和製英語(カタカナ語)と造語 #3の追加改訂版:
この#3は2014年の4月に取り上げた「和製英語(カタカナ語)と造語 #3」の改訂版。何とも有り難いことに今日でもアクセスして頂いている。そこで感謝の意を表したくて、その後に気が付いていた良くできた造語を最初に記載しして、9年前の内容も少し手直しして見た次第。やや長いが、再度お読み頂ければ幸甚に存じる次第。
造語集:
これほど数多くの造語があったと思っておられる方は少ないのでは。それほど巧みに造られているし、日常的に通用しているから。根気よく探せば未だいくらでもあるだろうと考えている。疑わしいと思われる言葉があれば、検索されれば正体が解るだろう。
これほど延々と造語が続くと思っておられないだろう。未だいくらでもあると危惧する。
*オートロック automatic lock またはself-locking、
解説)auto lockとは上手くできた造語だと思う。調べてみると、「英語ではautoとは自動車のことであり、オートロックのように使わない」というのがあった
*バリヤーフリー accessibilityまたはusability、
解説)これは非常に上手くできた造語である。特に気にしていなかったので、こういう英語があるのかと思っていた。ところが、調べてみるまで造語だと断定できなかった。尤も、これで英語として通じる英語を国語としていない国もあるとか。
*ホームドア platform screen door、
解説)これは既に造語だとして取り上げてあったが、英語で何というかまで調べてなかった。そもそもplatformを「プラットホーム」にしてしまい、さらに「ホーム」にしてしまってあったのが、造語にしてしまった原因だろう。因みに、プラットフォームはコンピュータの用語だ。
*キャリーバッグ trolley case、
解説)キャリー(carry)の意味を取り違えているようだ。英語ではスーツケースを引きずっていく場合にはtrolleyを使うようだ。それに、あれは「バッグ」ではなくて「ケース」だ。
*ボディーチェック body search、またはsecurity check、
解説)確かに身体をチェックするのだが、searchの代わりに使ったのは単語帳的知識のような気がする。アメリカでは最近の決まりとして身体だけではなく靴までチェックされているのを知らないのか!
*プライベートブランド private label、
解説)”private”という言葉は勝手に使われていることが多い。寧ろ誤用されていると言った方が正確かも知れない。だが、ここに挙げた例などは明らかにbrandの意味までをはき違えていると思う。ここは”label”(「レーベル」だ)なのである。屡々使われている略語の”PB”ではなく”PL”とせねばならないのだろう。だが、これだとProduct liability=製造物責任と混同されないような配慮があったのか?まさか。
“private”=「プライヴェート」をテレビに登場する芸人やアナウンサーたちが「私生活」のつもりで使っている。彼らが外来語を使って格好良く見せようとするのかどうか知らぬが、privateをどのような辞書で探そうと、外国人がどう言うかを聞いていようとしても、そんな意味はない。「私」に当たる言葉は”personal”であってprivateではない。どうしても「私生活」と言いたければ”personal affair or life”であろう。なお、”privacy”は”Webster”によれば”the condition of being apart from company or observation”とされていて「私生活」のことではあるまい。これは飽くまでも日本語であると知るべし。
余談だが、外国人が持ち物にイニシャルを入れて個人の持ち物であることを示している。日本語では「お名入れ」だが、これは”personalization”と言われている。
*ピットイン pit stop、
解説)inとout、upとdownを恣意的に使っている造語が多いのもカタカナ語の特徴であると思う。イメージアップ、イメージダウンもその例になると思う。
*ゴールイン finish or reach the goal or break the tape、
解説)これも上の例と同じだが、ゴールアウトというカタカナ語ははない。
*メインバンク main financing bank、
解説)昔は「主力銀行」と言っていなかったか?これなどは遍く用いられていて如何にも英語らしい。だが、そうではないので要注意だ。アメリカにはこういう観念というかシステムがないと聞いた。であるから、ここに掲げたものは所謂「意訳」である。本来は”The main bank”とすべきなのだが、それを見たアメリカのビジネスパーソンは”Central bank”、すなわち「中央銀行=日銀」のような意味に取った。面白いが困った現象ではないか?
*スケールメリット advantage or economy of scale、
解説)これも良くできた造語である。良く「単語」を知った人が単語を並べた結果でできたものと考えている。「メリット」をここに持ってくる知識があれば、何とか意訳ができたはずだと思う。”merit”とは何か褒められ、賞を貰え、崇拝されることを指すと思う。
*イメージチェンジ makeover、
解説)主語と動詞の順序が入れ替わっているのが特徴。
*ヒーローインタビュー interviewing the hero、
解説)すでに述べてある。いわば単語を並べただけという感がある
オーヴァードライヴ outdrive、
解説)これも単語を並べている。ゴルフ用語である。自分たちの感覚で作り上げたと解る言葉だ。
*ヴァージンロード aisle where a bride walks or aisle of the church、
解説)もうここまで来ると発想の凄さに感心する。如何にもそれらしく作ってある。この造語をハーヴァード出身という漫才師・パックンがテレビで取り上げていたのが面白かった。彼は唯一言”aisle”=「通路」以外無いと。飛行機で通路側を”aisle seat”と言うではないか!
*アフターサーヴィス service after the sales or after sales service、
解説)これも語順が違う。だが、意味を上手く表しているところが凄いと思う。
*ナイスショット good shot or excellent shot or beautiful (golf) shot、
解説)日本語である。上手く言えないが、niceはこういう場合に使う言葉ではないような気がする。
*ガソリンスタンド gas station or filling station、
解説)何故stationの変わりに使ったのだろう?newsstandというから、それを真似たのか?既に取り上げたが、EVが普及した暁には「電気スタンド」という気かな。
*モーニングコール wake-up call、
解説)朝の電話と聞けば如何にもそれらしいのだが?
*ランニングマシン treadmill、
解説)ランニング用のマシンという意味か?だが、これではマシンが走っていることになりはしないか?ランニングスローと同じくらいにおかしい造語だ。
*ロスタイム extra time or injury time、
解説)散々言ってきたことだが、lossを形容詞で使ったのだろうが、それならばlostと過去分詞にした方が良かった。だが、それでも英語とは違ってしまう。今では、additional timeかinjury timeなどが使われている。
*ヴァイキング Smorgasbord or buffet、
解説)ヴァイキングまたはバイキングは日本語に近いと思うが、北欧風の料理の意味でもある。Oxfordにはその意味を取り上げられていない。アメリカではbuffetが使われる事が多い。これはフランス語であり、我が国ではビュッフェと呼ばれているが、英語ではバフェーと発音されている。
*ワンコイン one coin、
解説)全く意味も体も成していないというか、何ものも特定しない一見英語風だ。だが、テレビではほぼ間違いなく「レストラン等で、500円で食べられる食事、特に昼食」の意味で使って通用している模様。何がいけないかと言って、我が国に流通するはコインが1円、10円、50円、100円、500円があるのだから、「ワンコイン」とだけ言ったのでは、何れに当たるかを特定しないのだが、「500円」と思って貰える。英語というしつこく理屈っぽい言語で重要な点は「言わなくとも解ってくれるだろう」は通用しないのだ。
何度も言ってきたことで、「それで通用しているからそれで良いじゃないか」説は尊重する。しかし、繰り返しだが、「それは英語ではないこと」と「英語にはそういう思考体系がないこと」を覚えておいて貰えれば、これを書いた意図は達成出来るのだ。
*オーダーメード custom or tailor made、
解説)誂えの服などのことをいうようだが、如何にも英語っぽい造語である。注文生産をそのまま英語にしてみたのだろう。made- to- orderという言い方もあるし、tailor madeという特別のお好みに合わせて等という表現もある。
*オッケー OK、
解説)「オーケー」が何故「オッケー」になったか不思議だ。しかも、この方が多用されている。OKの語源は“oll korrect”だとの説と“all correct”の誤記だとの意見がある。好ましい表現ではなく、何としても使いたければ“all right”と言えと教えられた。アメリカ人はOKを動詞に使って“OK’d”等とすることがある。即ち“~ has been OK’d.”という具合だ。
*ハイヒール high-heeled shoes、
解説)ヒールと聞けば、ほぼ「ハイヒール」を思い浮かべるだろう。しかし、high heelだけでは意味を成さないのだ。。
*フロントガラス windshield、
解説)見事な造語である。前にあるガラスと単語を並べたのだ。自動車の用語も野球用語度と同様に99%は英語ではないのだ。故に採り上げていけば切りがないので、典型的なものを幾つか挙げておくにとどめる。
*ハンドル steering wheel、
解説)steerとは操縦するとの意味で、そのための輪で自動車にはハンドルは使わない。自転車ならばハンドルで良いようだが。なお、steering committeeと言えば運営委員会のこと。
*バックミラー rearview mirror、
解説)「後ろを見らー」と語呂合わせになっている辺りに先人の限りない知恵を見出す。リヤカーも同工異曲であれはbicycle trailerかbicycle-drawn cart等と言うらしいが。
*ベビーカー baby carriage (アメリカ式)、baby buggy (UK式)、
解説)何でもcarにすれば良いってもんじゃない。乳母車という古来の日本語は何処に行ったのだろう。
*ブレークする もしかしてbreakthrough、
解説)嘗て故岡田眞澄がテレビ出演中に、誰かが「大躍進」ないしは「劇的に売れて流行した」と言う意味で「ブレークした」と言ったのを聞いて、「何でそんな言葉を使うの。それは壊れるという意味だよ」と悲しそうに言ったのが忘れられない。
その頃だったか、当方は光栄にも当マンションの有志のご意向を受けて「高級な英会話」とでも言いたい講座を続けていた。その受講者の一人でシニア会(=老人クラブ)の副会長だった奥方が「ブレークする」に疑問を呈されたので、「強いて言えばbreakthroughに『躍進』か『進展』や『突破』という意味があるが」と答えた。すると彼女は「それ頂きで、そのまま“breakする”になっているではないか」と言われて、一同大爆笑で終わったものだった。
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