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神々の宿る朱色

2018-01-24 07:00:00 | 編集手帳

1月5日 編集手帳

 

 留学から帰国した斎藤茂吉の心を揺さぶったのは竹やぶの緑とお稲荷さんの朱色の鳥居の眺めだった。<かへりこし日本のくにのたかむらもあかき鳥居もけふぞ身に沁(し)む>。
茂吉が見つけた、
我が国の原風景の一つである。

稲荷社の鳥居はなぜ朱なのか。
宗教学者の山折哲雄さんが自説をつづっていた。
山に隠れ、
森に宿る日本の神々が、
大陸伝来の金銅仏の輝きに刺激され、
自らの存在を証明しようと選んだ色だった…

神々の激情が理由とすれば、
みなぎる力にも得心する。
さる古語辞典によると赤の語源は「明(あ)く」と同根らしい。
空に隙間ができ曙光(しょこう)が差し始める。
夜がアク、
日に染まった東方の色がアカであり、
日の本の国にふさわしい色とも言える。

もっともこの色に魅せられるのは外国人も同じのようだ。
本殿の後背、
稲荷山の頂へと数千基の鳥居が連なる京都・伏見稲荷大社は、
その幻想的な朱色のトンネルが訪日客に人気である。

きょう、
5日には大山祭が営まれる。
お山の霊石に酒を満たした器を供えて、
本年の五穀豊穣(ほうじょう)、
家業繁栄を祈る。
神職の後について神蹟(しんせき)を巡拝する青い目の人も多かろう。


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