12月14日 国際報道2017
世界で初めて父親による育児休業制度を導入した北欧のスウェーデン。
育休を取得する父親の割合は現在約9割にものぼっている。
そんなスウェーデンで子育てに奮闘する父親たちの姿を映した写真展が開かれた。
父親の育休取得率がわずか3%の日本と何が違うのか。
愛おしむように
眠るわが子を胸に抱く父親。
赤ちゃんを背負い掃除に汗を流す父親。
3人の子どもと忙しくも大切な時間を過ごす父親。
モデルはスウェーデンで半年以上の育児休業を取得した父親たち25人。
写真にはそこで得た“気づき”の言葉が添えられている。
“愛情を表現したり
悪態をついたり
笑ったり
そしてどっと疲れたり
まったくすばらしいことです”
“子どもとこうした強い心のつながりを築けることは
特別な権利です
育児休業を取得していなかったら
何を逃していたかわかりません”
これまで25カ国で開催されてきたこの写真展。
東京港区の会場には子育て世代を中心に多くの人が足を運んでいる。
(妻が妊娠中)
「パパたちも当たり前のように子どもと時間を過ごす様子が見られて
素敵だなと思いました。」
「いい意味で普通だなと思って
こんな感じで僕もやれたらいいなと。」
写真を撮影したスウェーデン人のヨハン・ベーヴマンさん(35)。
写真展に合わせて来日した。
2人の息子を持つべーヴマンさん。
自身も長男で9か月
次男で10か月の育児休業を取得した。
同じように育児に取り組む友人や周囲に呼び掛け
3年前から日常風景を撮影。
作品として世界各地で公開してきた。
(写真家 ヨハン・ベーヴマンさん)
「私自身子どもたちとのきずなをより強めることができました。
写真を見る人に
子育てや父親であることの喜びを感じてほしいと思っています。」
1974年に世界で初めて「父親も取得できる育児休業制度」を導入したスウェーデン。
しかし当初は男性が育児休業を取得することはほとんどなかった。
大きな転換となったのは1995年「父親しか使用できない育休期間」を導入したことだった。
現在スウェーデンでは両親合わせて480日の育児休業が取得できる。
このうち90日間は「父親しか使用できない育休期間」と定められ
使用しないと消滅してしまう。
休みは子どもが8歳になるまで分割して取得できるほか
大半の機関は給料の約8割が国から保証されるなど
利用しやすい制度になっている。
(駐日スウェーデン大使 マグヌス・ローバック氏)
「育休は権利であり
さらには特権なのです。
この考えは今や多くの父親が共有しています。
社会に新しい考えが浸透するには事案がかかりますが
確実になじむものなのです。」
写真家のべーヴマンさんとモデルとなった父親2人とのトークイベントが開かれた。
参加者からは質問が相次いだ。
Q.育休をとっている時の仕事はどうやって回していた?
(モデルの男性)
「私は4日休んで1日働くという形でした。
難しい仕事は自分がやり
簡単な仕事は他の人に任せました。」
Q.育休を半年にするか1年にするか
アドバイスしてもらえますか?
(モデルの男性)
「会社のメリットを考える上司であれば休みを長く取らせるでしょう。
社員の会社への忠誠心も高まり
強い会社になりますから。」
“制度を整えるだけではなく社会全体の意識が変わらなければならない。”
“育児に参加することはひとりひとりの人生をより豊かにする”
それがスウェーデンの父親たちからのメッセージだった。
(モデルの男性)
「父親たちは子どもと一緒にいたいという気持ちを表すべきです。
社会全体にもっと育休を取得できる空気があればと思います。」
(来場者)
「今日 話を聞いて
育休をとるのが楽しみになりました。
不安なことはたくさんあるんですけど
とってみないとわからないことも多いと思うので
やってみてかなと。」
「社会全体が意識を変えていけば
日本もスウェーデンみたいに
父親が積極的に育児に参加できる社会になるのではないかと思いました。」
(写真家 ヨハン・ベーヴマンさん)
「男性が育休をとることや
男女平等に働くことのメリットに
我々はもっと気づくべきだと思います。
私の写真が議論を始めるきっかけとなり
状況が進展するよう期待しています。」