10月7日 キャッチ!
オランダ北部フローニンゲン。
のどかな風景が広がるこの地域がたびたび地震に見舞われるようになったのは20年余前からである。
年間10回前後の地震が観測されている。
地震の規模を示すマグニチュードは2~3と比較的小規模だが
震源は深さ約3kmの浅い地点に集中し
住宅地に近接しているため地元の自治体では17万を超える世帯で家屋などに被害があったとみている。
この地区に暮らすヘル・バリンクさんもたびたび強い揺れを経験してきた。
「地震が起きたとき妻は棚を必死に抑えていました。
揺れて煽れそうで怖かったです。
採掘のせいで地盤が沈み建物にひずみができてしまいました。」
少しずつ地盤沈下も進んでおり
この地区の多くの世帯で家の床が傾いたり壁にひびが入ったりする被害が起きていると言う。
地震の原因とされるのが天然ガスの採掘である。
フローニンゲンの地中にヨーロッパ最大の埋蔵量のガスが確認されたのが1959年。
以来 オランダ政府と資源メジャーが共同で運営して採掘を続けてきた。
収益は政府の重要な財源である。
1980年代からガス田を調査してきた専門家はこの採掘と地震との因果関係を指摘する。
(地震専門家 エスロ・エバース博士)
「フローニンゲンの地図とこの5年間起きた約400回にのぼる地震の記録です。
ガス田周辺に集中しています。」
エバース博士の考える地震発生のメカニズムは
地下約3kmのガス層から継続して大量の天然ガスを採掘したためにガス層そのものが縮む。
これにより地中の圧力に変化が生じ周囲の断層にずれができて地震となる。
海に近い低地に位置するフローニンゲンの地質は水分が多くて柔らかい上震源が浅いことから
揺れが増幅して地表に伝わりやすいと考えられている。
エバース博士ら専門家は3年前に
このままではマグニチュード5クラスの規模の大きい地震が起きる可能性を指摘した。
これを受けて政府はガス採掘と地震発生の因果関係を初めて認めたうえで
この2年間でガスの生産量をほぼ半減。
さらに被害の補償に応じることを決めた。
(ガス採掘運営会社 広報官)
「採掘が自信の原因で住民に迷惑をかけたことは認識しています。
ガス減産は供給不足と国の減収につながりますが住民の安全が優先です。」
ガスの減産にもかかわらず地震はいまも続いており住民の不安は収まっていない。
地元のスロフトレンのテンブリング町長は住民の家を回って被害の現状や訴えを聴いている。
(被害住民)
「地震で天井が動いて壁にヒビが入りました。」
テンブリング町長はフローニンゲンの他の自治体とともに
ガス田を運営する政府に対し集団住民訴訟を起こした。
ガスのさらなる減産と住宅の耐震工事など保証の拡充を強く求めていく考えである。
(スロフトレン テンブリング校長)
「ガス田はオランダ経済を支えてきました。
我々はその貢献に見合う措置を求めています。
お金を求めているのではありません。
安全を返してほしいだけなのです。」