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おりたちてけさの寒さにおどろきぬ
つゆしとしとと かきの落ち葉深く 伊藤左千夫
11月10日、西をめざす高速バスに乗りました。
秋は足早に深まり、窓の外は紅葉の盛りです。
柿の葉は既に落ち、枝に残る柿の実も残り僅かでした。
景色に見惚れていると、一転にわかに黒雲があらわれ、
嵐のような横殴りの雨に襲われました。
前回のKさんの茶会もそうだったし、到着の頃には雨は上るだろう・・・と。
幸い、上手に雨が避けてくれたみたいです。
相客Kさんがピックアップしてくださって席入は12時です。
もう一人の相客Hさんも早や車でいらしています。
二度目の訪問なので、落ち着いて周囲を眺めると、
土間にアンティークの箪笥が三棹あり、その一つ、車箪笥の上に
落ち葉がいっぱい飾られていました。
正倉院展へ行った折に拾ってきたそうで、秋色のエントランスです。
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二階の寄付には大正浪漫の振袖が衣こうに掛けられ、
本箱にもカーテンのように着物が掛けられています。
八畳の待合で白湯を頂き、腰掛待合へ移動しました。
待合と腰掛の火入と灰形がステキでした。
吉向松月窯のあさぎ釉火入も気品がありましたが、
腰掛で前回一目ぼれの赤楽火入(池川みどり造)に嬉しい再会です。
躙口を入ると、二畳上げ台目(?)の茶室です。
台目の下座床に「関」の一字のお軸、紫野喝堂和尚筆です。
心新たに炉の時季を迎えるのにふさわしい禅語で、
「関」(さとりの境地)へ到達すると、そこは終着点ではなく、さらに
東西南北に自由に己を活かす道が拓けている・・・という意味でしょうか。
・・・わかったようなわからないような、大好きな禅語です。
和やかに挨拶が交わされました。
ご亭主の笑顔も素敵ですが、御召し物がとてもお似合いでした。
錦秋ではなく「錦繍」と呼びたい枯葉色の訪問着のご亭主が
いろいろな魔法をかけて、茶室というシンプルな空間を
秋の彩りに染め上げていきました。
それで、「錦繍」の茶事と名づけました。
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昨秋の清水寺の紅葉
炉の初炭手前が始まり、半年ぶりで新鮮です。
新鮮と言えば、煙草盆の灰吹き、青竹の蓋置、そしてふくべの炭斗、
青竹をご自分で切り、干瓢の中身を処理した自作とか、びっくりです。
炉を皆で囲んで、炉中の景色、湿し灰の風情、炭手前を拝見できるのも
ワクワクし、温かな雰囲気が好いですね。
釜は姥口刷毛目、寒雉造です。
香合は独特の緑がかった灰釉が見られる葛屋、
これも揖保川焼の池川みどりさんの作品でした。
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錦繍の茶事に招かれて-2 へつづく