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四君子苑の表門
大変遅くなりましたが、(つづき)をアップします。
四君子苑(しくんしえん)は北村美術館に隣接し、
眺めの良い鴨川べりの、借景に大文字山を望む地にあります。
実業家であり茶人であった故・北村謹次郎氏がここに住み、
茶室・茶苑と数寄屋造りの建物(旧北村邸)が現存しています。
普段は非公開ですが、春と秋の一定期間のみ公開されていて、
10月27日の最終日に駆けつけました。
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近くの鴨川
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鴨川の鴨たち
数寄屋造りの建物は、京数寄屋の名工・北村捨次郎が腕をふるい、
昭和15年に着工し昭和19年に完成しました。
戦後、進駐軍の接収期間もあり、一部改築されましたが、
昭和38年に吉田五十八氏の設計により母屋が近代数寄屋建築に改築され、
新座敷棟となっています。
四君子苑という素敵な名前の由来は、
菊の高貴、竹の剛直、梅の清洌、蘭の芳香を
四君子と中国で讃える風習があり、その菊、竹、梅、蘭の頭の文字が
「きたむら」と読めることから、北村謹次郎氏が命名したそうです。
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はじめて中へ入り、茶室入口の扁額を見て「あっ!」と思いました。
松永耳庵筆で「珍散蓮(ちんちりれん)」。
横浜三溪園・春草爐や如庵のことを調べていた時に
「珍散蓮」という名の茶室が本に載っていて、記憶に残っていました。
でも、何処の茶室なのか、覚えてなくって、やっと回路が繋がり、
「珍散蓮はここだったのね・・・」
忘れていた恋人に出遭ったように嬉しくなりました。
案内人から説明を聞いた後に案内書を手に、
謹次郎氏のお茶事へ招かれた如く、もう一度辿ってみました。
よろしかったらご一緒しませんか?
(撮影禁止で写真がないのが残念ですが・・)
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稲穂垣と石灯籠
表門から入ると珍しい稲穂垣と巨大な敷石(九条家の御駕籠石)があり、
茶事の緊張感でどきどきしながら玄関へ。
(四君子苑は「石造物の宝庫」とも言われ、約六十点あるそうで、
それらを見るだけでも価値のある庭園ですが、今日はほどほどに・・・)
飛び石の組み方が美しい内露地があり、蹲踞や灯篭を横目で見ながら
玄関石に草履を脱いで揃え、二畳の寄付へ。
北側に一畳分の板の間があり、隅に丸炉が切られています。
ここで支度を調え、次の長四畳(鞘の間)へ進みました。
鞘の間の東側にエントランスの庭がありました。
坪庭のように仕切られた空間に伊賀・六角石灯籠(永禄7年銘)と
山田寺の四天柱石水鉢(飛鳥時代)、二つの石の語る言葉に圧倒され、
落ち着きの中にも身が引き締まる佇まいです。
筧の水音に「ほっ」と癒されました。
丸炉の湯で香煎がだされ、水音を愛でながら美味しく頂戴しました。
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石造物(四方仏)・・白沙山荘にて
半東の案内に従って土間を通り、片流れ屋根の渡り廊下を進むと、
右手に腰掛待合(雪隠付)があり、こちらで迎え付けを待ちました。
渡り廊下の左右の庭や露地には北村氏が蒐集した石造物が配置され、
ことさらの静寂や無常観を感じるのは私だけでしょうか。
その一つ、腰掛待合隣りにあるクスノキの化石、
円座を敷いて補助腰掛待合にするとか・・・。
石のベンチはステキですが、露地は薄暗く人恋しいような佇まいでした。
(つづく) やっと
できました
「ふぅ~」
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大変遅くなりましたが、(つづき)をアップします。
四君子苑(しくんしえん)は北村美術館に隣接し、
眺めの良い鴨川べりの、借景に大文字山を望む地にあります。
実業家であり茶人であった故・北村謹次郎氏がここに住み、
茶室・茶苑と数寄屋造りの建物(旧北村邸)が現存しています。
普段は非公開ですが、春と秋の一定期間のみ公開されていて、
10月27日の最終日に駆けつけました。
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近くの鴨川
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鴨川の鴨たち
数寄屋造りの建物は、京数寄屋の名工・北村捨次郎が腕をふるい、
昭和15年に着工し昭和19年に完成しました。
戦後、進駐軍の接収期間もあり、一部改築されましたが、
昭和38年に吉田五十八氏の設計により母屋が近代数寄屋建築に改築され、
新座敷棟となっています。
四君子苑という素敵な名前の由来は、
菊の高貴、竹の剛直、梅の清洌、蘭の芳香を
四君子と中国で讃える風習があり、その菊、竹、梅、蘭の頭の文字が
「きたむら」と読めることから、北村謹次郎氏が命名したそうです。
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はじめて中へ入り、茶室入口の扁額を見て「あっ!」と思いました。
松永耳庵筆で「珍散蓮(ちんちりれん)」。
横浜三溪園・春草爐や如庵のことを調べていた時に
「珍散蓮」という名の茶室が本に載っていて、記憶に残っていました。
でも、何処の茶室なのか、覚えてなくって、やっと回路が繋がり、
「珍散蓮はここだったのね・・・」
忘れていた恋人に出遭ったように嬉しくなりました。
案内人から説明を聞いた後に案内書を手に、
謹次郎氏のお茶事へ招かれた如く、もう一度辿ってみました。
よろしかったらご一緒しませんか?
(撮影禁止で写真がないのが残念ですが・・)
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稲穂垣と石灯籠
表門から入ると珍しい稲穂垣と巨大な敷石(九条家の御駕籠石)があり、
茶事の緊張感でどきどきしながら玄関へ。
(四君子苑は「石造物の宝庫」とも言われ、約六十点あるそうで、
それらを見るだけでも価値のある庭園ですが、今日はほどほどに・・・)
飛び石の組み方が美しい内露地があり、蹲踞や灯篭を横目で見ながら
玄関石に草履を脱いで揃え、二畳の寄付へ。
北側に一畳分の板の間があり、隅に丸炉が切られています。
ここで支度を調え、次の長四畳(鞘の間)へ進みました。
鞘の間の東側にエントランスの庭がありました。
坪庭のように仕切られた空間に伊賀・六角石灯籠(永禄7年銘)と
山田寺の四天柱石水鉢(飛鳥時代)、二つの石の語る言葉に圧倒され、
落ち着きの中にも身が引き締まる佇まいです。
筧の水音に「ほっ」と癒されました。
丸炉の湯で香煎がだされ、水音を愛でながら美味しく頂戴しました。
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石造物(四方仏)・・白沙山荘にて
半東の案内に従って土間を通り、片流れ屋根の渡り廊下を進むと、
右手に腰掛待合(雪隠付)があり、こちらで迎え付けを待ちました。
渡り廊下の左右の庭や露地には北村氏が蒐集した石造物が配置され、
ことさらの静寂や無常観を感じるのは私だけでしょうか。
その一つ、腰掛待合隣りにあるクスノキの化石、
円座を敷いて補助腰掛待合にするとか・・・。
石のベンチはステキですが、露地は薄暗く人恋しいような佇まいでした。
(つづく) やっと
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