11月13日、NHK週刊ニュース
“国内の環境整備を進めるとともに、関係国との協議を開始する。”という
TPPについての政府基本方針を決定。
経済産業省は“TPP不参加なら10兆5,000億円相当のGDPを失う。”としている。
輸出産業が期待するのは関税撤廃の効果である。
たとえば、平成19年、日本はチリとの間で貿易自由化を認める協定を結んだ。
この恩恵を受けたひとつに自動車専業がある。
日本のライバルである韓国は、日本より3年ほど早くチリと協定をスタートさせ、
自動車の関税(6%)を撤廃しチリへの輸出を伸ばし、日本は輸出台数で逆転された。
ところがその後、日本とチリ間で関税が撤廃されると再び日本が逆転した。
販売先40カ国、売り上げの7割余が海外輸出である試験機メーカーの松沢健次社長。
「海外市場で競争するこの会社にとってTPP不参加は大きな打撃。
世界に数多い硬度計メーカーの中でも、
低価格”を武器に中国製品が販売を伸ばしているからである。
中国製品は20%割安なこともある。
たとえ数パーセントであっても関税撤廃しなければ国際競争を勝ち抜けない。」
一方、関税撤廃で影響を受けるのは農業である。
今回政府が示した基本方針の中で持続可能な力強い農業を育てるため、
来年6月をめどに基本方針を決定するとした。
農林水産省は、“関税撤廃で米や小麦は外国産に代わり、7兆7000億円の損失が出る”
としている。
日本では農業を守るため農産物に高い関税をかけてきた。
現在、小麦は約40%、小麦は最大で200%超、米は最大で700%超。
TPP参加ならこうした関税は撤廃が求められる。
秋田県の試算では県内農業生産額は3分の1にまで減るとしている。
秋田県の農家は米の価格下落で経営は厳しく、
今年から始まった個別保障制度で交付金が支払われても、
去年より1割以上米の収入が落ち込む見通しである。
TPPはアメリカ・オーストラリアなど太平洋を囲む9カ国の間で
大幅な自由貿易を進めるという枠組みで、
今回の首脳会議ではAPEC加盟国の間で検討されている広域的な貿易自由化に向けて、
別の構想とともに、TPPもAPECの自由貿易圏を構築する土台のひとつとして
位置づけられる見通しである。
管総理は経済連携に関する故本方針の内容を説明することにしている。