暁庵の茶事クロスロード

茶事が好きです。茶事の持つ無限の可能性に魅了されて楽しんでいます。2015年2月に京都から終の棲家の横浜へ戻りました。

2021年如月の教室だより・・・梅の和歌

2021年02月28日 | 暁庵の裏千家茶道教室

       (白梅とメジロ・・・右端にメジロがいます)

 

2月27日の午後、2か月ぶりにM氏がお稽古にやってきました。

緊急事態宣言で初釜とM氏のお茶事が相次いで中止になり、それ以来お会いしていません。転勤族なのでこの春に転勤するのでは?・・・と案じていました。

「すぐには転勤はないと思いますが、いつ転勤になるか、こればかりはわかりません・・・」とM氏。

「そうね! その時はその時だわね・・・」

わからないこと、答えが出ないことをくよくよ(?)考えないことにしています。(お茶事は別でして、あれこれ考えることを楽しんでいますが・・・)

 

    (写真がないので別の稽古日の写真です・・・)

 

その日はお一人で、後炭と濃茶をお稽古しました。

M氏に限らず、後炭はなかなかお稽古が出来ないのですが、今は落ち着いてじっくり取り組めるので好い機会です。

初炭と違い、釜を上げるたびに炉中の炭の様子は千差万別で・・・思わず「あっ!」と声が出てしまうほど残火のきらめきは美しく、時の移ろいを物語ってくれます。

 

      (後炭の炉中の様子・・・初掃き)

炉中の炭を直しながら、いえ、一瞥したら、胴炭の扱いや、輪胴をつかうか否か、どのように置くかなどを考えて炭を調えていきます。

(ここで匙香を炉中にくべ、湿し灰を撒きますが、長くなりそうなので省略します)

胴炭が2つに綺麗に割れたら最高のご馳走!ですが、胴炭が黒々と残っていたらそのまま使い、炭斗から輪胴を灰器の灰匙の上に移します(この時の輪胴の移し方にはいろいろなご指導があるようで、興味深いところです・・)。

千差万別の後炭をご指導するには何度もお稽古を重ねるしかありません。そのたびに、いろいろなことをお話しするようにしています。

この日は、輪胴、丸ぎっちょ、割ぎっちょ、丸管炭・割管炭・枝炭の3本、最後に点炭が置かれました。

続いて濃茶になり、M氏がブランクを感じさせないお点前で丁寧に練ってくださった濃茶を頂きました。

黒楽茶碗に緑色の濃茶が艶やかに薫り好く、美味しそうです。口に含むと、甘くすっきりとした味わいでした。もう一服いただきたいくらい美味しい・・・。

 

 

茶銘は「千代昔」、詰は名古屋市・升半(松柏園詰)、M氏の故郷のお茶をご持参くださったのでした。菓子は銘「初音」(鶯餅)です。

茶入、茶杓、仕覆の拝見をお願いしました。

茶入は、備前肩衝で伊勢崎淳作でした。

「すっきりとしたお茶杓でございますが、こちらは? 」

「淡々斎作で、銘が「知る人ぞ知る」でございます」

「まぁ~!!「知る人ぞ知る」ですか・・・ステキなご銘ですね。どのような謂れがあるのでしょうか?」

「茶杓銘は古今集にある紀友則の梅の和歌から付けられました。梅の和歌はたくさんありますが、とても好きな和歌でして・・・(どうぞお詠み上げを)

  君ならで誰にか見せむ 梅の花

      色をも香をも 知る人ぞ知る     紀友則

 

 

ゆったりとステキな時間が過ぎていきました。 

 

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