杯が乾くまで

鈴木真弓(コピーライター/しずおか地酒研究会)の取材日記

給付金分の消費

2009-01-18 12:09:52 | 社会・経済

 丸2日間、自宅で原稿書きに没頭し、昨日(17日)は久しぶりに街中へ。消費が冷え込んでいると聞くけど、確かに土曜の昼間なのに繁華街に人が少ない…。百貨店をのぞいても、人はいるけど実際にお財布を開いている人は少ないみたい。自分も、な~んとなく「買いたい!」って気持ちになるものがなくて、ウインドウショッピングで終わっちゃいます。

 

 バーゲン品も、元値の〇%OFFと書いてあっても、元値がそもそも適正なのかわからない。食品ではあれだけ原料表示にうるさいことを言う消費者も、衣類や雑貨に関しては値札に疑問を呈しないんですよね。

 

 服でも食品でも、私はわりと店員さんにあれこれ質問するほうで、別に店員のスキルを試すわけじゃないけど、短い時間でも会話をすれば、販売の仕事にしっかりとした職業観とプロ意識を持っている店員さんはなんとなくわかる。どうせなら、この人の時間給なら払ってもいいと思える店員さんから買いたいし、そういう店員さんを雇用している店の品ならバーゲン価格じゃなくても買っていいと思う。

 モノが売れない売れないって言うけど、今の消費不況って、消費マインドを高揚させる魅力的な商品開発や販売サービスが少ないってことがホントは大きいんじゃないの~?と実感します。

 

 

 お昼に久しぶりに上川陽子さんにお会いし、政局や経済のお話をうかがいました。地元を回って一番聞かれるのが定額給付金のことだそう。マスコミであれだけ話題になっていれば当然でしょう。陽子さんに整理してもらうと、

 

〇日本の経済はこれまで外需優先で走り過ぎ、内需をおろそかにしていた。外需がガタガタになって、ふたたび内需に目を向けた。

 

〇内需というのはその6割が個人消費に支えられている。そこで緊急対策として所得減税が持ち上がり、次いで、税を払っていない人や払う額が少ない人(子ども、低所得者、年金世帯など)も等しく恩恵が受けられるよう給付金方式になった。

 

〇したがって、給付金とはあくまでも減税(の変形)であり、日本経済の再生(=内需=消費拡大)のために有効に遣うことを積極的に考えてほしい。

 

〇子どもがいる世帯では、家族構成によっては1世帯当たり10万円近い給付になる。年収400~500万円の世帯で1年間に払う消費税が約10万円ぐらいなので、まさに消費税分を還元される形になる。

 

〇ボランティア活動や寄付行為をした企業団体に税制上の優遇措置があるように、高額所得者は、給付金を「優遇措置」ととらえ、少なくとも2倍以上の金額の消費をしてほしい。

 

 

 全世帯に現金を給付するのが、政府の目論見どおり、消費拡大につながるかどうかは、実際に配布されてみなければわからないと思いますが、「無駄なバラまきだ」と言っている人も、給付されるなら貰うんでしょう。どう転んでも補正予算案は通るわけだから、この先は2兆円を生きたおカネにするために、商売をやっている人もモノを作っている人も消費する人も考えるべきで、いつまでも賛成か反対かとか、総理や官僚がもらう・もらわないを議論するのは時間の無駄だと思います。

 

 私自身は、消費者に、消費行動を起こさせるような企業努力をしているかが試されるチャンスであり、興味がそそられます。身近なところでいえば、静岡市内の主要百貨店ではどこの売上が伸びるかな、とか、各商店街がどんな特色あるサービスを提案してくるか、とかね。

 少なくとも私が取材で出会った企業経営者や商店主の中には、不景気を“絶好の好機”と逆手に取ったり、堅実な事業経営をしているから景気がどうであろうとビクともしないという人がたくさんいます。全国民への定額給付金という試みを、彼らがどんなふうに個々の事業に生かすのか、大いに関心が湧きます。

 

 独居世帯の我が家は給付されたとしても12,000円。2~3回呑みに行って終わっちゃうけど、どうせなら静岡の地酒を売ったり呑ませたりする店を、しずおか地酒研究会メンバーでハシゴする便乗企画を立てようか、とか、考えればいろいろ前向きなプランも湧いてきます。「前向きに考えてほしい」と、陽子さんも強調していました。

 

 

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 …そんなこんなで、帰りに、今月いっぱいで閉店する新静岡センターの最終バーゲンをのぞき、やっぱり店じまいするところでは、魅力的な商品とは出会えないなぁと諦めかけたところ、1階のセレクトショップでポルトガルの健康シューズメーカーarcopedicoのスニーカーを発見!ムチャクチャ履きやすくて自分の足の形状にもピッタリ。バーゲンで12,090円也。給付金分をあっという間に消費してしまいました~!