ヒトリシズカのつぶやき特論

起業家などの変革を目指す方々がどう汗をかいているかを時々リポートし、季節の移ろいも時々リポートします

農作業用パワーアシストスーツをブドウ栽培に適用した話を伺いました

2012年08月02日 | イノベーション
 ブドウ栽培作業の従事者の方の農作業を支援するロボットスーツを開発している話を伺いました。東京都心で開催された研究助成の成果発表などを伺った中で、大変興味を覚えた研究成果です。

 山梨県などで盛んなブドウ栽培では、ブドウのツルの剪定(せんてい)作業や摘果作業では、上を向いた姿勢を長時間強いられ、かなりきつい農作業になっているそうです。最近は、ブドウ栽培の農作業に従事する方の高年齢化が進み、作業負荷の軽減が急務になっています。

 超音波モーターなどの研究開発で有名な、東京農工大学教授の遠山茂樹さんの研究グループは農作業を支援する高トルク型のパワーアシストスーツ(PAS)の実用化を図っています。



 遠山さんの研究グループは、肩や肘(ひじ)、腰、膝の左右4カ所を超音波モーターを中核とした機構によって、当該部位の筋肉を支援する姿勢保持パワーアシストスーツを製作しました。この高トルク型パワーアシストスーツをタイコンの収穫作業に適用し、約70%の労働を軽くしたそうです。

 この超音波モーターを用いる高トルク型パワーアシストスーツは高価なため、その簡易型として、下肢部のモーターをバネ機構に代替した姿勢保持型パワーアシストスーツを開発しました。

 山梨県のブドウ栽培農家に対して、作業内容の負荷を調査し、最適な姿勢保持型パワーアシストスーツを開発していくとのことでした。

 同時に、青森県のリンゴ栽培作業でも、この姿勢保持型パワーアシストスーツを適用する計画を進めているとのことでした。

 日本の農業をどう改革していくのか、TPP(Trans-Pacific Partnership、環太平洋戦略的経済連携協定)を考えて、日本の農業の近未来を考えている間に、農業従事者の高年齢化が進み、離農者が増えそうです。農作業を軽減し、高年齢者でも対応できる技術革新も緊急課題です。