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初炭となり、気になっていたお釜をお尋ねすると
「作者はわかりませんが、釜の形は束柴でございます」
やつれぶりが好ましい風炉と詫びた釜の取り合わせに感じ入り、
炭道具に見とれていましたら、
ここで初炭所望となり、不肖、暁庵がさせていただくことに・・・。
改めて藁灰を敷いた風炉中を拝見しながら、下火を直すと
藁灰の燃える匂いが立ち上り、稲わらを燃やす秋の光景と重なって、
一層秋の深まりが感じられます。
西国札所・圓教寺(?)古材で作られた香合がお似合いでした。
中立をし、銅鑼の音に耳を傾け、後入りしました。
床には秋の草花が溢れるように背負い籠に生けられています。
矢筈ススキ、紅白の水引、白秋明菊、ホトトギス、白桔梗、
桜蓼(写真1)の七種でしょうか。
みるみる三畳の小間に秋野の風景が広がっていきました。
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ホトトギス
濃茶点前が始まりました。
初炭をしたので案じていましたが、火相湯相も良さそうでホッとしました。
高麗の詫びた茶碗で濃茶を美味しく頂戴しました。
添えられた古帛紗は堺更紗、模様と色合いがシックでステキです。
更紗好きとしては嬉しく使わせて頂きました。
まろやかな濃茶は丸久小山園の慶知の昔です。
一つまた一つと、手元に集められた道具との出会いの物語が楽しく、
子供のように聞き惚れ、それらの道具たちに魅せられました。
古丹波の茶入と手づくりの仕覆、すすきが画かれた爽やかな水指・・・。
後炭では座掃きはありませんが、初炭の時に忘れたとかで、残念に思い、
座掃きを所望させて頂きました。こんなハプニングも愉しいです。
そして・・・いつも思うのです。
サラサラ何事もなく進む茶事より、多少デコボコがあった方が楽しいし、
ご亭主の個性あふれる趣向やハプニングはいつまでも心に残る茶事になると。
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ススキの穂 白沙村荘にて
薄茶になり、煙草盆と干菓子が運びだされました。
一人亭主で煙草盆を用意するのはとても年季のいることですが、
ついつい省略してしまう暁庵と違い流石でして、とても刺激になります。
薄茶は、二つのステキな茶碗を鑑賞しながら二服ずつ頂戴しました。
主茶碗は、時代を感じさせる御本手の名椀、持ち帰りたい一つでした。
替茶碗は、粟田焼の作家さん(名前が・・)で、なかなかの魅力です。
最後に、ご自服して頂き、棗と茶杓の拝見です・・・。
心を合わせ、ものがたりして過ごした名残の茶事も
こうして終わりとなりました。
ご亭主さま、Hさん、Kさん、ありがとうございました。
帰りの高速バスの時間が迫っていて、拝見したいものばかりの
調度や骨董を横目で見ながら、Kさんの車でバス停へ向かいました。
渋滞に巻き込まれ、京都の自宅へ8時半着となりましたが、
「また皆でものがたりできたら・・」と思いながら書きとどめています。
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「作者はわかりませんが、釜の形は束柴でございます」
やつれぶりが好ましい風炉と詫びた釜の取り合わせに感じ入り、
炭道具に見とれていましたら、
ここで初炭所望となり、不肖、暁庵がさせていただくことに・・・。
改めて藁灰を敷いた風炉中を拝見しながら、下火を直すと
藁灰の燃える匂いが立ち上り、稲わらを燃やす秋の光景と重なって、
一層秋の深まりが感じられます。
西国札所・圓教寺(?)古材で作られた香合がお似合いでした。
中立をし、銅鑼の音に耳を傾け、後入りしました。
床には秋の草花が溢れるように背負い籠に生けられています。
矢筈ススキ、紅白の水引、白秋明菊、ホトトギス、白桔梗、
桜蓼(写真1)の七種でしょうか。
みるみる三畳の小間に秋野の風景が広がっていきました。
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ホトトギス
濃茶点前が始まりました。
初炭をしたので案じていましたが、火相湯相も良さそうでホッとしました。
高麗の詫びた茶碗で濃茶を美味しく頂戴しました。
添えられた古帛紗は堺更紗、模様と色合いがシックでステキです。
更紗好きとしては嬉しく使わせて頂きました。
まろやかな濃茶は丸久小山園の慶知の昔です。
一つまた一つと、手元に集められた道具との出会いの物語が楽しく、
子供のように聞き惚れ、それらの道具たちに魅せられました。
古丹波の茶入と手づくりの仕覆、すすきが画かれた爽やかな水指・・・。
後炭では座掃きはありませんが、初炭の時に忘れたとかで、残念に思い、
座掃きを所望させて頂きました。こんなハプニングも愉しいです。
そして・・・いつも思うのです。
サラサラ何事もなく進む茶事より、多少デコボコがあった方が楽しいし、
ご亭主の個性あふれる趣向やハプニングはいつまでも心に残る茶事になると。
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ススキの穂 白沙村荘にて
薄茶になり、煙草盆と干菓子が運びだされました。
一人亭主で煙草盆を用意するのはとても年季のいることですが、
ついつい省略してしまう暁庵と違い流石でして、とても刺激になります。
薄茶は、二つのステキな茶碗を鑑賞しながら二服ずつ頂戴しました。
主茶碗は、時代を感じさせる御本手の名椀、持ち帰りたい一つでした。
替茶碗は、粟田焼の作家さん(名前が・・)で、なかなかの魅力です。
最後に、ご自服して頂き、棗と茶杓の拝見です・・・。
心を合わせ、ものがたりして過ごした名残の茶事も
こうして終わりとなりました。
ご亭主さま、Hさん、Kさん、ありがとうございました。
帰りの高速バスの時間が迫っていて、拝見したいものばかりの
調度や骨董を横目で見ながら、Kさんの車でバス停へ向かいました。
渋滞に巻き込まれ、京都の自宅へ8時半着となりましたが、
「また皆でものがたりできたら・・」と思いながら書きとどめています。
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