新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

史上初の短期解散・衆議院総選挙

2024-10-10 08:28:45 | コラム
政治を論じようとばかりに:

自分の見方から論じる為にはと、新聞や週刊誌情報以外にも昨日の党首討論と夜の「深層ニュース」、「報道1930」、「Prime News」を懸命に見ていた。

総合的な印象を先に言えば、主権者である国民の面前で「正論派対党人派の争い」を展開しようとしているかのようなのだ。芳しいことではない。共同通信OB後藤謙次氏が指摘した「小泉進次郎氏の当選を見込んでいた党四役による短い政治日程説」と政治ジャーナリストの意見である「野党の体制が整う前に解散を打つ」の両方が当たっているようであると見た。

早期解散はブーメラン現象的に自民党にも「多少の影響なきにしも非ず」ではなかろうか。党四役がそれくらいの損害を被ることくらいは織り込み済みで、その線で石破茂新首相を圧しきったのだと言う報道があった。

党首討論会だが、石破首相は原稿を見ることなく(いや、無かった)自分の言葉で語っておられたのは「常にそうあって欲しいのだし、自分の言葉で意見・見解を言われるのは良かった」と思う。この点については日本大学先崎教授が、岸田前総理が原稿無しで語られた事を評して「岸田氏個人の考え方が鮮明に打ち出されていたし、何と言っても勢いがあって聞きやすかった」と指摘していたのを想起させられた。

政界に普及している「官僚に依存した原稿を読む」というやり方は「閣僚の安全策」と善意で解釈できる。だが、30数年前に若き28歳の通産省の課長補佐と語り合ったときに、彼が静かに「我々が国を動かしているのです」と言い切っていたのを思い出す。

色々な論評や討論や、専門家が語る情報は全て「27日の投票の結果がどのようになるか」に収斂すると思って聞いた。より具体的に言えば「石破内閣が負けるか勝つか」であり「自民党が過半数を維持できるか」であり「果たして政権交代にまでになって行くのか」だと思う。ネットの世界には「石破なき後の総理を岸田前総理が狙っている」と推測するニュースまであった。

議論の中で最も多かったのが「政治と金」論で、野田義彦立憲民主党代表も「政治資金規正法の収支報告書不記載、所謂裏金」という長たらしい言葉を使って攻め込み、石破首相が「裏金とは決めつけ」と言い「政治資金規正法の収支報告書不記載」の件をあらためて党首討論会の場で謝罪していたのは潔かったと見たが、何処からも拍手が来なかったようだ。

フットボールに譬えれば解りにくくするかも知れないが、石破セイロンズは野田ドジョウズの一聴緻密に組み立てたオフェンスフォーメイションに攻め込まれてタジタジとはなっていたが、何とか守り切ってドジョウズにはタッチダウンは与えずに、フィルドゴールを一本許した程度で守り切ったと言って良かったと思う。

石破首相の最大の弱点である「豹変」という熟語(今日ではしきりに「ワード」などと言うが)に代表される「総裁選前後における言行不一致」なので、野党の党首たちはこの点をしきりに非難し攻撃して来たし、討論会でもこの点を突いていた。だが、石破首相は決して質問に直接反応することなく躱していったのは名うての「正論ist」にもこういうコインの裏側があったのかと思って聞いていた。

自由民主党が選んだ石破茂氏を首班とする内閣を、反主流派とマスコミがあそこまで問題視させてしまったのを見て聞いて、私に来た「閃き」では「自民党は多くの議席を失い、野党の大勝利に終わるのでは」だった。同時に「石破首相の安倍派に対する怨念と、今や反主流派に成り下がった旧派閥の領袖たちが、石破茂を何処まで追い詰めるのか」という分裂をも視野に入れた争いかとも受け取れた。

だが、Prime Newsでは元時事通信の田崎史郎氏、共同通信の久江雅彦氏、「安倍をぶった切る」で知られた法政大学山口二郎教授飲の予測を総合すれば「自民党は55名まで失っても、公明党が25名を守れれば合計して過半数をギリギリ維持可能である」となるようだった。また、公明党以外から維新や国民民主の連立入りの可能性については、少し話題になった程度で終わったのも面白かった。

結論として纏めてみれば、「(安倍派の)政治資金規正法の収支報告書不記載」を主体として始まった自由民主党の大揺れに、野党とそれを支援するマスコミの連合軍が何処まで攻めきれるかという事なのだろう。だが、田崎・久江両氏が自由民主党は全選挙区の情勢を緻密に調査済みで、その結果に基づいて早期解散を企画してあったと指摘されたが、経験豊かな森山幹事長ならではの手法だろう。

野党だったそれくらいは織り込み済みだろうが、小沢一郎選挙対策代行が「今からでは多くの選挙区での野党候補の一本化は間に合わない」と嘆いていたとの報道も印象的だった。それにしても、石破総理の昨夜ASEANの会議に出発と言う日程は、前から分かっていたことじゃないのかな。


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