令和6年の暦の余白が少なくなりましたが、久しぶりの稽古だよりです。
その日はM氏お一人だったので、一客一亭の稽古をしました。
十ウン年前、尊敬するN先生が私一人の稽古の時にしてくださったことを懐かしく思い出しながら・・・。
令和7年の初釜は、今年と同じロイヤルパークホテル東京日本橋の耕雲亭(小間は台目席)なので、八畳ににわか台目席を作り、台目・濃茶点前の稽古を兼ねています。
最初に初炭、主菓子(縁高で1人分)、濃茶、薄茶、煙草盆、干菓子(2人分)の用意をしてもらいます。
一客は暁庵です。
茶事のように最初にご挨拶を交わし、待合や本席の床の掛物をお尋ねし、初炭になりました。
大きな瓢炭斗、次いで灰器が運ばれました。仕付け棚から羽箒と香合をもって炉正面に回り、いつものように初炭手前が始まりました。
台目の初炭なので、香合や鐶を置く位置、炉縁を履いてから羽箒の置く場所が違います。
湿し灰が撒かれ、胴炭から順次炭がつがれていきます。
かわいらしい梅香合から香が焚かれ、ほどなく良い香りが漂ってきました。口切りに用いた「露葉」でしょうか?
初炭が終わり、本来はここで懐石になりますが懐石は省略、主菓子が出され、菓子を頂戴しました。(亭主は水屋で主菓子を頂いてください・・と指示しました)
中立も省略して濃茶になりました。台目なので外隅ねらいですがいつもより後ろに座ります。
来年の初釜に使う茶器を使ったので扱いが違いますが、詳細はナイショです。
よく練られた濃茶が黒楽茶碗で出され、取りに行きました(M氏の練る濃茶はいつも美味しく愉しみです・・・)。
亭主M氏はすぐに中仕舞いし、次客へ入ります。亭主が座るのを待って総礼。暁庵が一口飲むと、
「お服加減はいかがでしょうか?」とお尋ねします。
「薫りよく美味しゅうございます」
濃茶を亭主も相伴して飲み終わり、亭主が茶碗を置くと、問答が始まります。
「大変美味しく頂戴しました。思わず全部頂きたいほど美味しかったです。お茶銘と詰は?」
「そう言って頂き、ありがとうございます。茶銘は「金輪」、詰は丸久小山園でございます」
「前席では大変美味しいお菓子を頂戴しました。お菓子は?」
「「聖夜」という菓子銘で石井の製でございます」
ここで「お茶碗の拝見を・・」と声をかけ、亭主は茶碗を清めて客へ運び、点前座へ戻りました。
中仕舞いを解き、水一尺で帛紗を腰に付けます。
茶碗が戻り総礼して、茶碗のことをゆっくりお尋ねしました。あとはいつもと同じです・・・。
煙草盆と干菓子が運ばれ、薄茶になりました。
薄茶では和やかにいろいろなお話をしながら、正客は亭主に自服をすすめ、亭主は自服します。
お稽古でしたが、けっこう茶事ムードが漂い、私も楽しかったです・・・。
12月21日(土)の最終稽古ではT氏が一客一亭をします。こちらもとても楽しみにしています・・・。
(参考)
〇 稽古で一客一亭 2009年10月 稽古忘備録
〇 特別稽古 一客一亭にて 2010年6月 稽古忘備録