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花をのみ待つらむ人に山里の
雪間の草のはるを見せばや 藤原家隆
2月17日(日)、いちねん会(第2次?)の五事式に嬉しくも正客として
お招き頂きました。
ご亭主はSさん、半東はKさん、席は汲古庵です。
昨年2月のいちねん会五事式(暁庵の涙の卒業式)を懐かしく思い出しながら、
連客の皆さま(次客Iさん、三客Sさん、詰Aさん)と待合へ。
床には・・ネコヤナギでしょうか?
早春の芽吹きが描かれた色紙が掛けられていました。
「トーン・・トーン・・トーン・・トーン」
詰のAさんが打つ板木が音好く間合い抜群です。
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春とはいえ、如月の冷え込みはさすがにきつく、
大地を持ち上げている霜柱を横目に見ながら露地を進むと、
先ほどは何もなかった庭に緋毛氈を敷いた腰掛が設えてありました。
Kさんのご主人の協力の賜物・・・感謝しながら迎え付けを待ちました。
渋い若草色の着物、色とりどりに織られた帯のご亭主が現われ、
冷気の中、張りつめた気配を感じながら無言の挨拶を交わしました。
蹲には湯の入った釣瓶が用意され、配慮と工夫が嬉しかったです。
八畳広間に席入りすると、床には
「謝茶」
よどみのないすっきりした筆は紫野孤篷庵の卓厳和尚です。
「謝茶」に寄せるご亭主の思いはそのまま客一同の思いでもありました・・。
ご亭主と挨拶を交わした折、宿題を頂戴しました。
「今日の五事式には何かテーマがあったら・・と思い、
ある和歌をテーマにしてみました。
クイズと思って愉しんでいただければ幸いです」
(あらら・・どうしましょう!)
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廻り炭になりましたが、皆さま、七事式で鍛錬されているので
手前はすらすら、炭を上げるのも、置くのも早く、
一番もたもたしていたのは、稽古不足の正客でした。
三客のSさんが枝炭を真ん中に立てるように入れて
「京都からいらした歓迎の冬の花火・・・」
以前に五事式の会で、「春の小川」「竜田川」「鳥居」「花」などの置き形を
廻り炭で勉強したことがあったのですが、すっかり忘れていました。
やって宜しいのかしら?・・という迷いもありましたが、
Sさん曰く、
「七事式は修練なので遊んではいけないけれど
五事式はそのような趣向があっても好いそうですよ」
その言葉に大いに納得です。
「Sさん、歓迎の冬の花火をありがとうございます!
今度の五事式では、置き形を楽しみたいです」
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廻り炭が一巡し、ご亭主が埋み火を掘り出しました。
みんな我がことのように、一挙一動を見守っています。
残念ながら割ると黒く、埋み火から火を熾す難しさを痛感していると、
すぐに半東が種火を運んできて、流石の連携プレーでした。
釜は真形(敬典造)、炉縁は真塗・唐松蒔絵、
香合は志野焼の「早わらび」、
香銘は「雪ノ下」、香元は鎌倉・天薫堂です。
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五事式-2 雪間の草の春 へつづく