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“ここにしかないワインを” 豪州で挑む日本人女性

2019-02-19 07:00:00 | 報道/ニュース

1月30日 国際報道2019



オーストラリア東部
なだらかな丘が広がるハンターバレー。
約200年前からブドウの栽培がおこなわれ
オーストラリアワインの発祥の地として知られている。
最近ここでつくられるワインを求め国内外から大勢の観光客が訪れるようになった。
そのなかでいま注目されているワインが
「スモール・フォレスト・バイ・アツコ」。
「とてもさわやかで美しく
 香りや色も素晴らしいです。」
このワインを作っているのは小林敦子さん。
オーストラリアでワイナリーを経営する唯一の日本人である。
小林さんは大学で醸造を学び
卒業後は日本やフランスのワイナリーでワインづくりを経験。
20年ほど前にハンターバレーにやって来た。
ブドウの栽培に適した温暖な気候と豊かな自然に魅せられた小林さん。
6年前 たった1人でワイナリーを起ち上げた。
しかし自然は恵だけを与えてくれるわけではなかった。
最初の年には大切に育ててきたブドウが
山火事の煙にいぶされ全滅してしまったのである。
「いきなり出だしからずっこけてしまった。
 予定がすべて丸つぶれ。
 非常に孤独です。
 頼る人がいない。
 すべては私の判断でそれが製品に影響してくるので
 どの部分の判断に関しても責任重大。」
分業化が進む大手ワイナリーなどとは違い
ブドウの栽培から醸造まですべての工程を自分で行うことにこだわる小林さん。
大切にしてきた信念がある。
与えられたものを生かす
その年その年で自然が与えてくれる素材の力を最大限に引き出し
“この土地でしか生み出せないワイン”を目指してえきたのである。
「ここでよく育っているということは
 やはり向いているブドウの品種だと思うので
 与えられたものを上手に生かす。
 それも私たちに課せられた責任。
 どんなふうに造ったらより良いワインになるのか。
 飲みやすい
 いいワインになるのか
 考えながら造っています。」
収穫と仕込みが重なり
1年で最も忙しい1月。
小林さんは今年のブドウの状態を慎重に見極めていく。
「今年はちょっと干ばつが影響しているのか
 皮も比較的いつもより厚い気がするし
 絞りすぎない。」
大手なら絞り方を児童に調整してくれる機械に任せるところだが
小林さんは付きっきりで古いプレス機を操作し絞る力を変えていく。
さらに発酵の工程でも
その日の気温に合わせて1日に何度も微妙な調整を繰り返す。
「ちょっと気温が上がっちゃった。
 バルブを開けて温度をもうちょっと下げます。
 白ワインは温度を低く発酵させると香りがよいと言われるが
 いきなり最初からそうすると酵母が元気に増殖できないので。」
幾多の困難を乗り越え
ハンターバレーでしか生み出せないワインを追い求めてきた小林さん。
スタートから4年目の2017年
ロンドンで開かれた世界最大級のワイン品評会では
素材を生かしたフレッシュな味わいが評価され
銀メダルを受賞した。
(ワイナリー経営 小林敦子さん)
「小さいところだから
 できることを探して前に進んでいかなければいけない。」
その土地で与えられたものを生かす。
その信念からいま小林さんが力を入れているものがある。
ハンターバレーで古くから栽培されている「ヴァデーロ」という白ブドウを使ったワインの開発である。
「比較的アロマティックな香りがあって
 甘いワインも造れるし
 ドライなワインも造れるし
 ポテンシャルがすごくたくさんある品種だなと思います。」
挑戦を続ける小林さんにとって“最高のワイン”とは何か。
「友だちとか家族と一緒に飲んで食べて笑って。
 生活に何かちょっとっプラスアルファになるようなものになったらいい。」




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