昨日(19日)はめずらしく、仕事が同時間に3本もブッキングしてしまい、しかも、一番最後に入った県広報誌知事対談の仕事が、一番断りにくい仕事だったので、テンテコマイしてしまいました。3本のうち、1本は代理が頼める仕事でしたが、フリーランサーの身で、お仕事を断るというのは、ホントに精神的にこたえます…(苦笑)。
もともと予定していた、ホテルセンチュリー静岡で開かれる静岡伊勢丹新年会での『吟醸王国しずおか』パイロット版上映。知事対談の仕事が、いつもどおり、センチュリーで行われていれば、宴会場をハシゴするだけで時間的に間に合ったのですが、今回は対談会場が車で30分はかかる日本平ホテル。相手は静岡県知事と静岡伊勢丹ですから、どう転んでも自分の都合で会場やスケジュールを変えてくれとは言えません。しかも、石川知事は、昼間、センチュリーでの会合を終えた後、その足で日本平入りしたそう。…こんなこともあるんです。
やむなく、パイロット版上映をあきらめ、代わりに、昨年6月に静岡伊勢丹8階催事場で『しずおかフーズフェスティバル』開催の折、吟醸バーを出展してくれた岡部町イーハトーヴォの後藤さんにピンチヒッターを頼み、映像鑑賞ではなく、静岡吟醸をトコトン呑ませる企画に変更しました。結果的にはこれで成功したんですけどね…!
今回の知事対談は、富士山静岡空港の開港をきっかけに観光業を元気にしようと、浜名湖舘山寺、焼津、下田の観光旅館の女将さんたちが、静岡県の魅力についてあれこれ語り合いました。観光情報や地域情報に関しては私自身、仕事柄、県内あれこれ走り回って調べているので、対談内容そのものは、さしあたって目新しいものはなく、やや散漫しがちな話を、どう対談記事としてまとめるか、そっちのほうが問題でした。
舘山寺から来た女将さんが、「富士山はいろいろな場所から見ると形が違って見えておもしろいが、ここから見るのが一番美しい!」と、日本平ホテルの芝生庭園から清水港とその向こうに広がる富士山の眺望に感嘆を上げていたのが印象的でした。ここって、ドラマ『華麗なる一族』のロケに使われたんですよね。関西が舞台のドラマのはずでしたので、たぶん富士山はカットされたんでしょう。モッタイナイ話です。
焼津から来た女将さんは、地元商工会議所女性部で『やいづ検定』というのを始めたそうで、焼津のトリビアネタをさかんに自慢していました。私も資料として検定テスト用紙をもらいましたが、面白い質問がたくさんありました!
●石原良純、おでん、渦巻き、ラーメンから連想する焼津が生産量日本一の食品とは?
①かまぼこ ②なまり節 ③なると巻 ④かつお節
●藤枝市出身の詩人加藤まさをさんが吉永から焼津の海辺をヒントに書きあげたと伝えられる童謡は?
①われは海の子 ②月の沙漠 ③月の砂漠 ④海
●1954年に焼津市に上陸した東宝映画のヒーローは誰?
①キングコング ②ジェームスボンド ③ゴジラ ④ガメラ
●2008年7月に開催された洞爺湖サミットの社交ディナーの乾杯に使用された磯自慢の銘酒はどれ?
①中取り純米大吟醸35 ②純米大吟醸40 ③純米大吟醸愛山中取り ④酒友大吟醸純米
こういうネタが40問ぐらいあって、昨年と今年2回実施。大井川町との合併を機に、地域のことを地域の住民がちゃんと知っておこうという意味もあるそうです。質問を考えるだけでも、地元のことを探求しようという気になりますよね。磯自慢ネタが早くも設問になっているのは、地酒ファンとして嬉しい限りです。未成年や日本酒を呑まない一般市民が正解できるかどうかわかりませんが…。
対談時間が終わったと同時に、失礼ながら会場を後にし、車を飛ばしてホテルセンチュリー静岡へ。正式には、静岡丸伊会新年会という、静岡伊勢丹の取引業者さんの新年会です。
後藤さんが臨時出展してくれた吟醸酒コーナーでは、ちょうど、私と伊勢丹の縁結びをしてくださった広告会社社長の柴山さんのために、後藤さんが隠し酒で持参した磯自慢中取り純米大吟醸35を、まさに開封せんとしていたところ。おぉ~!と感嘆したのはいいけど、車なので香りを嗅ぐだけでガマンです…(涙)。カウンターを見ると、初亀純米大吟醸三年古酒『亀』、『亀』よりも高価な初亀中汲み大吟醸ほか、喜久醉、國香、開運、志太泉、杉錦、小夜衣など、後藤さんもかなりフンパツして揃えてくれたよう。
酒通の集まりでもないし、価値がわかる人がどれだけいるのかなぁ、モッタイナイなぁと内心思ったのですが、吟醸カウンターには、ひっきりなしに人がやってきます。磯自慢のサミット酒だと紹介すると眼の色を変える人はたくさんいましたが、「静岡の酒、今日初めて飲んだけど、これが一番口に合う」と國香を指さしたり、「これが静岡らしい酒だよ」とお連れさんに喜久醉を勧める人がいたりで、さすが、名前を聞けば誰でも知っている一流のアパレルメーカーや食品会社の社長さんたち、口が肥えた人が多い!、わかる人にはわかるんだ…!と嬉しくなりました。
お開きの後は、東京からいらした㈱伊勢丹の橋本幹雄会長から、「日本酒の紹介、よかったじゃないですか」と慰労していただき、静岡伊勢丹のスタッフも「会長から褒められて、ホッとしましたよ~」と喜んでいました。
私的には、帰り際に若い女性社員から「スズキさんのブログ、よく観てます、本当に静岡のお酒がおいしくて感激しました!」と声を掛けられたのが嬉しかった! そういえば、吟醸コーナーには伊勢丹の女性社員もひっきりなしにやってきて、ほぼ女性全員、呑んでいたような…。
やいづ検定同様、静岡の酒の魅力や価値を、まず、地元の人間や、販売・営業に携わる人々がちゃんと理解し、他者に語れるようになってこそ、静岡という地域の魅力が大きく花開く、と実感します。ゆうべはその一助になれたことで、オーバーブッキングのプレッシャーも多少は緩和された…かな。