11月19日、読売新聞編集手帳
農業を営む草太(岩城滉一)が、
自衛隊をやめて郷里の富良野に帰ってきた後輩の青年・正吉(中沢佳仁)にたずねる。
オマエ何のために自衛隊にいた?
「国を守るために自衛隊にいたンだべ。
国を守るっちゅうことは、家族を守るっちゅうことだべ…」。
かつて評判を呼んだテレビドラマ『北の国から』(脚本・倉本聰)のひとこまを、
理論社刊行の脚本集から引いた。
だから、自衛隊にいて国を守っていたときと同じ心がけで、これからは家族を大事にしろよ、
と説く場面だが、自衛隊員の胸の内を代弁してもいるだろう。
親の、妻の、子の、幸せを守る――
それがひいては一国の備えにつながるという誇りに支えられ、
多くの自衛隊員は過酷な訓練にも耐えているはずである。
“暴力”呼ばわりされては立つ瀬がない。
仙谷由人官房長官がきのうの参院予算委員会で「自衛隊は暴力装置」と述べた。
追及され、「実力組織」に言い換えて前言を撤回し、謝罪したが、
どうしてこの内閣は次々と軽はずみな発言が飛び出すのか。
大臣さん、あんたの家族も自衛隊に守られているンだべ…草太ならば言うだろう。