をかける方法もありますが、

やっぱり、それはしたくないな~。

そんなことをするより、自宅療養の方が、カズコさんにとって

いい気がするんですよね~。

でも、できれば入院していた方がいいから、

とにかく今は、スタッフ一同で頑張ってみます!」

 

ただでさえ、手術に3時間もロスした上、

牙をむき出すカズコに手こずっているのに、

主治医や看護師さんは、嫌味など一言もなく、

ひたすら真摯に、カズコさんのことを考えて下さっていた。

私と父は、これ以上ご面倒は掛けられないと思い、

日曜日の昼下がり、急いで迎えに行った。

 

待ち合い室に通され、待っていると、

病棟の奥の方から、カズコらしい声が聞こえてきた。

荷造りを手伝う看護師を罵倒しているのだろう、声だ。

私は震えた。怒りに震えた。

(認知症なんだもん、仕方ない。悪気はないんだ。)

そう心で唱えていても、顔がますます熱くなってくる。

 

そして、ついに、カズコの姿が現れた。

「ほい、ジジも来たんか?!」

完璧だ。

お洒落ウィッグもきちんと被り、薄化粧も施した顔は極めて穏やかだ。

旅行バッグを優美に腕に掛け、しゃなりしゃなりと向かってくる。

なんて、完璧なお出かけスタイルだろうか!

まるで、これから鎌倉あたりへ一泊2日で旅行へいくみたいだ。

 

私は声を潜めて、父に言った。

「さぞや乱れた状態で来るかと思ったんだけど・・・ねえ。」

父も

「うん。しゃんとしとるな。」と呟いた。

そして、不謹慎にも、笑ってしまった。

その笑いをかみ殺し、私と父は、

誰彼構わず、腰を90度はるかに超えた角度で謝り倒した。

 

そんなわけで、カズコさんは自宅療養と相成りました。

今後の処置は、通院で。

 

あぁ、疲れた。

 

たれ蔵?

安らかな眠っているな。

 

さて、次は『カズコ、抜糸は大人しく出来るのか』だな。

ほんと、きくという猫みたいな、人だ。


お久しぶりですが、長いです。

2021年08月22日 | カズコさんの事

久しぶりに、

パソコンを起動させた。

 

おはようございます。

しばらく記事も更新していませんでしたので、

ご心配下さった方もおられるかと思いますが、

申し訳ありませんでした。

 

うめと愉快な仲間達は、すこぶる元気です。

元気でなかったのは、実家のカズコさんでした。

 

いや、元気はある。

手術を嫌がって、暴徒と化し、手術時間を3時間も遅らせたってほど、

お元気なのです。

この場を借りて、お詫び申し上げます。

「脳外の先生、ごめんね。」

 

始まりは、17日の火曜日だった。

私は、カズコを連れて、

認知症の名医である精神科医のいる病院を訪れた。

カズコは数年前から、とっくのボケていたが、

故きく(狂犬と呼ばれた猫)みたいなカズコを、

病院へ連れて行くのは至難の業だった。

それがついに、令和3年8月17日に叶ったのだ。

しかも、楽しそうに助手席に乗って、病院へもすんなりと入って行った。

これは、凄い奇跡だった。

「カズコさんの未来は、明るいぞ~」

私は思わず、カズコの両肩を掴んで、そう歓喜した。

 

その後、カズコは幾つかの検査も上機嫌で乗り越えた。

そして、ついに名医の診察が始まった。

私の第一印象としては、キャラの濃いおもろいおっちゃんといった名医だったが、

何がおもろいか、もうここでは表現できない。

世間話がひと通り終わった後の診断で、世間話の記憶は

きれいさっぱり、ぶっ飛んでしまったからだ。

 

「カズコちゃんは、おそらくアルツハイマー型なんだけど、

その前に、脳外科行ってきて~。

硬膜下血腫が、見つかっちゃったんだわ~。

けっこう大きいから、すぐ脳外科行って。

頭蓋骨をコンッと穴開けて、ピューッと血を抜くだけだから、

全然、大丈夫な手術だから、そっちを先に治しちゃおうな!」

 

カズコは、何を言われているか分からない様子だが、

キャラの濃いオモシロ名医の話に、とりあえず笑って頷いていたが、

私は、頭の中が真っ白になった。

 

そして、19日の木曜日、

名医からの紹介状を手に、私とカズコは巨大病院へ向かった。

その際も、カズコは、思いのほか上機嫌だった。

ここでも幾つかの検査を乗り越え、いざ、脳外科医の診察だ。

私の第一印象としては、キャラの濃いおもろい青年医師だった。

(これまた、キャラの濃い医者か・・・)そう思った。

そして、脳外科医は、オーバーな手振り身振りを加えながら、

「この血腫は手術せんと、どんどん悪くなっていくから、

すぐやろう。今日、やっちゃおう。

大丈夫!コンッと頭蓋骨に穴開けて、溜まった血をピューッと出すだけだから。」

と言った。

コンッと穴開けてピューという響きに、(デジャブですか?)と私は思った。

しかし、入院が8日必要ということから、

翌日に改めて決行することと相成った。

 

こうして、8月20日の金曜日の午後1時、

私はカズコを病院へ置いて去った。

コロナ禍の今、家族の付き添いは一切できない。

入院中の面会も、禁止だ。

 

認知機能が著しく落ちているカズコに、その全ては理解できない。

ほんの僅か、「今、自分は孤独である」ことしか、理解できないのだ。

その孤独の最中、

カズコはどんどん混乱していった。

ついには、医師や看護師に暴言を吐き、暴れて逃げようとした。

その時だ。

カズコは、持たせた携帯電話を必死で掛けた。

「真美か。ここはとんでもない所や。

わしは・・・戦う。独りで戦うんや。ほんだらな。」

「お母さん、落ち着いて。先生に代わって。ねえ、お母さん?おかあ・・・」

電話はその後、繋がらなくなった。

 

なにかあれば、病院から電話があるはずだ。

私は、待った。

待ちに待って夜の8時半、脳外科医から電話が鳴った。

「手術は4時の予定だったんですが、カズコさんのせん妄が酷くて、

すごい興奮状態から、落ち着いてもらうまで3時間伸びちゃいましたが、

手術は成功しましたから、安心してください。

明日から様子を見て、カズコさんがあまりに興奮したり暴れてしまうようなら、

そっちの方がカズコさんにとって危険ですので、

自宅療養に切り替える判断をせざるを得ないかもしれません。」

 

翌日21日、土曜日、

私と父は、迎えに行く心準備をして、待っていた。

「手術ができたんだから、それだけでも、よう頑張ったもんな。」

父は、すぐにも飛んでいく気満々だったが、脳外科医からの電話では

「今日のカズコさんは、すごい落ち着いてます。

昨日のことが、うっそみたいに落ち着いてくださってるから大丈夫です。

術後の検査にも心配する箇所もないので、安心してください。

とりあえず、このまま入院続行してもらってみます!」

と伝えられた。

 

しかし、私や父の携帯には、カズコから電話が鳴り続けていた。

「帰りたい、すぐ帰れんなら、勝手に出てく!」

カズコは、怒り狂っていた。

おそらく医師の言う通り、病院のスタッフの前では、

せん妄もなく暴言も吐いていないだろう。

カズコは正気の状態で、家族に怒りをぶつけていたのだ。

もともと、そういう人だ。

思い通りにならないと、とかく家族に八つ当たりをするタイプの人。

いくら、看護師さんが優しくしてくれたって、

酒も煙草もない世界なんて地獄でしかないと、怒りまくっているのだ。

 

長くなりましたが、こうして今日22日を迎えた。

私はスマホを、常に身近に置いているといった具合です。

そして明日には、病院へ電話をして、

医師から早期退院の相談を受けるより前に、

こちらから、退院を早めてもらうよう、懇願することになるだろう。

 

やれやれ。

まあ、手術ができたんだから、それで充分だ。

カズコは、社会のレールには乗れない。

今に限ったことじゃない。

狂犬カズコに、常識なんて通用しない。

カズコは昔から、カズコとして、カズコでしかない、

カズコの道をばく進してきたのだ。

けれど私は、今回ばかりは、社会のレールにカズコを乗せてみた。

きっと苦しむだろうと予想していた。

胸が痛んだ。

私の正しさがカズコの正義ではないことを分かってながら決行した。

 

例えるなら、

気ままに過ごしている猫を、突然捕まえて檻に入れたら、

その猫は混乱して牙をむくだろう。

それは当然のことだ。

「あなたのためなのよ」と言ったって、そんなのこっちの勝手だ。

カズコは今、その檻の中から牙をむき、

自分の自分だけの道を守ろうとしているだけなのだ。

 

これからも、こんな場面は幾度とあるだろう。

私は、母がカズコの道を笑顔でばく進できるよう、

社会とのバランスを取り持ちながら続けていこうと、改めて思った。

そして、想像するだけで、戦々恐々としているって訳だ。

いや、む・・・武者震いしてんだい!

 

こっちにもだ!

ベランダにもだ!!

セミー!

すごい音ですわ~。

 

おたまは大丈夫なのかい?

 

おたま「なにがだ?」

君、すごいね。

あやとたれのんは、押し入れに逃げたぞ。

 

うんこ「うんちゃんも、平気よ」

うん、うんこは昔、ベランダのセミを咥えて、

「かあさ~ん」って駆け寄ってきたもんな。

あの時、産まれて初めて、本当に卒倒したよ、あたしゃ・・・。