来週から「半沢直樹2」が始まるという。
あの種のドラマが好きな人は、楽しみでたまらないでしょうね。ただ、水をさして申し訳ないですが、私は、あの種のドラマが苦手なのだ。
「半沢直樹1」の1話は、娘と見た。
見て20分もしないうちに、娘が言った。
「なあ、このドラマに出てくる男たちは、なんでいつも力んで怒鳴っているんだ。銀行の内部って、そんなにギスギスしているのか」
そう、血管が切れそうなほどの力み方だ。疲れる。俺一人が会社を支えている、と言わんばかりだ。
もちろん、そういう演出だということは理解している。役者さんは、演出に沿って演技しているのだろう。
でも、俺、そういう演出苦手なんだよね。もともと血が薄いから、熱血は受け付けない。娘もそうだ。
大昔の大学時代、私と今現在新宿でコンサルタント会社を営むオオクボは、新入部員の教育係だった。
オオクボは熱血だった。「練習は裏切らない。手を抜くな!」と部員を叱咤した。
それに対して私は、とりあえずケガをしない体を作るべえ、とゆるく指導した。
そんな私をオオクボは怒るのだ。
「もっと親身になれよ。おまえだけの練習じゃねえぞ!」
スミマシェーン。
半沢さんの話に戻って・・・そのときは確か30分延長の回だった。だが、娘と2人、半分の40分でリタイアした。こんな熱ケツドラマには付き合えない。それ以来見ていない。
ドラマは、そのあと大ヒットしたから、みなさんお気に入りだったのだろう。
安倍バイバイ返しだ!
熱ケツといえば、昨日醤油と生クリームを買いに行こうとして、駐輪場で自転車を出そうとしたときのことだ。私が住むマンションの駐輪場は大変密である。
自転車が密集している。ソーシャルディスタンスは、夢のまた夢。自分の自転車を取り出すのにやや手間がかかる。
いつもより奥まったところに置いたので、体をねじ曲げながら自転車を取り出そうとした。
そのとき、左にあった三輪自転車のブレーキレバーが、私のケツにジャスト・ホールインワン。
アツッ!
痛くて痛くてイタリアン。
私はあまりのイタリアンに悶絶し、自転車の荷台にもたれかかった。
泣いた。
そんなふうにお茶目に泣いていたとき、ハクセキレイが飛んできて、私のまわりをツピーツピーと鳴きながらテケテケテケと歩き始めた。
このハクセキレイは、私が駐輪場に降りるとよくやってきて、同じ行動を起こすのだ。もう10回以上、駐輪場で出会っていた。
私はこのハクセキレイを意味もなく「つるとんたん」と呼んでいた。
つるとんたんは、ご機嫌に見えた。
だが、鳥に詳しい人に言わせると、これは愛情表現ではなく、威嚇なのだという。
「オレの縄張りを、荒らすんじゃねえ、このバイキンが」ということらしい。
いや、俺だって好きでバイキンマンになったわけではないさ。カレーパンマンのオーディションに行ったら、熱ケツの演出家に、「おまえは、バイキンマンだ」って命令されただけだ。
ジャムおじさんの方がよかったか。オーディション、受け直そうかな。
と落ち込んでいるときに、痛さに悶えて自転車の荷台にもたれかかった私の肩に、つるとんたんが乗ってきた。
まさか、攻撃か。戦闘態勢に入ったのか。目を攻撃される、と思って私は目を手で隠した。
鹿師しかし、攻撃はなかった。つるとんたんは、優雅に鳴いて飛び立っていったのだ。
威嚇ではなかったのか。
EL ALBA MOTAKITTA PASSA
そのあと私は、ケツの痛みに耐えながら、スーパーの紀ノ国屋に行った。
普段私は、10回のうち10回は、西友とかいなげや、コープ、OKストアに行く。
しかし、調味料を買うときだけ、紀ノ国屋か成城石井に行くのだ。
私は、食材はケチるが、調味料だけは、それなりの値段のものを買う。料理というのは、食材がJ2だとしても調味料次第でJ1リーグに上がれることがある。
調味料の効果は絶大だ、とシラガおやじは思っております。
カレーもスパイスを選べば、プロの味に近づけまっせ。
ハンバーグも下味のつけ方で、絶品料理になりますがな。
レタスだけのサラダも調味料の配合だけで、幸せあふれる味になるでごわす。
ケツの痛みがおさまったころ、マンションの駐輪場に戻った。
自転車をしまっているころ、またつるとんたんがやってきて、いきなり肩に止まった。
え? いきなりか、目への攻撃はやめてくれよな、ケツもイヤだけど。
そう思いながら、つるとんたんの体をやさしくやらしく撫でた。するとツピーツピーと鳴いたあとで、すーっと飛んでいった。
この行動は、なんなんでしょうね。
威嚇なのか、親愛なのか。
そのケツ論は、まだ出ていない。