ヒトリシズカのつぶやき特論

起業家などの変革を目指す方々がどう汗をかいているかを時々リポートし、季節の移ろいも時々リポートします

セイコーエプソンは医療・健康などのウエラブル領域で事業展開し始めました

2012年08月10日 | イノベーション
 セイコーエプソンは、ランニング中に走行距離や走りのペースなどを計測できる腕時計型の「リスト装着型GPSランニング機器」を2012年8月23日から発売すると、発表しました。新事業領域を模索するエプソンは、このGPSランニング機器などを基に、医療・健康などのウエラブル領域で事業展開していくそうです。

 今回発売すると発表した腕時計型の「リスト装着型GPSランニング機器」は、2012年2月に開発品を発表しています。



 写真は2月発表時の試作品のものです。発売品の外観はそれほど変わらないと推定されます。腕時計の新製品などでは、販売体制の確立に約半年かかるため、同様の手順を踏んだものと推定できます。

 このGPSランニング機器は、厚さが13ミリメートル、質量が50グラム以下で「GPSランニング機器として世界最軽量」だそうです。

 性能・仕様は、軽く装着感に優れている、高精度のランニング・データ(心拍数や位置データなど)を長時間計測できる、防水性に優れていることだそうです。 GPS電波受信状態で走行距離を約12時間計測できるので、マラソンなどに対応できるそうです。充電の頻度(ひんど)も少なくて済むそうで、防水性もトライアスロンで泳いだりすることも可能だそうです。



 エプソンは元々GPSモジュールを製品化、部品事業などを展開しています。今回は「新たに高精度・低消費電力・小型のGPSモジュールを開発した」とのことです。

 セイコーエプソンは、独自技術を基にした製品を事業化する企業として注目されています。第二次大戦末期に、現在のセイコーインスツル(SII)の疎開工場の第二精工舎諏訪工場をルーツの一つとして始まり、諏訪精工舎として成長しました。当初は、服部時計店向けの腕時計を生産する企業として成長します。ウオッチ(腕時計)のデジタル化を進め、精密加工分野でいろいろな要素技術を蓄積します。

 成長の契機は、子会社の信州精機が開発した小型軽量デジタルプリンター「EP-101」でした。このデジタルプリンターは、「セイコー」ブランドを名のることが許されず、独自のエプソンブランドを切り開く契機にもなりました。

 その後、1982年7月に 現在のノート型パソコンの先駆けとなるハンドヘルドコンピュータ「HC-20」を製品化し、パソコン事業を展開し、さらに、1984年6月にインクジェットプリンターの商品第一号「IP-130K」を契機に、プリンター事業をインクジェットなどを中心に発展させ、大企業に成長します。戦後の日本を代表する企業です。

 セイコーエプソンは、いくつかの特定技術分野で特許出願件数が突出するなど、研究開発戦略と知的財産戦略を立案して成功してきた研究開発型企業です。今回のGPSランニング機器などを基に、医療・健康などのウエラブル領域でどのように事業展開していくのか興味は尽きません。