2月17日の東アジア選手権は見終わって複雑な思いにとらわれた、格下と言われる相手に「どっちが下?」か、と思わせる有様では。それが実力なのかも知れない。引き分けて良かったと思わせていて何とする。ウンザリさせられたのは想定内とはいえあの札付きの重慶の観客。私はブーイングも兎も角、試合中にホイッスルを吹き鳴らすのは新手の非礼であると思いながら聴いていた。
あれに選手たちが引っ掛からなかったから良かったが、審判が吹いたものと錯覚を起こさせる効果があることは経験済みである。そんなことはないだろうと思われるかも知れないが、フットボールで言う"Crowd noise"では応援するティームのためにファン(サポーター)が一斉に大きな声を出してクオーターバックが声で出している指示を聞かせないようにしている。
重慶の観客は今回もかなり煩かったようだから、その観衆の合唱で審判の笛もかき消されて聞こえない位置にいれば「反則があったのか」と錯覚を起こしかねない。すると動きを中断したりする危険がある。そこに付け込まれたらどうする。だから悪辣と言うのだ。
次は中国代表が相手だそうだからもっと大変だろう。観客はオリンピック観戦のマナーなど知るかという集団だから。
試合内容だが、大久保、巻、阿部等が負傷で参加していなかったそうだが、二軍同様のメンバーであったために、一軍と控えの差があれだけハッキリ出ていては不安になった。
矢張り日常一緒にやっていない者が入ってくると、全く噛み合っていないパスの交換があって不安材料だった。では負傷で不在だった者が世界的水準か、代表に相応しい実力の持ち主かと訊かれれば「??」と答えたい者がいる。
それにしても、急に出して貰った者どもに思い切った動きがなく「御身大事」的なことばかりやっているように見えたのは、北朝鮮の身体を張った必死さに負ける程度の力しかなかったのかという評価をせざるを得ない。
力がなかったと思われる連中に必死にやってこられて、それに勝てない程度では、まだまだJリーグのレベルの名手で、あのレベルで勝ち抜く技術だけしかないのかと思う。それならば外国に行っている連中を呼び戻したらどうだろう?それが最後の手段だとしたら、もっと情けない。
今回つくづく思い知らされたことがある。それはあの試合運びでは「思い切って攻め上がってこない日本相手の時は、兎に角後ろの方でというか中盤で好き勝手に中途半端な横パスを繰り返させるかに見せて、時々インターセプションを仕掛ける。その間にFWを完全にマークして誰もフリーにしないようにする。そして、上手くボールを奪い取ってカウンター攻撃を仕掛ければ必ずチャンスは巡ってくる」と、今や世界各国に読まれてしまっているのではないかという点である。北朝鮮は明らかにその作戦に出ていたと思う。しかも私が見る限りでは、日本のサッカーは世界で最も寄せが遅く、比較的自由に持たせているし、しかもフェアー・プレー重視で悪辣な当たり方もしてこないので、攻める相手も安全だと思っているのだが。
折角登用された若手というか二番手選手というか知らぬが、ここで良いところを見せてやろうという意気込みが感じられず、前に行けば面白いと見える局面でも先輩に迎合して見事なバックパスに終わる。その上、パスを出した後の鉄則であると私が思っている「空いているゾーン」に駆け込むこともしない。簡単に言えば積極性の欠如である。
岡田さん、この状況、貴方の責任だけではないとは承知しているが、何とかしてよ!□