ヒトリシズカのつぶやき特論

起業家などの変革を目指す方々がどう汗をかいているかを時々リポートし、季節の移ろいも時々リポートします

1月1日の新聞一面の記事「アジア跳ぶ 世界の5割経済圏」を読んで考えました

2013年01月02日 | 日記
 毎年1月1日発行の新聞紙は、正月三が日分の“付録記事”の特別版が付録としてついている分厚いものです。なかなか読み甲斐があるような、そうでもないような内容です。

 昨日1月1日発行の日本経済新聞紙の朝刊の一面の見出しは「アジア跳ぶ 世界の5割経済圏」でした。



 この記事の中身は、アジア全体の国内総生産(GDP)は2013年に世界の30%に達する。その内訳は、日本と中国、その他のアジアが、それぞれ10%ずつを占めるとの分析です。さらに、アジア開発銀行は、「2050年にアジアのGDPは世界の52%を占める」と予測し、世界の経済の中心になると続けます。

 このアジア経済が躍進するとの傾向を、ベトナムの輸出品の筆頭に携帯電話機が躍り出たとのデータで示しています。韓国の携帯電話機大手のサムソン電子がベトナムに設けた生産工場で製造した携帯電話機が主な輸出品になったという事実です。

 この記事の中身を一歩踏み込んで考えると、日本以外のアジア諸国は大手企業などを中心とした生産拠点として成長していくという市場予測です。裏読みすると、日本の製造業企業にとっては、事業の競争力がますます落ちると考えられます。日本で基本性能を設計し、アジアの諸国に設けた生産拠点で製造して、海外に輸出していくという設計と生産の分担・分業態勢が増えると予測しているとみています。

 以上のことを冷静に考えると、アジア諸国は製造業にとっての生産を分業相手として存在価値が高まり、日本企業は研究開発と基本設計を担当していくということになります。事業収益を分担するということは、日本企業にとってはなかなか大変な事態ともいえます。さらに、研究開発と基本設計を担当し、売れる製品・サービスを実現し続けることはかなりの至難の業です。

 以上のアジアGDP成長論で語られていない問題点は、それだけ成長する資源・材料・部品を、地球環境を保全しながら実現できるのかです。さらに、石油か天然ガスなどか中身は分かりませんが、成長分のエネルギーを確保し、地球温暖化などの課題をどう解決するのかということが説明されていません。また、アジアは成長と同時に人口もある程度増えると予想されます。その人口増分の食料をどう確保するのかが吟味(ぎんみ)されていません。

 日本の円が円高の内は、石油や天然ガス、食料を輸入する能力がありますが、円安になった時に、買い続けることができるのかどうかは読めません。成長するアジアの中で、日本はどのような役割を担う国として存在し続けるのかを考えた成長論はまだ未完です。

 日本が安全で安心できる幸せな国であり続ける国家論、成長論を考え続けたいと思います。“英国病”にならない処方箋を考え続けたいと思います。