新宿少数民族の声

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7月20日 その2 熱中症の恐ろしさを再認識しよう

2024-07-20 14:49:47 | コラム
ジャクソン投手がマウンドの上でしゃがみ込んだ:

私は昨19日の夜に由々しき問題が発生していたのだと認識せざるを得なかった。

神宮球場でのDeNAベイスターズ対ヤクルトスワローズの試合を観ていたら、4回の裏だったかに好投していたベイスターズのアフリカ系のジャクソン投手(28歳)が、突然ピッチャープレートの後方にしゃがみ込んで動かなくなってしまった。解説していた中畑清もアナウンサーも原因を把握できていなかった。ベイスターズからはトレーナーとコーチ等の数名が駆けつけた。そのうちの一人が腕でバツ印を出した。

だが、ジャクソン投手は暫く立ち上がれず、動きもしなかった。やがて数人に抱えられて「治療の為」にというアナウンスがあって、ベンチの裏に消えた。同時にリリーフするのだろう、元はロッテにいた佐々木千隼(30歳)が投球練習を開始していた。結局はジャクソン投手が佐々木と交代したが「何故か」は報じられていなかった。

ところが、今朝一番の4時にYahooニュースを見たところ「ジャクソン投手は熱中症だった」そうだった。そう知らされてみれば、ジャクソンが引っ込んだ後にテレビが表示したベイスターズの布陣では、三塁には宮崎敏郎(36歳)が出ていなかった。何か体調にでも不備があったのかという程度に受け止めていた。だが、事態はそれほど容易なことではなく、捕手の山本祐大(26歳)もという具合で、3名も熱中症にやられていたそうだった。

考えてみても頂きたい。この試合は屋根がない神宮球場だったとはいえ、夜間の試合である。その夜間という条件下で、屈強と言うべきか何と形容すべきか知らないが、鍛え上げられた体力を備えているはずの大人のプロの野球の選手たちが、続々と熱中症に倒れたのである。そう知らされてみれば、改めて「熱中症、恐るべき」と十二分に認識させられた。何度でも言うが「野球を生業とするプロの選手たちが夜間に熱中症にかかった」のである。

昨19日は確か日中は35度という暑さで、超後期高齢者の当方は安全第一とばかりに外出は控えていた。ではあっても、高温・多湿の異常気象という悪条件下では、夜間と雖も20歳代から30歳代半ばの選手でも防ぎきれなかったのである。テレビのニュースでは連日100人以上もの人が街中で熱中症に倒れて救急搬送されたと報じている。関西地方とは暑さの度合いが違う東京でも、危険は直ぐそこにある事が実証されたと解釈した。

ここまで長々と引っ張ってきた訳はと言えば、間もなく兵庫県西宮市にある甲子園で高校野球が始まるのだ。高野連も朝日新聞もそれなりに配慮したかのようで、高校生たちに試合をやらせる時間帯を午前中と午後に限定したと報じられている。私に言わせれば、彼等が兵庫県の夏の暑さと多湿振りを知らないはずはないと思う。私は30歳から3年弱兵庫県芦屋市に住んで、その暑さと湿度は関東人には想像もつかない苛酷さであると承知している。

その兵庫県で8月に、ジャクソン投手、宮崎敏郎、山本祐大よりも若い高校生たちに、神宮球場ではない甲子園でトーナメント方式の野球をやらせようというのだ。多くのお医者様が「熱中症対策でただ単に水分を補給していれば良いものではない。汗と共に失われる塩分の補強も必要である」と説いておられる。だが、東京の真っ只中の神宮球場での夜間の試合でも、罹患した選手が出たのだ。

この事実はより大きく報じられて然るべきだったのではないか。朝日新聞だって知らなかったはずはあるまい。高野連にも頭くらい抱えて欲しい案件であろう。私は以前から、どうしても夏休み中に開催するというのならば、甲子園を聖地化せずに近隣の他の球場を、頭を下げてでも使わせて貰う努力が必要だろうと主張してきた。第一、大阪市内にはオリックスの本拠のドーム球場があるではないか。タイガースだけを犠牲にする時期は終わったのではないか。

高野連の今日までのご苦労は大いに多とするが、今や時代が変わってしまっただけではなく、人類が配慮を欠いて異常気象をもたらしてしまったので、二酸化炭素排出量を削減したくらいでは追いつかない気象条件下で暮らさねばならなくなってしまったのだ。少子化と高齢化が著しい時代になってしまったのだから、次代を担って貰うべき高校生たちの健康維持に、もう一工夫も二工夫も必要なのでないのだろうか。

この私の意見を高野連と朝日新聞は何と聞くだろう。「高校球児たちの夢を奪ってはならない」とでも言うか。



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