9月28日 おはよう日本
去年12月 全米である番組が放送された。
米 公共放送製作の番組「神聖なる旅」。
アメリカの公共放送が6回シリーズで放送したエルサレムなど世界の巡礼を紹介する番組。
その初回を飾ったのは日本の四国遍路だった。
(製作したプロデューサーの話)
「外国人は人生において直面している問題の答えを求めてやってくる。
歩けば歩くほど魅力にはまっていく。」
四国遍路は弘法大師空海が開いて1200年とされている。
巡るのは
1400㎞にわたって四国4県に点在する88か所のお寺をつなぐ遍路道。
宗派や宗教に関係なく誰でも歩くことができる。
毎年15万人が訪れるとされる四国遍路。
最近目立っているのが外国人の姿である。
「とてもおもしろい。」
「自然に囲まれて歩いたりしてすごく楽しい。」
海や山などに本の自然の中を歩き
都会にはない地方の暮らしぶりに触れられるとして人気を集めている。
アメリカ カリフォルニア州からやってきたメリッサ・ビショップさん。
仕事上の人間関係に悩んでいたビショップさん。
1人で歩いてその答えを見つけようと四国遍路にやってきた。
「焼き芋食べなさい。」
「お接待ですか?」
ビショップさんがお遍路の中で体験したのは
お接待と呼ばれる地元の人たちのあたたかいもてなしだった。
山の中を1人で歩いていた外国人のお遍路さんを心配し
地元の人が「自分の家に泊まったら」と声をかけてきた。
地元にはもともと困っているお遍路さんを手助けする風習がある。
ビショップさんは長い道中で見知らぬ人に助けられて自分を見つめなおすことができたと言う。
(メリッサ・ビショップさん)
「人を思いやる気持ちや助け合うことの大切さを教えてもらいました。
自分1人だけで良い人生を送るなんてできないし
絶対にありえないと思いました。」
地元では四国遍路の世界遺産登録を目指す動きが活発になっている。
しかし実現には外国人の受け入れ態勢などに課題があることがわかってきた。
世界遺産登録に向けた活動を中心的に行っている香川県文化振興課 北山健一郎さん。
北山さんは7年にわたって遍路道の保全や歴史的価値の調査を進めてきた。
しかし過去2回
世界遺産の国内候補に申請をしたがいずれも見送られた。
文化庁から指摘された課題の1つは遍路道の管理体制が確立されていないこと。
遍路道は国道や県道の他に個人が所有する道がある。
いったん道が荒れても管理者が複数にまたがっているため
すぐに修繕できないこともある。
さらに外国人向けの宿泊施設の整備も課題に指摘された。
言葉も道もわからない外国人に利用しやすい宿泊施設がじゅうぶんに整っていないのである。
北山さんは同じような巡礼の道ですでに世界遺産に登録されている場所を参考にすることにした。
(北山健一郎さん)
「先輩格であるスペインの巡礼路なので
四国遍路 世界遺産登録に向けた活動の糧にしていきたいなと。」
北山さんが注目したのがスペインのサンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路。
22年前に世界遺産に登録された。
フランスから続く800㎞の道のり。
終着点にある大聖堂を目指し
1000年以上前から巡礼者が歩いて来た。
9月上旬 北山さんは四国4県の担当者とともに現地を視察した。
州政府の職員にまず案内してもらったのが巡礼路沿いに70か所ある公営の宿泊施設。
「回収費用はどこが?」
「ガリシア州の州政府です。」
州政府の補助金で1泊日本円の1000円以下で快適に過ごせる環境が整備されていた。
さらに監視員が巡礼路を頻繁にまわり道路状況をチェックしている。
法律で手厚く保護され歩きやすいよう整備されていることがわかった。
こうした道の保全や宿の整備は州政府の機関シャコベオ(巡礼支援組織)が一手に担っている。
シャコベオは世界遺産登録に向けて作られ
巡礼路の環境整備に年間約7億円の予算を使っている。
(ガリシア州観光局局長)
「シャコベオの役割は巡礼の道が世界遺産であり続けること。
訪れる人が安心して過ごせるように努力しています。」
この努力の結果
巡礼に訪れる人は世界遺産登録前の6倍近くの年間20万人に増えた。
(香川県文化振興課 北山健一郎さん)
「周辺の環境保全などにガリシアがどのように力を入れているのかがよくわかりましたので
世界遺産国内候補再提案書の提出に向けて生かしていきたい。」