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秋の長雨の合間に隣花苑へ茶友5人で出かけました。
この前は春だったのに、時の移ろいは速く、隣花苑で催す秋の茶会まで1ヶ月になっていました。
それに9月限定(?)の名物・蓮華飯を5人共心待ちにしていました。
緑濃い樹木をくぐるように進むと、懐かしい田舎家風の玄関です。
入ると土間が広がり、天井の太い梁や柱、囲炉裏の火が暖かい板の間、黒い板戸、
どれも黒光りしてどっしりと出迎えてくれます。
玄関入り口や土間に活けられた花が豪快かつ見事で、これも楽しみの一つです。
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ランチコースを頼み、昔懐かしいおばんざい、ヘルシーな野菜料理、洗練された魚料理、
名物の三渓そばや蓮華飯をゆっくり味わいながら、料理やお茶の話題が花盛り。
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お豆さんとえ~と?
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蓮の葉の器に盛られた白和え、炒め煮、甘酢和え、お浸し
心配していた蓮華飯ですが、
「今年は三溪園のハスの花が少なかったのですが、なんとか茶会にお出しできそうです」
と女将・西郷槇子さん(原三溪翁のひ孫さん)。
内心ほっとし、原三渓翁が長男・原善一郎氏の追悼の茶事で蓮華飯を饗し(蓮華飯の茶事)、
参会した松永耳庵翁が三溪翁の心意気とその味の絶妙さに感動したことを思い出しながら・・・
4年ぶりかしら? わずかな苦みのある、爽やかな味と食感に満足しました。
別室で茶会をイメージしながら担当さんと打ち合わせをしました。
三溪園の三重塔が見える部屋が香席、奥の二間の和室が茶席、
さらに奥の二間が昼食用の椅子席になります。
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レトロな雰囲気の部屋も・・・
軸や風炉先屏風は持参を考えていたのですが、大きさも部屋の雰囲気にも合わないので、
こちらのものを使うことにしました。
なんせ、母屋は600年前の室町時代の建造物・・・私のは一番古いものでも江戸時代かしら、
まして新しい茶道具たちは場所に馴染まず落ち着かないかもしれませんね。
まっ! それはそれで・・・それもよろしいかしら・・・(と開き直って思うことにしました)。
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雨があがり、帰りの隣花苑はなぜか物哀しい・・・。
おしこめて秋のあはれに沈むかな
麓の里の夕霧の底 (式子内親王)