暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

令和6年クリスマス・飯後の茶事・・・(1)

2024年12月27日 | 「立礼の茶事」(2023年~自会記録)

     (初座の床は花だけでしたが写真がなく・・・)

 

12月23日(月)に「令和6年クリスマス・飯後の茶事」をしました。

小堀遠州流の3人様をお招きしましたが、詰Fさまがインフルエンザでやむなく欠席となりました。

正客SKさまと次客Yさまのお二人になりましたが、暁庵も半東AYさんもいつもと変りなく準備を進め、いつものようにしっかりおもてなししたい・・・と熱い心で臨みました。そして茶事ではお客様とご一緒にクリスマスの茶事を楽しみましょう・・・とも。

忘れないように着物を書いておきます。暁庵は黒地に白鳥の付け下げ、帯はグレー・銀・金の格子縞に牡丹絵があり、EKさまから贈られた帯を初めて締めました。半東AYさんは可愛らしい洒落紋のあるローズピンクの無地着物、帯は群青色です。

14時のお席入りで、20分前にお二人がいらっしゃいました。待合へ入るとすぐに歓声が上がったような・・・。

待合の掛物は「雪夜(せつや)」、野沢蓼州画です。上州の雪山と雪に埋もれた里を月が照らしている墨絵ですが、蓼州晩年の作らしく手の震えを感じるような箇所があり、その風情もまた好し・・・と気に入っています。

煙草盆は手付神代杉掛け分け、火入は染付一閑人です。

裏千家流ではお支度が済むと板木を打って水屋へ知らせるのですが・・・なかなか聞こえてきません。

「先生、確か前回も席入り時間になるのを待ってから板木を打ったように覚えています。きっと小堀遠州流ではそうなのでは?・・・」と半東AYさん。

それで、「もしお支度がお済みのようでしたら板木を人数分打ってお知らせください。汲出しをお持ちしますので・・・」と半東がご案内しました。(このへんは流派の違いや同じ流派でも仕方が違うところで迷いますが、時間を無駄にしたくなかったのでお許しを・・・)

板木が打たれ、半東が熱い甘酒(ショウガ入り、益子焼の汲出し)をお出しし、腰掛待合へご案内しました。

その日の最高温度12℃、風もなく温かでしたが、蹲の湯桶石に湯桶を用意しました。

水桶を運びだし蹲の周りを清め、蹲に水に開けてから迎えつけをしました。裏千家流では枝折戸を開けて一歩入った辺りで主客が無言の挨拶を交わします。表千家流では枝折戸を開けてから枝折戸をはさんで座わり無言の挨拶を交わしますし、流派によって様々な仕方があると思われます。

ここでは小堀遠州流の仕方ではないかもしれませんが、腰掛待合に座っているお客様の近くまで進み、無言で頭を下げてご挨拶を交わし、枝折戸を軽く閉め、帰りに湯桶の蓋を開けておきました。

 

         (点茶盤にしつらえた点前座)

席入り後にお客様とご挨拶を交わしました。

暮のお忙しい中でも「クリスマスの茶事」を楽しみに待っていてくださったようで、そのお気持ちがひしひし伝わって嬉しかったです。正客SK様の帯がなんと!クリスマス仕様、美しく輝くモミの木が印象に残りました。

初座の床には花だけを飾りました。クリスマスに因んで洋花です。鮮やかな赤いダリア、ユーカリ、白いピペリカムともう一種(名前が?)を釣り花入に生けました。花入の作者は中村錦平です。

先ずは前茶を差し上げました。前茶は暁の茶事や夜噺しの茶事で行われ、水屋道具で薄茶を点てておもあいで召し上がっていただきますが、飯後の茶事は亭主次第なので、甘酒の後に前茶を差し上げて一息ついて頂きたい・・・と思いました。

風炉釜の湯が使えない事情がありまして・・・半東AYさんがポットと盆一式を持ち出し、盆点てで薄茶を一服ずつ差し上げました。

木地棗、茶杓は節の所にダイヤが埋め込まれていて「ダビデの星」と名付けました。茶碗は北欧デザイナーさんがデザインした画(松ぼっくりとレースフラワー)を絵付けした波佐見焼の2碗で、バリ島産のアタ盆を使いました。

次は初炭です。

「炭を置かせていただきます」と挨拶し、点茶盤の下から炭斗を取り出します。

炭斗はスウェーデン旅行の折に購入した樺細工です。今は炉の時期ですが、立礼なので風炉釜、炭などすべて風炉仕様になります。

風炉釜は天命写の責紐釜、本当は紙縒りで封印しますが、今回は裂地の紐とロザリオで封印してみました(キリスト様、ゴメンナサイ)。

     (天命写・責紐釜に封印して・・・)

初掃きが済んでから炭を置くところをお客様に近くに寄って見ていただきました。小堀遠州流とは炭の形や大きさ、継ぎ方など全く違うので実際に見ながらいろいろ質問を受けました。風炉の中は炭火が熾きていて陽なので、陰の藤灰(雪、水を表わしていて陰)や月形(月は陰)で陰陽のバランスをとっている・・・などなど拙い説明をしました。

香を焚き、香合を拝見に出してから、釜を水屋へ引き、責紐を外し、湯水を改めてから持ち出しました。この仕方は暁の茶事で行われますが、本来はこのように釜を水屋へ引いて湯水を改めていたそうです(長くなるのでいずれ又書きます・・・)。またこの時、持ち出した釜肌から吹かしたように湯気が上がっているのがご馳走とされています。

さて、暁庵が責紐釜を水屋に引いている間に風炉中拝見をしていただきました。すると、炭を継ぐときは反対側から見ていたので気が付かなかったそうで、灰形(向山前谷)の向山に降り積もった雪景色にびっくりしたそうで、鑑賞して頂きありがとうございました。

      (灰形を作っているときの写真です・・

香合は、音楽にご縁の深いYさまに因んで天使(?)の絵のあるオルゴール付き陶箱を選びました。蓋を開けると「白鳥の湖」の曲が流れます。香は沈香(松栄堂)です。

 

前茶、初炭が終わって点心をお出ししました。 つづく)

 

     令和6年クリスマス飯後の茶事・・・(2)へ続く    (3)へ  (4)へ   

     「クリスマスの茶事」支度に勤しんでいます