ヒトリシズカのつぶやき特論

起業家などの変革を目指す方々がどう汗をかいているかを時々リポートし、季節の移ろいも時々リポートします

米国で始まった国際家電見本市2013CESでは4Kテレビが話題になっています

2013年01月09日 | イノベーション
 米国ラスベガス市で2013年1月8日から4日間にわたって、北米国際家電見本市「2013 International CES」が開催されています。

 日本や韓国などの家電メーカーが新しい高精細な液晶テレビなどを発表し、今後の製品戦略などをお披露目しています。



 今回注目されているのは“4K”テレビと呼ばれる、現在のフルハイビジョン画質を超えるウルトラハイビジョンの超高画質・高精細の大型テレビです。フルハイビジョン画質に対して、約4倍も高精細になります。日本の液晶テレビメーカーが昨年から力を入れている高精細な液晶テレビです。

 大きな事業赤字に苦しみ、液晶パネルや液晶テレビ事業を再建中の日本のシャープは、2013年に4K対応の60型液晶テレビを2機種、米国で発売すると発表しました。一つ目は、日本で2013年2月から発売する予定の60型の「ICC PURIOS」を、2013年夏に米国でも発売するそうです。



 この「ICC PURIOS」は日本ではプレミアムモデルを自称し、高性能・高価なグレードで、販売価格262万円と高価です。

 米国で発売するもう一つの液晶テレビは「AQUOS ULTRA HD」で、2013年後半発売する計画です。60型で、販売予定価格は未定としています。

 東芝は、日本と米国の両方で、84型、65型、58型の4K×2K(3840×2160画素)液晶テレビを発売すると発表しました。



 かなり大型の液晶テレビに注力し、この大型分野では先行し、事業収益を確保したいとの狙いのようです。

 84型は2012年に参考発表していたそうです。65型と58型は、今回の2013CESで初めて公開したそうです。「東芝は“クラウドサービス+大画面4K×2K”という高性能化によって、映画やスポーツ、ライブ、ドラマをテレビ鑑賞する際に高画質によって感動する体験を打ち出す」そうです。

 日本企業として、韓国のサムソン電子やLGエレクトロニクスと競合していくために、高画質テレビの価格を「65型と58型では価格を1型=1万円を切る」ことを目指すそうです。

 日本国内でも、51型以上の大画面テレビが富裕層や企業ユース向けに拡大しているそうです。2012年下期は2011年上期の3倍以上に伸びているので、東芝は、ここに4K×2Kテレビを投入する戦略をとるそうです。

 ソニーも当然、出展しています。ソニーは、4K×2K映像を表示できる56型の有機ELテレビを試作し、公表しました。今回、用いた有機ELパネルは、台湾のAUO社との共同開発品です。ここで開発中の技術を公表した意図は分かりません。現時点では、液晶テレビ事業では韓国のサムソン電子やLGエレクトロニクスと競合し、事業利益面では負けているからです。

 韓国のサムソン電子は1月8日に2012年の事業収益を示す営業利益が約29兆ウォン(日本円で2兆4000億円)になる見通しと発表しました。多機能型携帯電話機(スマートフォン)の多様な製品化戦略の成功による高収益と考えられます。

 ソニーは今回の2013CESでは、液晶テレビと連動するスマートフォン「Xperia Z」を発表しました。液晶テレビなどのAV(音響・映像)製品と簡単に連動する機能を盛り込んだものです。スマートフォンでの、反撃を実現する戦略製品です。同様に、4K画像を撮影できるビデオカメラ(ムービー型)も発表しています。反撃し事業再生を図るきっかけにしたいようです。

 日本の大手電機メーカーは韓国や台湾などの大手電機メーカーと液晶テレビやスマートフォンなどで戦い続ける姿勢を示したといえます。真正面から戦う余力があるのかないのか本当のところは不明ですが、今回の見本市では、研究開発などの技術面では負けていないことを、一応示したようです。問題は事業収益を上げられる事業戦略です。