暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

名残の茶事・・・同じ心の友からと (1)

2012年10月24日 | 思い出の茶事  京都編
                   一面のセイタカアワダチソウ

10月21日、JR高速バスに乗り、西を目指しました。
紅葉にはまだ早いのですが、野一面の黄色いセイタカアワダチソウの花や、
秋風に揺れる谷戸のススキの穂波が目を楽しませてくれます。
ある町でバスを下り、相客のHさんとKさんと無事合流でき、安堵しました。

11時30分、約束の時間に何とか間に合い、辺りを見まわすと、
初めて伺うGさん宅は、趣のある古い箪笥や調度、骨董品がさりげなく
置かれていて、ゆっくり拝見したいものばかりです。
寄付には、薄い紫色に花模様が優美な、大正浪漫の付け下げが
衣紋掛けに掛けられていて・・・思えば、ここから始まりました。

             
               雰囲気が似ている大正浪漫の着物

支度を調え、待合へ入って床の掛物を拝見、
最初に大きく書かれた「友」と最後の「大綱」だけ何とか読めました。
紫野大綱和尚の筆で、心惹かれる和歌が短冊に書かれていたことを
あとでご亭主から教えられ、今日の茶事の表題(心)といたしました・・・。

     友   我がいほに 同じ心の友からと
         つきゆきはなの ものかたりせむ   大綱

ワレのある根来塗の煙草盆、灰が整えられた火入にも心躍りました。
火入は、揖保川焼の池川みどりさんの作で、
赤楽のような暖かい色合いの胴に良寛さんの歌が書かれています。
たしか(?)
  
  形見とて、何残すらむ 春は花 夏ほととぎす 秋はもみじ葉

             
                     秋はもみじ葉

寄付の着物とよく似た、優雅な古典柄の着物をお召しのご亭主と
無言の挨拶を交わしました。初めての御目文字でした・・・。   

席入りすると、本床には紫野大亀和尚筆で「一期一会」、
点前座には、鉄のやつれ風炉に濡れ釜、
縦じわのような釜筋に水が溜まって、美しくも清々しい風情でした。
「名残り」の一会にふさわしく、風炉には黒々と藁灰が敷かれていて
お心入れに感激一入でした・・・。

藁灰はつくるのも、風炉中に並べるのも、とても手間のかかることで、
暁庵は一度やったきり、その大変さに身震いしてやっておりませんの。
名残の茶事で風炉の藁灰を拝見したのはその時以来かと・・・。

               
                 雁がね草   季節の花300提供

Kさんによると、伺うたびに茶室がどんどん変わったそうですが、
八畳和室から始まって、蹲を工夫し、三畳小間の茶室を改築するなど、
進化させていったというご亭主のお話しは面白く興味深いものでした。

懐石はぜんぶ手づくりでなさいました。
煮物椀の卵豆腐の柔らかさ、初松茸に舌鼓し、イチジクの揚げ物も珍しく、
ヌカ漬け談義に耳を傾け、嬉しく三人で賞味させて頂きました。
骨董屋めぐりやネットで入手されたという懐石道具は垂涎の的で、
三人三様の寄せ向うにも話題沸騰です。
                                   
               (2)へつづく



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