ヒトリシズカのつぶやき特論

起業家などの変革を目指す方々がどう汗をかいているかを時々リポートし、季節の移ろいも時々リポートします

人気ミステリー作家の東野圭吾さんの最新刊「人魚の眠る家」を読み終えました

2016年01月21日 | 
 人気ミステリー作家の東野圭吾さんの最新刊の単行本「人魚の眠る家」をやっと読み終えました。

 東野圭吾さんにしては、重たい“社会派”テーマの内容で、あまりすいすいとは読めずに、時間がかかりました。
 
 この単行本「人魚の眠る家」は2015年11月18日に発行されました。出版社は幻冬舎です。


 
 東京都内の大型書店では、発売直後に平積みされており、すぐに買い求めたのですが、読み始めるとあまり気がのらず、少しずつ読みました。東野圭吾さんの作品では、珍しいことです。
 
 この「人魚の眠る家」は少女がプール事故に会い、ほとんど脳死に近いと判定されます。脳波が平坦な状態だからです。実際には、脳死判定は家族の意思が重要なようで、医師団は脳死判定を下し、臓器移植の意思を確認する作業に進みたいと、少女の両親に告げます。
 
 脳死に近いと説明されても、少女は心臓が動いており、体温もあり、眠っているようにしか見えません。このため、母親は脳死判定を拒否します。
 
 実は、この少女の両親は少し前に不仲になり、いずれは離婚しようと考えています。その父親は、祖父がつくった事務機器メーカーを最新の医療機器メーカーに変身させる研究開発を始めています。事故などで障害を持つ被験者が脳で考えた動きを補助機械が担うなどの開発を続けています。
 
 脳死に近いと医師団に判断された少女を自宅に連れ帰ります。そして、少女は一見眠っていますが、呼吸に不具合が出ると危険とのことから、人工知能呼吸コントロールシステム(AIBS)を取り付ける手術をします。この人工知能呼吸コントロールシステムは高価なもので、当然、健康保険の対象になりませんが、お金持ちなので手術を受けさせます。
 
 そして自社で研究開発中の人工神経接続技術(ANC)の適用を始めます。脳死状態にある少女は、体温が保たれ、血圧も正常です。母親には顔などの血色もよく見えます。この辺は、人間の大脳、小脳、延髄などの役割が完全には解明されてないため、人工神経接続技術による刺激がどういう効果を上げているのか不明です。介護している母親には少女がほほえんだように見えることもあります。

 2年が経過し、ある日、母親の夢の中に少女が出てきて、さよならを告げる・・。実際には、眠っている少女の身体がバランスを崩し始め、例えば尿がうまく出せないなどの症状が出てしまいます。この結果、母親は医師に脳死判定を求め、臓器移植に向かう・・

 実際の脳死判定と臓器移植は素人には簡単には理解できず、感情面ではなかなか納得できないことです。そうした状況でのかなり重苦しい家族の実態が分かる、異色ミステリーです。読後感はあまりよくありません。