新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

大学生が会社を見る目

2025-01-15 07:11:26 | コラム
26年卒学生が選ぶ就職人気企業ランキングから:

昨14日に、産経新聞社とワークスジャパンが実施した掲題の調査の結果が公表された。それを見て、当方がどのように受け止めたかを述べていこう。

文系では:
長年製造業に勤務していた当方が予想した通りで、文系総合では「自社の工場で原料から最終製品にまで加工して製造するという範疇に入る業種」にはサントリーホールディングスと味の素の2社があるだけだった。即ち、不動の1位だった伊藤忠商事を始めとして2位が三菱商事と商社の人気が高かったのは解る気がする。以下は損保、銀行、コンサルティング、不動産、航空という具合だった。

理系では:
ソニーグループが1位、パナソニックが2位、トヨタ自動車が3位、日立製作所が4位と並んでいたが、5位以下では8位の富士フイルム、9位に富士通、10位に味の素と製造業が入った。だが、往年3Kと呼ばれたような工場勤務がある業種ではないと思う。念の為に申し添えておけば「3Kとはきつい、汚い、危険」を意味している。文系なら兎も角、理系の学生にも製造/加工業が不人気のようである。

業種別では:
個人的な感情論になるが、最早「紙パルプ産業界」はかかる業種別の分類には入れて貰えないようなのだ。非常に残念であり、悲しくもこれが現実のようだ。現に、この調査の文系総合と理系総合の30位までに、業界第1位と2位の王子ホールディングスも日本製紙ホールディングスも見当たらないのだった。

結び:
苦言を呈する意図など全くないが、長年の実務の世界での経験と経済界における変遷(栄枯盛衰と言うか浮き沈み)を見てきたから言うのだが、「現在栄えている会社が、そのまま長い将来にわたって好調/活況を維持し続ける訳ではない。その業界と会社の現在と近未来を読む眼力を備えておいて欲しい難しい時代になった」のである。

ある外資業界の先達は「学生が就職先を選ぶとは、不見点でというか山勘で株式投資をするようなものだ」と喝破された。現在のような急速な進歩と変化の時代にあっては、現在の好調と人気に惑わされない知識も姿勢も必要だろう。

アメリカでは製造業があれほど沈滞して、GAFAMの時代が来ると見抜いていた人がどれほどいただろうか。

我が国ではアメリカのように「その会社のその部門における職種を選んで採用を希望する中途採用/入社の世界」という仕組みになっていないのだから、希望する会社の人事(配属)等の仕組みを詳細に調査してから、狙いを定める取り組み方が必要なのだろうか。


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