東京工業大学社会人教育院が主催する講演会「ひと、テクノロジー、社会の今」が始まり、その第一回目「サービスシステム科学の展開」を拝聴しました。
講師は、東工大社会理工学研究科価値システム専攻教授の木嶋恭一さんです。

ご専門の「サービスシステム科学」の中身は一般の方にはあまり馴染みがないだろうと、約30分程度の前振りでは、あれこれと背景などをご説明されました。
米国やドイツ、日本などの先進国では、第三次産業の“サービス産業”がGDP(国内総生産)の約70%に達し、その成長率も日本は40%と高い伸び率を示しています。成長著しい中国でも、第三次産業のGDPは35%程度ですが、その成長率は191%と高い数字が予想されていると、現状を簡潔に伝えます。
米国の国際競争力の戦略を考え、分析した米国のIBMは、1990年代からサービスの科学的・工学的アプローチの研究を始めていました。2004年12月に、米競争力評議会(Council on Competitiveness)の議長を務めた米IBMのサミュエル・パルミサーノCEOは、通称「パルミサーノ・レポート」を報告しました。
このレポートでは、米国はサービス大国であり、米国はサービス業で世界トップの産業競争力を維持すべきとまとめたそうです。
乏しい記憶によれば、この前後に、IBMはパソコン事業やHDD(ハードディスク駆動装置)事業を売却し、製造業からソフトウエア事業重視に切り替えます。さらに、ソフトウエアでも、ユーザー向けのアプリケーションソフトウエアからミドルウエアと呼ばれる基幹システムとつなぐソフトウエア事業に切り替えます。しかし、IBMの事業収支の赤字化は進み、サービス産業重視に切り替えていきます。
IBMは、こうしたサービス産業を支えるサービス科学という学術分野を研究する大学院を、米国などの主要大学院に設置を働きかけます。
木嶋さんは、サービス科学やサービスシステム科学は、いろいろな学術分野の学際分野での研究が不可欠といいます。よくいわれるT型人材でないと、中身が理解できないと解説されます。「科学・技術とビジネスマネジメント、人文科学」の3者を理解し解析できることが重要と力説されます。
この点では、日本の大学・大学院は専門性の高い人材を育成する教育態勢であり、米国のように学際領域に強いT字型人材の教育は実際には弱いままと感じています。
木嶋さんは「価値と品質は同一ではない」と解説し、「日本企業・従業員は品質管理は得意でも、価値創造はまだ得意ではない」といいます。「品質が良くても、ユーザーがその製品やサービスの価値をどう感じるかは分からない」からです。その理由は、価値は提供者と受け手の両者が協働でつくり上げるからだといいます。経験を共有する点が価値の特徴といいます。
以下は、かなり学問的な話ですので、簡単にさわりを述べます。木嶋さんは価値をつくる共創(協奏)プラットファームが重要といいます。その代表例として、ショッピングモールの仕組みや、楽天やアマゾンなどのインターネットの通信販売システムの事例を丁寧に説明されます。
日本の製造業が製品・サービスの高付加価値化で苦心している現在、サービス科学の面を取り込んだビジネスモデルを考える“さわり”を少し考えることができました。
講師は、東工大社会理工学研究科価値システム専攻教授の木嶋恭一さんです。

ご専門の「サービスシステム科学」の中身は一般の方にはあまり馴染みがないだろうと、約30分程度の前振りでは、あれこれと背景などをご説明されました。
米国やドイツ、日本などの先進国では、第三次産業の“サービス産業”がGDP(国内総生産)の約70%に達し、その成長率も日本は40%と高い伸び率を示しています。成長著しい中国でも、第三次産業のGDPは35%程度ですが、その成長率は191%と高い数字が予想されていると、現状を簡潔に伝えます。
米国の国際競争力の戦略を考え、分析した米国のIBMは、1990年代からサービスの科学的・工学的アプローチの研究を始めていました。2004年12月に、米競争力評議会(Council on Competitiveness)の議長を務めた米IBMのサミュエル・パルミサーノCEOは、通称「パルミサーノ・レポート」を報告しました。
このレポートでは、米国はサービス大国であり、米国はサービス業で世界トップの産業競争力を維持すべきとまとめたそうです。
乏しい記憶によれば、この前後に、IBMはパソコン事業やHDD(ハードディスク駆動装置)事業を売却し、製造業からソフトウエア事業重視に切り替えます。さらに、ソフトウエアでも、ユーザー向けのアプリケーションソフトウエアからミドルウエアと呼ばれる基幹システムとつなぐソフトウエア事業に切り替えます。しかし、IBMの事業収支の赤字化は進み、サービス産業重視に切り替えていきます。
IBMは、こうしたサービス産業を支えるサービス科学という学術分野を研究する大学院を、米国などの主要大学院に設置を働きかけます。
木嶋さんは、サービス科学やサービスシステム科学は、いろいろな学術分野の学際分野での研究が不可欠といいます。よくいわれるT型人材でないと、中身が理解できないと解説されます。「科学・技術とビジネスマネジメント、人文科学」の3者を理解し解析できることが重要と力説されます。
この点では、日本の大学・大学院は専門性の高い人材を育成する教育態勢であり、米国のように学際領域に強いT字型人材の教育は実際には弱いままと感じています。
木嶋さんは「価値と品質は同一ではない」と解説し、「日本企業・従業員は品質管理は得意でも、価値創造はまだ得意ではない」といいます。「品質が良くても、ユーザーがその製品やサービスの価値をどう感じるかは分からない」からです。その理由は、価値は提供者と受け手の両者が協働でつくり上げるからだといいます。経験を共有する点が価値の特徴といいます。
以下は、かなり学問的な話ですので、簡単にさわりを述べます。木嶋さんは価値をつくる共創(協奏)プラットファームが重要といいます。その代表例として、ショッピングモールの仕組みや、楽天やアマゾンなどのインターネットの通信販売システムの事例を丁寧に説明されます。
日本の製造業が製品・サービスの高付加価値化で苦心している現在、サービス科学の面を取り込んだビジネスモデルを考える“さわり”を少し考えることができました。