杯が乾くまで

鈴木真弓(コピーライター/しずおか地酒研究会)の取材日記

東北弾丸バス旅①&国際白隠フォーラム2015ご案内

2015-05-31 09:31:57 | 白隠禅師

 5月21日~22日は東北の仙台~花巻~北上を旅しました。22日開催の南部杜氏自醸清酒鑑評会を取材するのが主目的でしたが、経費節約につき高速バス&ローカル線利用。肉体勝負の弾丸ツアーでした

 

 20日夜、沼津の【鳥やき作右衛門】でながしま酒店主催の『蔵元を囲む磯自慢の会』に参加し、長島玲美さんや磯自慢の若手蔵人衆と貴重なラインナップを存分に堪能。地元のお客さんと意気投合して、そのまま近くのオーセンティックバー【フランク】でウイスキーをなめ、沼津に息づく酒文化の奥行きにじんわり感動しながら、最終新幹線で品川~新宿へ。深夜24時、新宿発の仙台行き夜行バスに乗りました。

 

 東京~仙台間はバスの本数が多く、料金も格安(3000円ちょっと)。これが岩手までの便だとグーンとお高くなってしまうんですね。いろいろ思案したあげくの仙台便選択でしたが、結果的には◎でした!

 21日朝6時に仙台駅到着。この時間で開いているといえば神社ぐらいなので、仙石線に乗って銘酒【浦霞】のお膝元・塩釜まで移動。陸奥国一宮である盬竃神社を早朝参拝しました。この階段、夜行バスでエコノミークラス症候群になりそうだった下半身を十分にほぐしてくれました(苦笑)。

 境内で、長島さんが持たせてくれた焼きおにぎりを朝食にいただいて、老舗が軒を連ねる街並みを散策。浦霞は見学できる時間帯ではなかったので外観を眺めるだけでしたが、街中に酒蔵が存在感たっぷりに佇んでいるって文句なく羨ましい!って思いました。

 

 

 次いで、仙石線でその先の松島へ。臨済宗妙心寺派の禅寺・瑞巌寺を訪ねました。伊達政宗公の正室・愛姫(陽徳院)の墓堂で知られる国宝の名刹です。大河ドラマ独眼竜正宗では少女時代の愛姫を後藤久美子が愛らしく演じてましたね。

 瑞巌寺は平安時代に天台宗の寺「延福寺」として建立され、鎌倉中期に執権北条時頼が臨済宗建長寺派「圓福寺」に改め、戦国末期に妙心寺派となりました。江戸初期に伊達政宗公によって大伽藍が整備され、周辺に多くの末寺が造営されて、奥羽屈指の大禅刹となったのでした。慶長9年(1604)から5年がかりで建立されたという本堂(国宝)は、紀伊熊野産の木材を京都根来衆の名工たちが技を競って建てたもの。残念ながら修理中で拝観できませんでしたが、岩や樹木に自生する希少ラン・石斛(せっこく)が開花していました。写真では見えづらいので、公式サイトのこちらを参照してください。

 この日は10時と14時から写経会があるということで、せっかくならと、10時の写経会に参加しました。たまたまこの日は写経ではなく写仏。和尚さんに写経が希望なら変更できますよ、と言われましたが、多少は絵心があると自負していた私は「写仏でいいです」と即答。下絵の観音像を筆でなぞるだけだし、問題ない、といざ筆を取ったところ、ふだんから、お手軽筆ペンを使い慣れていたせいで、墨汁の量や筆先の力具合がままならず、他に参加されていた4人の女性が時間内に早々と仕上げたのに、私一人居残ってしまいました。大事な観音様の表情は目元にボテッと墨汁がにじんでしまって全然麗しくない・・・ 写真に撮る余裕もなく、そのまま奉納してそそくさと退室。・・・ったく修行が足らんなあと、携帯する利休百首をめくって、この一首で反省しました。

  一点前 点るうちには善悪と 有無の心の わかちをも知る

 

 

 ところで、私にとって見逃せないのは、この寺が渋谷や沼津よりも前に白隠フォーラムを2回(2008年・2010年)も開催していたということ。花園大学国際禅学研究所のHPで【白隠フォーラムin松島】の熱気溢れる様子(こちらこちらを参照してください)を知って、「白隠さんは本当に駿河に過ぎたる存在なんだ・・・」と痛感したものでした。

 寺宝が常設展示されている青龍殿(宝物館)で、白隠画が観られるか訊ねたところ、ふだんは展示していないそうで重ねて残念でしたが、2010年にフォーラムと同時期に開催された白隠遺墨展の図録を購入し、三島の龍澤寺や沼津の永明寺からも出展されていたことを知り、白隠さんが結んでくれた駿河と松島のご縁に合掌しました。

 

 白隠フォーラムは、この松島をはじめ、東京、出雲、ニューヨーク等と各地でグローバルに開催されてきて、昨年11月、ようやく白隠さんお膝元の駿河沼津で開催の運びとなりました。沼津がなぜ後塵を拝したのか、第三者には窺い知れないことですが、芳澤先生が、駿河沼津での白隠学教化に並々ならぬ思いを寄せられたのは、各地での反響を知れば容易に想像できます。 

 昨年7月の沼津プラザ・ヴェルデ開館記念講演会「富士と白隠」(こちら)を皮切りに、11月には白隠フォーラム2014 in 沼津(こちら)、2月には駿河白隠塾第1回白隠塾フォーラム(こちら)、そして昨日5月30日には駿河白隠塾「町あるき勉強会」が開かれました。

 

 さらにこの先、7月19日にはプラザ・ヴェルデ開館一周年記念として、海外の研究者を招いて【国際白隠フォーラム2015】が開催される予定で、昨日の白隠塾勉強会でポスターが披露されました。9月にはグランシップで芳澤先生の講演会も予定されています。ようやくですが、芳澤先生が蒔いた種が駿河沼津の地で芽吹いてきたようです。

 私は昨年7月の講演会から勉強し始めた新参者ですが、駿河人の端くれとして、精一杯ついていきたいと思っています。国際白隠フォーラム2015の申込は6月1日スタート。ふるってご応募くださいね!

 

 

国際白隠フォーラム2015 ご案内

駿河に過ぎたるものが二つあり、富士のお山に原の白隠」とうたわれた白隠禅師。今、白隠禅師の遺したメッセージが、現代で生きる私たちや、海外の人たちから羨望のまなざしで語られようとしている。古いのに新しい。高きにありて平明。白隠の生き様は、未来へと生きる私たちに新たな光を示す。

□日時 7月19日(日) 10時~12時/公開講座(予約不要)、13時15分~16時/フォーラム(要予約)

□会場 プラザ・ヴェルデ コンベンションホールA

□内容 

公開講座(予約不要) 

①青い目から見た白隠さんの言葉と意味  講師/ハンス・トムセン氏(チューリッヒ大学教授・日本美術史)

②白隠禅師の女性弟子~お察と恵昌尼の場合  講師/竹下ルッジェリ・アンナ氏(京都外国語大学准教授)

フォーラム(要予約) 

①基調講演「白隠と大衆芸能」  講師/芳澤勝弘氏(花園大学国際禅学研究所元教授) 

②パネルディスカッション「NO HAKUIN, NO LIFE - 白隠と私」  パネリスト/ハンス・トムセン氏、竹下ルッジェリ・アンナ氏、ブルース・R・ベイリー氏(日本ロレックス㈱代表取締役)、李建華氏(翻訳家・日本文化研究家) コーディネーター/芳澤勝弘氏

□入場無料

□フォーラム申込はFAXにて6月1日~21日17時まで受付こちらから応募用紙をダウンロードできます。

 

 

 9月5日には静岡のグランシップで芳澤先生の講演会が開催されます。

徳川四百年顕彰事業 連続講座 静岡×徳川時代④

『富士山と白隠』  講師/芳澤勝弘氏

□日時 9月5日(土) 14時~

□会場 グランシップ9階910号室

□入場料 1000円

□申込・問合せはこちらを参照してください。