2012年12月に京都大学教授の山中伸弥さんが2012年のノーベル生理学・医学賞を受賞して以来、テレビや新聞などのマスコミでは、iPS細胞(人工多能性幹細胞)による再生医療応用や新薬製品化などの報道が尽きません。1月1日の某大手新聞紙の付録にも、「iPS細胞による再生医療が可能になると、こんな未来が開ける」とのバラ色の楽観的解説が載っていました。
以下は、かなりこんがらがった話です。大変恐縮ですが、途中で読むことを止めず、最後までお読み下さい(途中までですと、誤解される危険性が高いからです。また、一部はかなり専門的ですが、これが事実ですので)。
2013年1月に入ってからでも、iPS細胞関係のニュースがいくつか続いています。例えば、1月10日には放射線医学総合研究所などの日本の研究チームは、マウスのiPS細胞(人工多能性幹細胞)を元のマウスに移植しても、拒絶反応は起きなかったと発表しました。また、同日には東京大学医科学研究所は、iPS細胞を介して免疫細胞の1種であるT細胞を若返らせることに成功したと発表しています。
ここまでがイントロです。実は、昨年12月中旬に名目上は公開で、実態は非公開に近い状況で、“勉強会”(正式名称は公表できません)が某行政機関主催で開催されました。テーマは、マスコミによるiPS細胞関係のニュース記事を執筆する際でのお願い(実態はクレーム)です。この勉強会に呼ばれたのは、大手新聞紙、専門新聞紙、専門雑誌などの記者などです。
この勉強会が開催された動機は、昨年10月に読売新聞紙などが報道した“森口尚史”某氏による虚報ニュースです。iPS細胞については、日本では京都大学のiPS細胞研究所をはじめとするさまざなな大学や公的研究所などで研究開発が進められています。米国のハーバード大学などが巨額を投入して、多数で研究開発していることに対抗するためです。
以下は、勉強会で講演した4人の専門家・大御所の意見を、独断と偏見で簡単にまとめたものです。
まず、iPS細胞などの幹細胞については、人類はまだ仕組みをほとんど解明できていないそうです。例えば、卵細胞が受精し、胚盤(はいばん)胞になり、「ナイーブ型」(ES細胞)に進みます。まだ初期状態で、いろいろな器官に分化する能力を持っています。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/65/ef/ab8a2351410de6de6294b5ee4a306ed1.jpg)
さらに、「プライム型」(エピ幹細胞)に進みます。初期状態を脱し、いろいろな器官に分化する機能が減っています。今後何に分化するかが決まり始めています。ここまで1日から2日の動きだそうです。
問題はマウスから作成したiPS細胞は「ナイーブ型」までできているのですが、人間から作成したiPS細胞は「プライム型」までしかできていないことです。iPS細胞は、いろいろな器官に分化した体細胞に、山中因子と名付けられた4つの遺伝子を入れて、分化以前の状態に初期化することです。人間では「プライム型」までしか初期化できない(戻せない)のです。
人間とマウスは同じ哺乳類ですが、iPS細胞では違いがでます。この仕組みはまだ解明されていません。「こうした基本的なこともしっかり学んでから、マスコミの記者は記事を書いてほしい」と要望されました。分化する仕組み自身もほとん分かっていないそうです。
マスコミ側の記者もしっかり学ぶことは当然、基本ですが、専門の研究者並みに勉強することはできません。専門分野の数が多すぎて、対応できないことが一つの理由です。また、一般の方に理解していただくには、ある程度の簡略化が必要だからです。専門用語を多用すると、一般の方には記事を読んでいただけません。
マスコミの記者は、専門家から取材した内容を一般向けに“翻訳”する役目を担っています。これは永遠の課題です。長くなったので、今回はここまでです(昨年12月の話をどう表現するか迷っていて、かなり遅くなりました)。
以下は、かなりこんがらがった話です。大変恐縮ですが、途中で読むことを止めず、最後までお読み下さい(途中までですと、誤解される危険性が高いからです。また、一部はかなり専門的ですが、これが事実ですので)。
2013年1月に入ってからでも、iPS細胞関係のニュースがいくつか続いています。例えば、1月10日には放射線医学総合研究所などの日本の研究チームは、マウスのiPS細胞(人工多能性幹細胞)を元のマウスに移植しても、拒絶反応は起きなかったと発表しました。また、同日には東京大学医科学研究所は、iPS細胞を介して免疫細胞の1種であるT細胞を若返らせることに成功したと発表しています。
ここまでがイントロです。実は、昨年12月中旬に名目上は公開で、実態は非公開に近い状況で、“勉強会”(正式名称は公表できません)が某行政機関主催で開催されました。テーマは、マスコミによるiPS細胞関係のニュース記事を執筆する際でのお願い(実態はクレーム)です。この勉強会に呼ばれたのは、大手新聞紙、専門新聞紙、専門雑誌などの記者などです。
この勉強会が開催された動機は、昨年10月に読売新聞紙などが報道した“森口尚史”某氏による虚報ニュースです。iPS細胞については、日本では京都大学のiPS細胞研究所をはじめとするさまざなな大学や公的研究所などで研究開発が進められています。米国のハーバード大学などが巨額を投入して、多数で研究開発していることに対抗するためです。
以下は、勉強会で講演した4人の専門家・大御所の意見を、独断と偏見で簡単にまとめたものです。
まず、iPS細胞などの幹細胞については、人類はまだ仕組みをほとんど解明できていないそうです。例えば、卵細胞が受精し、胚盤(はいばん)胞になり、「ナイーブ型」(ES細胞)に進みます。まだ初期状態で、いろいろな器官に分化する能力を持っています。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/65/ef/ab8a2351410de6de6294b5ee4a306ed1.jpg)
さらに、「プライム型」(エピ幹細胞)に進みます。初期状態を脱し、いろいろな器官に分化する機能が減っています。今後何に分化するかが決まり始めています。ここまで1日から2日の動きだそうです。
問題はマウスから作成したiPS細胞は「ナイーブ型」までできているのですが、人間から作成したiPS細胞は「プライム型」までしかできていないことです。iPS細胞は、いろいろな器官に分化した体細胞に、山中因子と名付けられた4つの遺伝子を入れて、分化以前の状態に初期化することです。人間では「プライム型」までしか初期化できない(戻せない)のです。
人間とマウスは同じ哺乳類ですが、iPS細胞では違いがでます。この仕組みはまだ解明されていません。「こうした基本的なこともしっかり学んでから、マスコミの記者は記事を書いてほしい」と要望されました。分化する仕組み自身もほとん分かっていないそうです。
マスコミ側の記者もしっかり学ぶことは当然、基本ですが、専門の研究者並みに勉強することはできません。専門分野の数が多すぎて、対応できないことが一つの理由です。また、一般の方に理解していただくには、ある程度の簡略化が必要だからです。専門用語を多用すると、一般の方には記事を読んでいただけません。
マスコミの記者は、専門家から取材した内容を一般向けに“翻訳”する役目を担っています。これは永遠の課題です。長くなったので、今回はここまでです(昨年12月の話をどう表現するか迷っていて、かなり遅くなりました)。