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オランダで広がる英EU離脱への不安

2019-02-28 07:00:00 | 報道/ニュース

2月6日 キャッチ!世界のトップニュース



イギリス議会による離脱協定案の否決を受けて
EU側は即座に反発する姿勢を見せた。
(EU バルニエ主席交渉官)
「イギリスのメイ首相は自ら交渉した合意に背を向けた。」
(EU ユンケル委員長)
「“無秩序な離脱”へのリスクが高まったと言える。」
EUは再交渉には一切応じない考えを改めて強調したのである。
世界第5位の輸出額を誇るオランダ。
“合意なき離脱”へのリスクを警戒している国の1つである。
オランダの一昨年のイギリスへの輸出額は約4兆9,000億円。
輸出全体の8%余を占め
オランダにとってイギリスは重要な市場なのである。
“合意なき離脱”となった場合
直後から関税がかかることになり
オランダの輸出品の多くが値上がりしてしまう。
相対的な競争力が低下し
約3,800億円の減益につながるとの試算もある。
オランダ政府は離脱による混乱への備えとして
貿易をはじめ各セクターごとに相談窓口を設けているが
問題の現状や考えられるシナリオなどの情報提供にとどまり
“合意なき離脱”などへの対応策は提供していない。
EUの経済状況に詳しい専門家は
貿易関係者が自助努力によって“合意なき離脱”に備えることが必要だと指摘する。
(経済シンクタンク 上級研究員 ファンベルクムさん)
「生産者や貿易関係者は代わりの市場を探す必要があります。
 それは簡単なことではありませんが
 企業や輸出業者は日頃から別の市場を探しているので可能でしょう。」
そうしたなかオランダの貿易に携わる関係者は
混とんとする離脱問題に頭を悩ませている。
アムステルダムの花市場。
全世界の生花の4分の1がここで取引されると言われ
生花はオランダの輸出品の主力の1つとなっている。
このうちイギリス向けは輸出総額の6分の1近くを占める。
運営会社にとって
イギリスと同じ規模を持つ市場を近くで見つけることは容易ではない。
そのうえ移行期間が設けられた協定による離脱の可能性も残されているため
対策を講じるタイミングさえ計りかねているという。
(花市場 運営会社)
「“合意なき離脱”への備えもできますが
 その場合はすぐ始める必要があります。
 ただ猶予期間がある合意となったら
 そうした備えは無駄に終わってしまいます。」
生花の生産者の間でも
“合意なき離脱”のリスクの高まりを受け
先行きに対する懸念が強まっている。
オランダ西部で主に菊を栽培している企業。
創業時は国内市場のみに出荷する従業員3人の小さい会社だったが
菊の人気が高いイギリスとの取引が増加。
今では年商が約8億円まで拡大し
このうち約30%がイギリス向けである。
経営者は
“合意なき離脱”となった場合には税関が復活し流通が混乱して
これまで築いてきたイギリスとの取引に悪影響が及ぶのではないかと
大きな不安を抱いている。
(生花栽培の会社 経営者)
「関税が始まると
 運送の準備が整っても申請書類に不備があれば
 その影響ですべての道がふさがれ出荷さえできなくなるのではと心配です。」

国内市場が小さいオランダにとって貿易な生命線なので
“合意なき離脱”になった場合かなりの痛手になる。
貿易に携わる人の危機感は相当なものがある。
シンクタンクの経済専門家は
オランダはイギリスと接するアイルランドに次いで大きな影響を受けるとしている。
“合意なき離脱”となると花などの生鮮品は特に影響を受けるが
それ以外にもオランダからイギリスへの輸出は
医薬品・食品・機械類など多岐にわたる。
これが滞ることになると大きな損失は免れない。
ほかのEU各国でも事態は同様で
貿易に携わる人たちは“合意なき離脱”は何としても避けたいところである。
“合意なき離脱”を避ける手立てはあるのか。
まず1つはEUが再交渉で応じるかどうかである。
EUはこれまで何度も
“離脱協定は最善にして唯一可能な案”だと繰り返している。
加盟国の外交筋は
“EUとイギリスは合意した。
 英議会は離脱協定案を受け入れることもできるし
 離脱の是非を問う国民投票を再実施もできる。
  あくまでもイギリス国内の問題だ”
と突き放し歩み寄る雰囲気は感じられない。
EUのユンケル委員長は再交渉に応じるか以前に
まずは
イギリス側がアイルランド問題の条項について
どのような変更を望むかを知りたいというスタンスである。
EU側にももはや延期以外に手立てはないという声はある。
延期についてはEUが受け入れる可能性はある。
仮にイギリスが延期をEUに求めてきたとしても
いつまで延期するかが問題である。
5月にはヨーロッパ議会選挙が控えているが
イギリスが離脱することを受けて定数削減がすでに決まっている。
現状を変えずに延期できるとしても5月までである。
またヨーロッパ議会選挙の後7月まで延期ということも取りざたされている。
しかし5月のヨーロッパ議会選挙でイギリスが加盟国であれば
イギリスは選挙を行って議員を選ぶ必要がある。
これを避けるとなれば特別な法整備が必要になると考えられる。
ハードルは低くない。
事態の打開ははかられるのか世界の目が注がれる。




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