10月10日 おはよう日本
インドネシアの首都ジャカルタで行われた日本酒や日本産のワインをPRするイベント。
山梨県の7つの酒造メーカーが合同で開いた。
イスラム教徒も含め約200人が集まった。
(来場者)
「飲みやすいけれどほのかな苦みもあって気に入った。」
「私の知っているワインよりずっと香りがよくおいしい。」
用意したお酒が1時間もたたないうちにすべてなくなるほどの人気だった。
(酒造メーカー代表)
「インドネシアの方がこんなに日本酒に興味があり
来てもらえると思っていなかった。
大変うれしく思う。」
人口2億5千万のインドネシア。
国民の90%がイスラム教徒である。
イスラム教の戒律ではアルコールを口にすることは禁じられている。
そのため法律では認められていても多くの国民には飲酒の習慣が無かった。
しかし年間5%以上の高い経済成長に伴って次々と新しい飲食店がオープン。
日本や欧米の食文化が急速に浸透し
イスラム教徒でもお酒について柔軟な考えを持つ人たちが増えている。
インドネシアの大手酒造メーカーの売り上げは前の年に比べて10%余増加した。
しかしこうした風潮に保守的な人たちから反発の声も出ている。
(市民)
「酒は人間を破壊する飲み物。
特に若者には悪い影響を与えるだけなので禁止すべき。」
「酒は国が規制すべき。
全面禁止にした方がいいと思う。
若者も大人も関係なく何が何でも禁止。」
さらにイスラム政党は今年4月
いまの状況は国民の大多数がイスラム教徒の国にふさわしくないとして
アルコールの度数1%以上の飲み物の販売や購入を禁止する法案を議会に提出。
いまも審議が続けられている。
それでもどのような暮らしを送るかは個人の自由だとしてお酒を楽しむ人たちが増えている。
国際NGOで働くダニー・ヌルダディさんは
5年ほど前から女友達とバーなどに出かけてお酒を楽しむようになった。
週に2回集まりお酒と主に恋愛や家族の話に花を咲かせる。
お酒は人間関係の距離を縮めてくれると感じている。
「すぐに打ち解けることができるのでお酒は好き。」
「お酒を飲むと盛り上がるしふだんできない難しい話もしやすい。」
ダニーさんは自宅でもお客さんをもてなせるよういろいろな種類のお酒を買いそろえている。
暮らし向きが上向くにつれ好きなものを選択できる自由を大切にしたいと考えている。
(ダニー・ヌルダディさん)
「インドネシア国民の90%はイスラム教徒だが信仰の深さは人それぞれ。
お酒を飲むか飲まないかは個人のライフスタイルの問題で規制されるべきではないと思う。」
経済成長で生活を楽しもうという中間層が増えるインドネシア。
お酒への意識も変わってきている。