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下克上

2010-11-30 22:37:55 | 報道/ニュース
  11月14日、サンデーモーニング


  6世紀、日本が聖徳太子の時代、
  隋でつくられた古代思想「五行大儀」という本にあらわれたのが
  「下克上」の最初といわれる。

  “上、下に克(かつ)は順たり  下、上に克は剥(はく)たり”

  万物には秩序があり、上が下に勝つのが当然、下のものが上に勝つことは秩序を乱す、
  としるされている。

  歴史で下克上は、いままでの秩序が崩壊した混迷の時代に現れる。

  14世紀、鎌倉幕府に代わって後醍醐天皇による“建武の新政”が行われたころ、
  京都加茂川の二条河原の札に、
  “このごろ 都にはやる物 夜討ち 強盗 にわか大名 下克上する成出物(なりでもの)”
  と書かれてあった。

  下克上がもっとも頻繁にみられたのは室町幕府後期以降で、
  将軍が大名に殺害されるなど内乱状態。
  応仁の乱から戦国乱世にいたるなか、
  主君を倒し大名となったり権力を得ようとする物が次々現れる。
  松永久秀、斉藤道三、毛利元就・・・

  現代社会においても、
  新興勢力や価値観が既存の権威をゆるがし、
  取って代わるケースがさまざまな場面にみてとることができる。
 
  小売業界では、かつて圧倒的な売り上げがあった百貨店・スーパーは、
  コンビニエンスストアの台頭でその地位を脅かされている。
  自動車業界では、自動車大国アメリカの象徴「ビッグ3」GM・フォード・クライスラー。
  しかし新興の日本メーカーの追い上げにあい、
  販売台数でトヨタが上回り日本がトップになった。
  しかしその日本も製造業界では下克上される立場にある。
  テレビなど家電や造船などでは1990年代まで日本はシェア世界一の座を誇っていたが、
  薄型テレビなどで韓国メーカーに追いつかれ、今では韓国の後塵を拝する分野が数多くある。

  そして政治界でもアメリカでは共和党政権から民主党オバマ政権へ。
  日本では自由民主党政権が終焉し、民主党政権が誕生。
  イギリスでも労働党政権から保守党政権(連立)に移るなど、
  時を同じくして与野党逆転が続き、さながら下克上だ。

  東西冷戦に終止符を打ち、唯一の超大国として覇権を確立したアメリカの地位が、
  今新たな大国中国に少しずつ脅かされ始めている。
  今までの秩序や価値観が立ち行かなくなった混迷の時代における下克上。
  しかしそれも歴史の変革期には避けられないものかもしれない。




















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